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第十九話 いざ魔界に

 

 カインの誕生パーティーから八ヶ月が経った。

 あれから俺は仕事を最低限まで減らし、なるべく子供たちとの時間を取るようにした。

 一緒に剣の素振りをしたり、子供たち用の魔法練習場を新しく造ってあげたり、領地を見せて回ったりと……とても楽しい時間を過ごさせて貰った。


 そして、この八ヶ月の間に三人の子供が産まれた。

 半年くらい前にエルシーが元気な男の子、数日前にベルが元気な男の子と女の子を産んでくれた。

 まさか、ベルのお腹の中に双子がいるとは思わなかったけど、三人とも元気に産まれてきてくれて良かった。


「五人の奥さんに十三人の子供……立派な大家族だな」

 俺を合わせて十九人家族だ。


「まだまだ増えるかもしれないよ?」


「え? まだ増えるの?」


「私、次こそは男の子が欲しいです」

 そういえば、リーナは男の子を産むまで子供を産み続けるって二人目の時くらいから豪語していたな。

 リーナはローゼを産んでからも二人子供を産んでいるけど、どちらも女の子だ。


「次も女の子だったりしてね」


「そうなったら、五人目を産むまでです」

 五人目も女の子だったりしてな。


「これは……まだまだ増えそうだな」


「ふふふ。この家、とても広いですし、ちょうど良いんじゃないですか?」


「確かに。それじゃあ、空き部屋を全て埋めるのを目標にする?」


「いや……それは流石に無理だろ」

 少なく見積もってもあと二十は部屋が余っているんだぞ?


「準備できた~。ローゼとネリアもちゃんと連れてきたよ」


「やっと来たわね」


「私たちのせいじゃないわよ。ローゼとネリアが悪いの」

 ここ最近、俺が外に連れ出すようになって、少しは外にも慣れたと思ったんだけどな……。相変わらず二人の引き籠もりは治らない。


「それじゃあ、カイトたちを連れてくる」



 若干時間がかかってしまったが、全員が集まったのを確認してから王城に転移すると、カイトたちが待っていてくれた。

「待たせてごめん」


「いえ。待ってないから大丈夫よ。わざわざありがとう」


「いや、どうせ魔界まで転移で行くんだし、気にしなくて良いよ」


「ありがとう」


「そっちの二人がリキトとユウトか?」

 カイト、エレーヌ、マミちゃんの他にカイトの両隣に可愛らしくカイトの足を掴んでいる男の子がいた。

 お兄ちゃんはカイトにそっくりで、弟はどちらかというとエレーヌって感じだな。


「ほら、二人とも挨拶して」


「「こんにちはー」」


「二人とも元気だな」


「元気すぎて困ってるのよね」

 ハハハ。そりゃあ、カイトの子供なんだもんな。大人しくしていられるはずがない。


「二人とも何歳?」


「俺はゴ!」


「僕はサン!」


「五歳と三歳か。うちもその間に四人いるぞ」

 ネリア、ミーナ、ルーク、ルルが同じ世代だ。


「そんなにいるのね。皆、うちの息子たちと仲良くしてくれると助かるわ」


「ルークとは気が合うと思うぞ」

 あのいたずらっ子とは気が合うはずだ。



 カイトたちをシェリーたちのところに置いてきて、次はフランクたちのところに来ていた。

「迎えに来たぞ~」


「あ、ごめん。まだ一番下の子が愚図っちゃって」

 転移すると、フランクとジョゼ、二人の子供がいたけど、アリーさんの姿が見当たらなかった。

 愚図っちゃったか……それは大変だな。


「一番下の子って女の子だっけ? 何歳くらいなの?」


「女の子です。この前、二歳になりました」


「そうなんだ。アリーさんはどこにいるの?」


「隣の部屋にいます」

 隣の部屋か。それならすぐに行けるな。


「よし。それじゃあ、俺に任せてくれ」


「え?」



「うわ~ん」

 隣の部屋に入ると、小さい女の子が大声で泣いていた。


「うう……どうしてこういう時に限って……」

 アリーさんは頑張ってあやしても泣き止む気配が見えず、困り果てていた。

 どこのお母さんも大変そうだな……。


「アリーさん、大丈夫?」


「あ、待たせちゃってごめんなさい」


「ああ、そんな気にしなくても大丈夫だよ」


「うわぁ~~~ん」

 俺が近づくと、更に泣き声の勢いが増した。


「ああ、ごめんごめん。知らないおじさんにびっくりしちゃったね。ほら、可愛いくまさんだ」

 そう言って、女の子の前でくまのぬいぐるみを創造してみせた。

 すると……女の子はすぐに泣くのをやめてくれた。


「くまさん……」


「ありがとうございます」


「いえ。それじゃあ、お父さんたちのところに行こうか?」

 ぬいぐるみを渡しながらそう聞いてみると、女の子はニッコリと笑ってくれた。


「うん!」



「流石レオだな。俺の魔法じゃあ、石しかつくれないからな」

 戻ってくると、俺が創造したぬいぐるみを見てそんな賞賛をくれた。


「まあ、これくらいお安いご用だよ」


「ねえおじさん……私もくれない?」

 妹のぬいぐるみがうらやましくなってしまったのか、帝都で会った時は違って子供らしくおねだりしてきた。

 やっぱりあれは演技だったんだな。

 まあ、こっちの方が子供らしくて良いと思うけどね。

 そんなことを思いながら、パッと妹と同じぬいぐるみを造ってあげた。


「わあ。ありがとう!」


「エリーにまで……ありがとうございます」


「いえ。ほら、君には騎士の人形をあげよう」

 男の子は、ぬいぐるみよりもかっこいい人形が欲しいかな?

 ということで、鎧を着込んだ騎士のフィギアを渡してあげた。


「僕にもくれるの!? おじさんありがとう!」


「どういたしまして」

 こちらこそ、それだけ喜んで貰えただけでもプレゼントした甲斐があったよ。


「レオ、この半年でなんか変わったな」


「お、わかる? 実は、仕事をばっさり減らして子供たちとの時間を増やしたんだ」

 おかげさまで、子供たちとの接し方が少しは学べた気がする。

 八ヶ月前よりは確実に成長していると思うぞ。


「あれほど仕事馬鹿だったお前がね……。誰からの助言?」


「クリフさんが子供たちをよく見ろって」


「皇帝陛下直々の注意なら、お前も言うこと聞くか」


「いや、単純に今のままだとダメだと気がついただけだよ」

 クリフさんの諭し方が上手かっただけで、別にクリフさんだから言うことを聞いたわけではない。


「それでも、そうお前にそう思わせられる皇帝は凄いな」


「クリフさんは凄い人だよ」


(レオ? 何かあったの?)

 ん?


(あ、ごめん。ちょっと話し込んじゃった。今、そっちに行くよ)

 そういえば、子供をあやしていたりしていたんだった。


「皆が遅くて心配しているから、そろそろあっちに行くぞ」


「あ、ごめん」


「それじゃあ、皆俺に捕まってー」



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