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第一話 転生と努力

長い間サボってしまって申し訳ございませんm(__)m

就活も無事終わりまして、これから更新を再開していきま~す!

 

 SIDE:フェリシア(エルフの女王)


 里の中心に生えており、里のシンボルであり、里の結界の要である神樹に結界魔法を注いでいく……。

 魔力はとっくの昔に全て使い切り、エルフ秘伝の技で生命力を魔力に変換して更に注いでいく。

 この体はもう二百年生きているから……たぶんあと三百年分の生命力。

 そんな膨大な魔力を受け取り、神樹がこれまでにない輝きを放っていた。

「結界の調整……終わったわ。これで……私がいなくても二十年は持つはず」

 残りわずかの生命力を残して全ての生命力を使い切ってしまった私は、その場で崩れ落ちた。

 もう、私には立っている力もない。

 そんな私をすぐに一人の男が支えてくれた。

 私が結界に専念している間、里を取り纏めてくれた男だ。

 この男には、本当に辛い仕事ばかり押しつけてしまった。


「女王様、今までありがとうございました。里の心配はご無用です。私たちがいますから」


「あなたたちも……逃げて良いのよ? いえ、むしろ逃げなさい」


「何を言っているのですか。いくら女王様の結界で二十年は安全だとしても、人が住んでいなければすぐに里はダメになってしまいますよ?」


「それくらい……また一から立て直せば良いじゃない。それに……あんなに愛していた娘ともう会えないのよ?」

 獣人族と破壊士の戦争が始まった頃、若い衆が里の外に興味を持つよう噂を流し、興味を持った若者たちを二度と帰ってこないよう追放処分にしていった。

 この判断が正しかったのかは……わからない。

 少なくとも、こうして多くの親子の仲を引き裂いてしまい……他に方法はなかったのかと今も後悔している。


「確かに寂しいですよ。でも、きっとアンヌなら人間界でも元気にやってくれているはずです。そう信じて、私たちはここに残ることにします」


「はあ……。何を言っても……ダメそうね」

 覚悟を決めている男の目を見て、私はこれ以上何も言わないことにした。


「もちろんです。何があっても、綺麗な里で女王様をお迎えしますからね」


「わかったわ……。なるべく早く……帰ってくるから」


「はい。でも、急ぎすぎてもいけませんよ?」


「急ぐくらいでちょうど良いのよ。たぶんだけど……人間界から里まで……そう簡単には行けないと思うから」

 どこに転生するのかはわからないけど、まずは体の成長を待たないといけない。

 人の血が混じっていたとしても……二十年で成人程度の肉体を手に入れることはできるかはわからない。

 そう考えると、自由に移動できる期間なんて本当に限られている。

 はあ、我ながら本当に行き当たりばったりの作戦ね。


「大丈夫ですよ。王子もいますから」


「オルヴァーに期待しすぎたら……可哀想だわ。きっと……人間界で生きるだけでも苦労しているはずだから」

 物珍しいエルフは、悪い人族たちの餌食になっているはず……。

 頭が良かったあの子なら騙されることはないと思うけど、一体何人の若い子たちが奴隷にされてしまったのだろうか……。


「王子なら大丈夫ですよ。きっと、あっちでしっかりと生活基盤を整えて、子沢山で女王様をお待ちしていると思いますから」


「そうだと良いわね……。それにしても……まさか、千年も経ってようやく里をでることになるとは」

 前の世界でも引き籠もりだったけど、こんな形で外に出ることになるとは。

 昔は、外に出ることがあんなに恐怖だったはずなのに、今は不思議と何も感じないわね。

 もうすぐ死ぬからかしら?


「……すみません。女王様に頼り切っていた私たちのせいです」


「別に良いのよ。私はね……ここが好きなの」

 引き籠もりは家が何より大事なのよ。


「だから……意地でもここは壊させない」

 たとえ、絶対に出たくなかった外に出たとしてもね。

 ふふ……引き籠もるために家を出るなんて、自分で言っていても笑えてくるわ。


「それじゃあ……少しの間だけ里を頼んだわ。頑張って帰ってくるから……」


「はい。お待ちしております」

 力強く頷く男を見ながら、私は静かに目を閉じた。

 そして、私の持つスキル『転生』を使った。



「おぎゃーおぎゃー」

 え? 赤ん坊の泣き声?

 でも、私じゃない?


「おお。エルシーの方も産まれたみたいだな」

 これは誰の声? オルヴァーでは……ないみたいね。


「まさか。同じ日なんて、狙ったみたいですね」

 今度は、女の声……。

 近くで聞こえるから……この人が母親かしら?


「エルシーなら狙って産めてしまいそうだけど……流石にそれはないでしょ」

 さっきからエルシーって……。まさか、一夫多妻の国に私は産まれてしまった?


「それじゃあロゼーヌ、産まれたばかりの妹か弟のところに行こうか」

 これは想定外ね……。少なくとも、父親はエルフじゃない。

 もしかしなくても、この体はエルフの血が薄い。

 これは随分と弱体化してしまったはずだわ……。

 それに加えて、私の生まれた家は貴族である可能性が高い。

 間違いなく、女である私は政治の道具として使われてしまう。

 これは……タイミングを見極めて家出しないといけないわね。



「エルシー、大丈夫? おお、元気な女の子だ。とりあえずお疲れ様。産まれてくる時にいられなくてごめん」

 どうやら妹だったようだ。

 可哀想に……貴族の娘に生まれてきたばかりに政治の道具にされてしまうのね。


「……仕方ありませんよ。リーナさんと一分程度の差でしたから。そちらが……リーナさんの赤ちゃんですか?」


「そう、ロゼーヌだ」

 私の母親はリーナ……。

 聞いたことがない名前ね。少なくとも、里を出た娘たちにリーナなんて名前はいなかった。

 偽名? いや、わざわざそんなこともするわけないか……。

 となると……私はエルフ三世の可能性が高いわね。


「ロゼーヌちゃんですか。可愛いですね」


「エルシーの赤ちゃん……ノーラも負けないくらい可愛いけどね」


「ノーラですか。良い名前をつけて貰えましたね~」


「ほらロゼーヌ、妹だぞ……」


「ふふふ。まだわからないと思いますよ?」

 残念、わかっているわ。

 私が想定していたよりも最悪な状況にいることにね。



 ……一年後。

 この制限だらけの体で得られた情報を整理する。

 私は、想定していた以上に厄介な体に転生してしまったようだ。


 一つ、私の……この体の母親は、ほとんどエルフの血が感じられない。

 たぶんだけど……エルフの孫だと思う。私はひ孫。

 オルヴァー、まさか死んでしまったのかしら?

 この一年で一回も見かけなかった。

 これなら、オルヴァーを里に残しておいた方が……。いや、それは結果論だわ。

 獣王が彼女に深手を負わせていなかったら、いつ結界を壊されてもおかしくなかったのだから……。


 そしてもう一つ、幸か不幸かこの体の父親は転生者、たぶん勇者だということ。

 黒目、黒髪。この特徴は間違いなく勇者で間違いない。

 勇者の成長速度が一般人の数倍あることは有名……。なら、頑張れば二十年間で前の体ほど……とはいかなくても、半分以上の魔力を手に入れられるかもしれない。

 私に勇者の能力が引き継がれている確証はないけど……今ある希望はこれしかない。

 はあ、まさか四回目の人生にして初めて努力しないといけないことになるなんてね……。


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[一言] 更新お待ちしてました。 まだまだ暑い日が続きますが、体調に気を付けて物語を綴って下さいね。
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