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第十一話 消えたドワーフの集落を探せ

長らくお待たせして大変申し訳ございませんでした!

書籍の完結と合わせてWEB版も終わらせようと思っていたのですが、

書籍の発売が延期に延期が重なり、、、


遂に、6月20日完結です!!


 SIDE:ノーラ


 私たちは、さっそく王国と教国の間にある狭間森に来ていた。

 地図が言うには、この森の中に私が求めているものが隠されているらしい。

「霧が濃いわね」


「そうね。これで皆、遭難しちゃうのかしら?」

 ここに来る途中、何度か森の噂を聞いた。

 どうやら、噂はただの噂ではなかったようだ。実際、昔から数多の冒険者たちが挑戦して帰って来なかったらしい。

 最後に泊まらせて貰った村でも、悪いことは言わないから入らない方が良いと、何度も止められてしまった。

 かと言って、森から魔物から出てきたことは今まで一度もなく、強力な魔物がいるわけでもない。

 森から帰って来なかった人たちに……一体何があったのかしら?


「高ランクの冒険者なら、霧程度どうってことないと思う」


「確かに。だとすると、やっぱり強い魔物がいるのかしら?」


「それが、まったく魔物の気配がしない。少なくとも、ここから一キロの範囲には魔力を持った生物はいないと思う」


「相変わらず、意味のわからない魔力感知能力ね」

 一キロって何よ。魔力操作に優れたシェリー母さんでも、半分の距離も厳しいんじゃない?


「そんなことないわ。常に五感と同じように魔力を感じていれば、これくらいできるようになるわ」


「ムリムリ。常に魔力を探っていたら、頭がおかしくなってしまうわ」

 自然界の微量名魔力を感じるのに、どれだけの集中力が必要だと思っているの?

 一般人にそんなのを求めないでよ。


「探ると思っているからダメなのよ。魔力はどこにでもありふれていて、探らなくても感じられるわ」


「なんか……初めて、あなたが千年以上生きるお婆ちゃんなんだって思えたわ」

 ローゼの発言は、長い年月をかけて極めたその道の達人の言葉そのものね。


「ふん。そんなことより、そろそろこの先に何があるのか教えなさいよ。あなたは知っているんでしょ?」


「知っていると言うより……高い確率でこれだろうなという感じよ」


「不確定な情報でも良いわ。もしかしたら、森の謎もわかるかもしれないでしょ?」


「本当は現地で驚いて貰おうと思ったけど、わかったわ。実は、滅んだはずのドワーフの集落がこの地図に記されていると思っているんだよね」

 ドワーフの血を引いているコルトさんに魔方陣に反応したのを見るに、この予想は間違いなく当たっていると思うんだけど。


「……ドワーフの集落。確かに、ドワーフたちがどこにいたのか知られていないわね」


「もしドワーフたちが滅んでいたとしても、その遺跡には私たちだけでは到達できない技術がたくさん眠っていそうでしょ?」

 それこそ、船を造るのに必要な技術もあるかもしれない。


「私は滅んでいないと思うわ。ドワーフっていうのは、弱いけどすごくしぶとい種族なのよ」


「へえ。それじゃあ、この森のどかでしぶとく生きていると?」


「ええ。間違いないわね。それと、エルフ以上に外界と関わる気がないみたいね」

 そう言いながら、ローゼがおもむろに地面に落ちていた小石を拾い上げた。

 そして、狙いを定めるように石を少し先の地面に投げ捨てた。


「何を……」

 ドスン! ドガン!

 私がローゼに疑問を投げかけるよりも早く、投げられた小石はどこからか飛んできた岩によって潰され、大きな爆発によって跡形もなく消えてしまった。


「え? なに? どういうこと?」

 私は、一瞬に起きたことに頭の処理が追いつかず、首を傾げるしかできなかった。


「ドワーフの技術力があれば、これくらいの罠は造作もないわ」


「わ、罠って、これは罠の威力じゃないわよ!」

 この罠を見たら、世界最高難易度と名高い地下のダンジョンの罠が可愛く見えるわ。


「この森で生存者がゼロの理由もこれなら納得でしょ?」


「……そうね」

 この罠なら、どんな屈強な冒険者も瞬殺されてしまうでしょうね。


「どうするの? 諦める? 私でも、全ての罠を見分けられる自信はないわよ?」


「ふふふ。諦めるわけがないでしょ。こういうときの創造魔法じゃないの? 罠の可視化は、お父さんが成功していたわ」


「確かに」


「あと、この霧で方向を間違えないように私たちのいる場所がわかる地図も創造して……」

 それから、私は魔法アイテムの創造を始めた。

 流石のドワーフも、きっと魔法アイテムを想定できているはずがないわ。


「この眼鏡をかけている間、罠が赤くはっきりと見えるわ」

 そう言って、私は二つ造った眼鏡の内一つをローゼに渡した。

 そして自分で装着してみてびっくり、私がこれから進もうとしていた先は、真っ赤に染まっていた。


「ありがとう。これなら、なんとか進めそう」

 ほ、本気で言ってる? これ、罠にかからないで進むなんて無理でしょ。


「これ……どうやって進むつもり?」


「そんなの決まっているじゃない。強行突破よ」


「なるほど……」

 私たちの周りを分厚い結界が囲んでいくのを見ながら、私は自分が想像した魔法アイテムは意味をあったのか? などと思ってしまったが、言葉に出したら余計に虚しくなりそうだったから黙っておいた。


「地図だとここら辺なんだけどな……」

 ドスン! シュパパパパ! ドガン!

 罠による攻撃や爆発に驚くなってしまって何時間か経った頃、地図のバツ印周辺にきていた。

 そろそろ、見つかってもよさそうなんだけどね。

 そんなことを思っていると、ぱたりと罠による爆発がなくなった。


「あれ? もしかして、罠地帯を抜けられた?」

 そして、このまま進めば目的の場所があるってことね。


「やった~。やっと、この息苦しい結界から解放されるわ」


「たまに喚起していたじゃない」

 それでも、完全に密閉された空間というのは息苦しいものよ。


「お、おい! お、お前たち!」


「え?」

 急に男の子が目の前に現れ、私はすぐにそれが誰なのかを理解できなかった。


「あ、ドワーフ」

 ローゼのそんな声に、遅れて男の子が探し求めていたドワーフであることを理解できた。


「本当!? 本当にドワーフなの? やった! やっと会えた!」

 私は罠のことなど忘れて、ドワーフの男の子に飛びついた。


「お、おい! ち、近づくな!」


「大丈夫大丈夫。私、怪しい人じゃないから。ほら、飴ちゃんあげるから私たちと一緒に来ない? お姉さんたち、悪いようにしないわ」


「あ、怪しい人はそ、そんなことは言わないぞ! そ、それと、お、俺はこう見えてじゅ、十二だ! こ、子供扱いするな!」

 あら、私たちと同い年じゃない。


「ドワーフは、身長が伸びにくい」

 へえ。まるでローゼみたいね。と、言うよりも早く足を踏まれた。

 酷い。まだ何も言ってないのに。まあ、今はそんなことより目の前の男の子だわ。

 弱々しい見た目に、弱々しい話し方。お姉さん、虐めたくなってしまうわ~。


「うりうり。とりあえず、私たちをあなたの集落に連れて行きなさいよ」


「な、馴れ馴れしくするな! だ、だが、確かにお、お前たちをどうするかはば、ばあちゃんたちに聞いた方がよ、良さそうだな。お、おれにつ、ついて来い!」


「やったー。ほら、早く案内して!」


「う、うるさい。そ、それと、お、俺から離れろ! は、離れないと案内しないぞ!」


「ちえ~。わかったわ。ほら、早く案内して」

 まあ、こんな弱々しい子が逃げることもないだろうし、解放してあげましょうか。


「お、お前たち、そ、外から来たのか?」


「そうだけど?」


「あ、あのわ、罠をどうやって?」


「それは……ふふふ。ヒ・ミ・ツ」


「な、なんだと!? そ、そんなことを言っていると、お、お前たちをばあちゃんたちのところにつ、連れて行かないぞ!」


「別に良いわよ~。その時は、ずっとあなたにくっついて行くから」

 強がって私から情報を引き出そうとする少年が可愛かったから、またギュ~と後ろから抱きしめてあげた。


「は、放せ! わ、わかった! ば、ばあちゃんたちのところに連れて行くから! ち、近づくな!」


「はいは~い。それじゃあ、案内よろしくね~」


「いじめすぎ」


「ふふふ。反応が楽しくて」

 昔から、この子みたいな弟が欲しかったのよ。うちの男たちも、これくらい可愛げがあれば良かったのに。



 そうこう言っている間に、進行方向の先に人工物らしい建物が見えてきた。

「あ、あれが俺の村だ」


「む、村? これが?」

 霧の中でもはっきり見える位置に来ると、自分の目を疑う光景が広がっていた。

 一、二、三……十階を優に超える、ありえない高さの建物が並ぶ()が広がっていた。


「これは……凄いわね。流石、ドワーフだわ」


「た、建物の数は多いけど、こ、これはじいさんたちが趣味でた、建てたものだから誰もす、住んでないぞ」


「しゅ、趣味ね……」

 ドワーフって趣味で住みもしないのに、こんな高い建物を建てるのね。


「そ、そうだ。お、俺たちの趣味は発明と物作りだから……」


「ディグ! あんた! 木材はどうし……人? ちょっと、あなたたち! 今すぐ来なさい!」

 街の中を歩いていると、霧の奥から人が飛び出してきて、私たちに驚いて何かよくわからない物に思いっきり叫んだ。

 よく見ると……男の子と変わらないくらいの背の高さをした、お婆ちゃんドワーフだ。

 ドワーフって、あのくらいが普通の背丈なのね。


「婆さん、どうした? ついに惚けちまったか? ……ん? 人だな」


「ああ? 人だと? そんなまさか……人がいる。しかも、少女じゃないか」

 魔動車に乗った、これまた低身長なお爺ちゃん二人が霧の奥からやってきた。

 当たり前のように魔動車があることは置いといて……この村、魔動車が必要なくらい広いの!?


「デ、ディグ、もしかして俺たちを驚かそうと思って人形でも作ったのか?」


「そういうことか。すまんな……寂しい思いをさせちゃって」


「ああ、そういうことね。あまりにも本物の人にそっくりで騙されてしまったわ。知らない間に、随分と腕を上げたじゃない。偉いわね」

 お爺ちゃんとお婆ちゃんたちは、私たちが人間だとは信じられず、人形だと思うことにしたらしい。

 いやいや、こんなにも美人な人形がこの世に存在するはずがないじゃない。


「ち、違うから! これ、本物の人! お、俺が作ったに、人形なんかじゃない! ふ、二人も何かしゃ、喋ってよ!」


「はいはい。森の外から来たノーラです」


「私はローゼ」


「しゃ、喋った!?」


「お、お前……自動人形にまで手を出してしまったのか?」


「一体作るだけでも大変だっただろう? それを二体も……。やっぱり、こいつは技王の生まれ変わりで間違いねえ!」

 私たちが話しても、老ドワーフたちはまったく信用しなかった。

 てか、自動人形ってなによ。ドワーフたちは動く人形も作れるってこと?


「だ、だから話を聞いてよ! こ、この子たちは外から来たひ、人たちなんだって!」


「そんなわかり切った嘘は良いって。どうせ、俺たちが隠し持っていた素材を勝手に使ったのを気にしているんだろ?」


「心配すんな。こんな凄い物に使われたら、俺たちも怒るに怒れやしねえから」


「だ、だから違うんだって!」



前書きでも書かせて貰いましたが、来月最終巻の発売日です。

原稿はかれこれ半年前に書き終わっていたので、もう達成感は薄まってしまったのですが、、、しっかりと完結させていただきました!

あと一ヶ月ほどですがお付き合いくださいm(_ _)m


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