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第十一話 久しぶりとはじめまして①

 

 予定通りで、無事帝都に到着できた。

 長距離試験の結果は、問題なく合格で良いだろう。

 これで、大量生産に移れるな。きっと来年には、魔道車がたまに見かけられるようになるはずだ。

「レオ様、お待ちしておりました」

 帝都の屋敷を管理しているアメリーが出迎えてくれた。

 俺が生まれたころからずっとお世話になっているアメリーは、もう四十歳を超えている。

 帝都に住む職人と結婚して三人の娘たちがいるそうだ。ちなみに、三人ともうちの屋敷で見習いメイドとして頑張っているらしい。


「パーティーの準備は順調?」


「はい。今のところ問題ございません」


「それは良かった。ほら、お前たち。メイド長のアメリーだ。アメリーに迷惑にならないよう、良い子にしているんだぞ」


『はーい』


「よし。それじゃあ、今日の準備を進めるぞ」


「今日?」


「ああ、今日は父さんと母さんたちの友達が家に来る日なんだ」

 それぞれに子供が産まれてからはなかなか集まれなかったから、今回せっかく来て貰うということで、いつものメンバーで集まることになった。

 フランクたちは昨日帝都に到着しているらしく、カイトたちはエレーヌが皇帝と会談したいということで先週から帝都に来ているとか。

 俺たちが到着したと聞いて、どっちの家族も今うちに向かっている。


「父さんと母さんの友達? あの、勇者様とか?」


「そうそう。他にも南の大貴族であるボードレール家が家に来るぞ」


「へえ。その大貴族と私たちの家だったらどっちが大きいの?」


「さてな。歴史の長さで言ったらボードレール家はこの国で一、二を争う貴族だよ」


「ふうん。つまり、歴史以外に負けてないと?」

 わざわざ濁しだんだから、そういうことは言うなって。


「別に勝ち負けなんてないよ。同じ帝国の一員なんだから」

 答えになっていない答えで誤魔化しながら、俺は納得してなさそうなノーラの頭を撫でた。


「そうそう。それに、ボードレール家は教国と帝国の橋渡しをしているとても大事な貴族だわ」

 もう何百年も教国との関係を取り持っている貴族だからな。


「で、でも……確か、うちも王国と接していたよね? 僕たちの家は、王国との橋渡しをしているの?」


「おお、リルはよく勉強しているな」

 ノーラの頭に乗せていた手で今度はリルの頭を撫でる。

 まだ六歳だというのに、しっかりと地理を理解しているなんて凄いじゃないか。


「えへへ」


「確かに、ミュルディーン家も王国と帝国の橋渡しをしている。とはいっても、これは元々違う貴族が行っていたんだ」

 どうせだから、ちょっとだけ昔話をしてあげることにした。

 これからミュルディーンの人間として生きていくなら、必要な知識だからね。


「昔は、北のルフェーブル家、東のフォースター家、南のボードレール家、西のフィリベール家という四つの公爵家がいたんだ」


「フォースターは聞いたことある! お父さんが生まれた場所でしょ?」


「そうだ。ちなみに、ルフェーブル家は父さんのお姉ちゃんが嫁いでいる」


「へえ。それじゃあ、最後のフィリベール家はどうしたの? 滅んじゃったの?」


「そうよ。悪いことをしたから、お父さんが滅ぼしちゃった」


「え? お父さんが?」


「まあ、結果的には俺が滅ぼしたことになるのかな?」

 あの屑当主は、ゲルトが仕掛けた爆弾で死んでしまったからな。


「その、お父さんが滅ぼした貴族は、どんな悪いことをしたの?」


「いろいろとあるけど、一番は帝国を裏切って反乱を起こそうとしたことかな」

 他に、法外な税を領民から取り上げたり、シェリーの誘拐を手助けしたり……ああ、思い出しただけでイライラしてきた。


「反乱?」


「えっと……大切な仲間を攻撃する酷いことよ。カインがノーラを殴ったら、それは悪いことでしょ?」


「うん。それは悪いね」


「そうだな。というわけで、そんな悪い貴族がしていた仕事を父さんたちが代わりにやっているってわけだ」

 いや、あいつは真面に仕事なんてしていなかったから、ほぼ新しく俺たちが始めたと言っても過言でもないんだけどな。

 残された領地だってほとんどボロボロで、どの都市も一から造ったようなものだ。


「そうだったんだね」


「レオ様……盛り上がっているところ申し訳ございません。勇者様方が到着いたしました」

 俺がフィリベール家の悪行について熱弁している間に、カイトたちが着いてしまったようだ。

 アメリーの報告を聞いて、俺たちは急いで玄関に向かった。



「よお。久しぶりだな。元気にしてたか?」

 見た感じ、カイトもエレーヌも元気そうだ。

 そして、マミちゃんも大きくなったな。歳は、カインの一つ上だから、九歳くらいかな?


「ああ。おかげさまでな。おお、話には聞いていたが随分と子供がいるな」


「そうだね。この前、シェリーが九人目を産んで、リーナが十人目を産んだんだ。それと、ここには来ていないが、エルシーのお腹の中に十一人目がいる」


「あと、最近ベルに十二人目が宿ったことがわかったわ」

 そうそう。この前、ベルが三人目を妊娠していることが判明したんだ。

 出産予定日は八ヶ月後と、まだまだ先なんだけど。


「わあ。それは凄いわね。ちなみに、うちは長女のマミと今回は連れてきていないけど長男リキト、次男ユウトがいて三人よ」


「へえ。マミちゃん、もう九歳なのよね」


「そうよ。ほら、自己紹介」


「え、えっと……はじめましてマミ・アルバーです。本日はお招きいただきありがとうございます」

 自己紹介を終えると、可愛らしくぺこりとお辞儀をした。

 うんうん。見た目はエレーヌにそっくりだから、将来は聡明な美女になりそうだな。

 本当、カイトに似なくて良かった。


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