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継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》 Web版  作者: リッキー
第十二章 教国旅行編

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第二十五話 フランク結婚

 

 新婚旅行から帰ってきてからしばらく経ち、フランクが結婚する日となった。

 あれから、モニカちゃんは魔法の練習を頑張っているみたいだ。

 マーレットさんも少しずつ子離れができてきたみたいだ。たまに涙を流しているみたいだけど、リーナがいろいろとフォローしてくれているみたいだ。

 そして俺はというと、程ほど休みながら領地開発の仕事を進めていた。

 あれだけ脅されて、仕事に熱中するわけにはいかないからね。

 ちゃんと家族との時間を取るように心がけていた。

 うん。最近、ちゃんと充実した生活を送れているな。


「フランクも結婚か。ジョゼとくっつけた時のことが懐かしいな」

 パーティー会場に入り、フランクたちの入場を待ちながらシェリーとリーナ、ベルとそんな話をしていた。

 エルシーとルーはそこまでフランクたちと接点が無かったということで、お留守番することになった。


「そうね。あの頃は、あんな初々しかったのに……」


「今では、私たちに負けないくらいラブラブですからね」


「そうだな。手紙から始まった恋がここまで花開くとは」

 フランクの背中を押して本当に良かったな。

 そういえば、あの時ベルの一声でジョゼを側室にすることになったんだよな。

 最初はどうなるのか不安だったけど、案外上手くいったな。


「あ、レオさん、リーナさん!」


「お、レリア、クーはどうした?」

 聞き慣れた声に振り向くと、レリアがこっちに向かって走ってきた。

 聖女の仕事が忙しいって聞いたんだけど、変わらず元気そうで良かった。


「どこかに隠れているんじゃないですか? こういう場所では、絶対に表に出て来ようとしませんので」

 そう言って、レリアが頬を膨らませてみせた。

 ハハハ。クーの奴、意外と恥ずかしがり屋なんだな。


「そうなんだ。まあ、少しずつ引っ張り出すと良いよ」


「はい。そうします」


 そんなことを話していると、フランクたちが入場してきた。

 おお。フランクは格好いいし、ジョゼとアリーさんも凄く綺麗だ。

「おお、いいね」


「ああ、エルシーにカメラを借りてくるんだった!」

 そんなことを言うシェリーに即席でカメラを創造して渡した。

 これを取り逃すなんて一生後悔するからな。魔力は惜しまない。


「ありがとう!」

 さっそく、シェリーがフランクたちを撮り始めた。

 後で写真をアルバムにして三人に結婚祝いのプレゼントにしようかな。


「ふふ。お姉様、凄く綺麗です」



「おい待て!」


「ん? なんだ?」

 何かサプライズイベントか?

 そんな楽観的なことを考えている内に、物騒な人たちが続々とパーティー会場に入ってきた。

 これは……流石に想定外ってやつ?


「このパーティーは中止だ!」


「あいつ、誰だ……?」

 俺が処理しちゃって良いのかな? もしかしたら、フランクが用意したサプライズかもしれないし……。


「さあ? 私も初めて見る」

 うん……誰かわからないのに、俺が手を出すのは不味いか……。


 そんなことを思っていると、すぐに不審者が名乗ってくれた。

「ボードレール家の次期当主はフランクじゃなくて、長男であるこの俺、ローラント以外にあり得ないだろ!」


「あれがフランクの兄さんか……」

 兄弟なのに、全然似てないな。


「どうする? 私の魔法で全員殺す?」


「いや……やめておこう。主役より目立つのは悪いだろう?」

 そんなことを言っているうちに、フランクの兄さん以外の不審者たちがバタバタと倒れていった。

 おお。的確に心臓を撃ち抜いてるぞ。フランク、腕を上げたな。


「折角良い雰囲気だったのに……邪魔しないでくれる?」


「う、嘘だろ……」


「で、わざわざ僕に殺されに来たわけ?」

 フランクはそう言うと、一人残った自分の兄に掌を向けた。


「く、くそ!」


「逃がさないよ」

 フランクの兄さんが逃げようとドアに向かって走り始めると同時に、フランクの兄さんの両足が吹っ飛んだ。

 うわ……えげつねえ。あれなら、殺してやった方が楽だったんじゃない?


「ぐああああ!」


「早く運び出して!」

 フランクの号令に、足を押さえて叫ぶ男と複数の死体はすぐに係の人に運び出されていった。


「皆さん、愚兄が失礼しました。多少汚れてしまいましたが、パーティーを楽しんでいってください」

 いや……それは無理があるだろう。


「まったく。リーナ、この部屋を綺麗にしてやりな」


「はい」


「あ、私にやらせてください! 私も成長したんですから!」

 そう言って、レリアが聖魔法を部屋全体にかけた。

 すると、みるみるうちに血の跡はなくなってしまった。


「おお。凄いじゃないか」


「ふふ。ありがとうございます」


「それじゃあ、恒例の挨拶に向かうか」



「さっきはありがとうね」

 挨拶に行くなり、俺たちがおめでとうを言うより、フランクが先にお礼を言ってきた。


「礼ならレリアに言ってくれ」


「レリアさん、ありがとう」


「い、いえ。あれくらい大したことありません!」


「それにしても、随分とわかっていたような手際の良さだったな」


「そりゃあわかっていたさ。あんなの、普通はパーティー会場に入るのも無理でしょ」


「やっぱりわざとだったんだな」

 手を出さなくて良かった~。

 せっかくの演出を台無しにしてしまうところだった。


「そうだね。あれを見たら、誰も俺がただレオの隣にいた奴とは思わないだろ?」

 やっぱり、他の貴族に舐められないようにするための演技だったか。

 まあ、公爵家なのに俺の取り巻きみたいな扱いをされるのは、ボードレール家にしてみれば心外も良いところだよな。


「私は反対したんですからね? もしも旦那様に何かあったら嫌じゃないですか」

 まあ、これが普通の意見だな。

 前のシェリーやリーナで、ベルでも同じことを言っていただろうな。

 ここ最近、戦争やら暗殺やらを経験して、ミュルディーン家の常識がおかしくなってしまった気がする。


「大丈夫だって。ちゃんと相手の戦力を把握してからこの作戦を立てたって言っただろ?」

 フランクも随分と俺に毒されたよな。

 貴族学校に入ったばかりのフランクだったら、絶対にこんなこと言わなかった。


「むう。アリーも何か言ってやってください」


「え? まあ、私はフランクなら大丈夫だと思っていたわよ」


「へえ~。アリーさんまで私を裏切るんですか? 式が始まるまで、あんなにぷるぷる震えていたのに。強がらなくて良いんですよ?」


「あれは人前に出る緊張で少し震えていただけだから!」


「嫁さんたち、仲よさそうで良かったな」

 面白おかしい言い合いをする二人を見て、思わずそんなことをフランクに言ってしまった。


「まったくだよ。そういえば、ヘルマンはどうした?」


「アルマと端の方でパーティーを楽しんでいるよ。たぶん、挨拶も最後の方に来るんじゃないかな」


「まったく、気にしなくて良いのにな」


「まあ、ヘルマンもアルマに忙しいから」


「それじゃあ、仕方ないな。そういえば、あれからヘルマンとアルマの勝率はどうなったんだ?」


「あまりにも決まらないから、来週にでも闘技場を貸し切って二人を一日戦わせることにしてみた。それでもヘルマンが三連勝できなかったどうしようかな……」

 この前二人に戦績を聞いてみたんだけど、勝敗と引き分けが偉い数になっていた。

 それでも、買った数と負けた数に差がないというのが凄いよな……。

 むしろ、わざとやっているんじゃないのか? と何度疑ったことか。


「へえ。それは是非とも見届けたいな。俺も招待してくれるよな?」


「もちろん」


「ヘルマンもレオに巻き込まれて散々大変な目にあってるからな。そろそろ幸せにさせてやらないと可哀想だ」

 そんなことはわかっているんだよ。


「わかっているんだけど、俺にできることは部隊を用意してやるくらいなんだ」


「本当、真面目な奴だよな……。仕方ない、後で少し発破をかけておくか」


「程ほどにしてあげなよ」



 SIDE:フランク

「「ご結婚おめでとうございます」」

 まさかヘルマン、最後に来るとは。

 アルマに夢中だとは言え、流石にそれは酷いんじゃないか?


「ありがとう。二人とも元気にしていたか?」


「はい。見ての通り、二人揃ってとても元気です」


「それは良かった。……レオから聞いたぞ。まだアルマと決着ついてないんだって?」

 元気なのは見ればわかるから、さっそく発破をかけてみた。


「……はい。まだついてません。ですが、来週には絶対」


「ああ、お前なら大丈夫だ。来週、俺も応援しに行くから、しっかりと決めてくれよ?」

 そう言って、ヘルマンの肩をポンポンと叩いた。


「もちろんです」

 うん。その気持ちで頑張れよ。



「ふう。なんか疲れたな」

 パーティーが終わって自分の部屋に戻ると、どっと疲れが襲ってきた。

 はあ、このまま寝てしまいたい。


「フランク様、旦那様がお呼びです」

 まあ、そうだよね。


「わかった。すぐ向かうよ」



 父さんの部屋に入ると、父さんとその足下に転がっている兄さんがいた。

「フランク、改めておめでとう。そして、見事だったぞ」


「あ、ありがとう」

 この状況で祝福されてもな……。


「はあ、兄弟でこうも差が出てしまうのはどうしてなんだろうか……?」

 ため息をつきながら、父さんが床に転がる兄さんに目を向けた。

 そんなことを言われても、兄さんは恐怖からか口をしっかりと閉じて、一言も話そうとしなかった。


「兄さん、どうしてわざわざこんなことをしたんですか? 大人しく生きていれば、こうはならなかったのに」


「……」

 どうやら、俺の質問にも答えてくれないようだ。

 はあ、本当にこの人は可哀想な人だな。ここで、少しでも謝罪でも弁解でもしていれば少なくとも殺されなくて済んだかもしれないのに。


「大方、教国の貴族たちに唆されたんだろうよ。あとは、庶民の生活に耐えられなかったかだな」


「……」


「はあ、兄さんをどうするの?」


「殺すしかないだろう。一度は見逃したんだ」


「や、やめてくれ! 殺さないでくれ! お願いだ!」

 やっと口を開いた。けど、それしか話せないのか。


「今日、兄さんは俺たちを殺そうとしたんだよな?」


「あ、ああ……」


「それなら、自分も殺される覚悟をしてから来るんだったな」

 それだけ言って、俺は部屋を後にした。


「ま、待ってくれ! 殺さないでくれ! 頼む! 頼む!」

 何を言われようと無視だ。

 はあ、一回でも謝ってくれたら殺さないよう、父さんに頼んでやったのに。



「ただいま」

 部屋に戻ると、着替え終わった二人が椅子に座っていた。


「お疲れ」

「お疲れ様です」


「二人とも、今日はごめん。あんな結婚パーティーなんて、嫌だったよね」

 俺はすぐに二人に頭を下げた。

 家の為に仕方なかったとは言っても、あれは酷いよな。


「何を言っているのよ。三人でちゃんと同意して決めたことじゃない」


「そうですよ。あれくらい平気です」


「「だから、そんな暗い顔をしないで(ください)」」

 そう言って、二人に顔を持ち上げられた。

 そして、視界に入った二人の顔はこれ以上ないくらいの笑顔だった。


「めでたい日なんですから、笑顔ですよ?」


「そうよ。台無しにしたくないなら、少しくらいは嬉しそうにしなさいよ。私たち、やっと結婚できたのよ?」


「ええ? それをアリーが言います? それ、絶対私のセリフです」


「ちょっと何を言っているのよ。今はそんな細かいことなんてどうでも良いでしょう?」


「ハハハ。確かに楽しくしないと損だな。二人とも、元気づけてくれてありがとう」

 二人と一緒にいると、すごく簡単に笑顔にさせて貰える。

 俺は、そんな二人と結婚できて本当に幸せ者だな……。

 そんなことを思いながら、俺はジョゼとアリーを抱きしめた。


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