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第一話 レオ成人

一ヶ月も更新しなくてすみませんでしたm(_ _)m

 

 カイトの結婚式から少し間が空いて、俺は十六歳になった。

 遂に、大人の仲間入りだ。

 と言っても、三国会議の準備でまだ成人パーティーを開けていないから、正式にはまだ大人として認めて貰ったことにはなっていない。


 王国が戦争を仕掛けてくるタイミングによるけど、三国会議が終わってシェリーの成人と俺たちの結婚を一纏めにして祝う形になるかな。

 もし、戦争が長引いたり、王国がなかなか攻めてこなかったりしたら、全て延期になってしまうんだけどね。


 三国会議に話を戻すと、三国会議は十日後から始まる。

 大体、一、二週間はどの国もここに滞在するみたい。

 俺はその間、各国のお偉いさんたちの接待をしないといけない。


 そして、現在は皇帝と三国会議前最後の会議を行っていた。

 ミュルディーン城の会議場に、皇帝、クリフさん、エリーゼさんとその部下、俺がいる。

 今回の件でクリフさん久しぶり会った。クリフさん、今は元気そうだけど、これから皇帝の補佐として忙しくなるだろうな。

 相変わらず真面目だから、こっちとしては助かっているけど。

 今日も、そんなクリフさんが会議を仕切っていた。


「早ければ明日から各国のお歴々がここに到着するという話でしたが、今のところ帝国に入ったという報告はあるのですか?」

 今、話し合われているのは、各国の進行状況についてだ。

 遅くても速くても、主催地としては対応しないといけなくなるからね。


「はい。教国は先行して、教皇の右腕であるフォンテーヌ家が帝国に入ったという報告がありました。王国の方からは、まだ報告はありません」

 クリフさんの質問に、エリーゼさんの部下がすぐに答えた。

 フォンテーヌ家、どこかで聞いた名前だな……。


「王国は、ギリギリまで来ないつもりだろう。それにしても、フォンテーヌ家といえば現聖女がいる家ではないか。何が目的だ?」

 現聖女? ああ、リーナたちを追い出した後に聖女になった人か。

 その家となると……リーナのことを邪魔に思っていそうだな。


「いえ、敵意はないと思われます。フォンテーヌ家は帝国よりであることで有名な家ですから」

 へえ、そうなんだ。意外だな。


「先日、フォンテーヌ家の長女がボードレール家の次期当主と婚約しましたからね。そこまで警戒する必要もないでしょう」

 ああ、そうだった。フォンテーヌ家ってフランクの婚約者の家だ。

 通りで聞き覚えのある名前だと思ったよ。フランク、二人の婚約者と上手くやってるかな……?


「そうだな。それじゃあ、早く到着したフォンテーヌ家の対応は、レオに任せた。聖女も同行しているだろうから、聖女の相手はシェリーに任せておけ」


「はい。了解しました」

 皇帝の言葉に、俺はすぐに頷いた。

 これが今回、俺が任された仕事だからな。


「次、王国についてですが、国王以外に王女と勇者は三国会議に参加できそうですか?」


「はい。妊娠されて、参加を見送ると思われていたエレメナーヌ王女ですが、勇者とこちらに向かっていると報告を受けています」

 そう。エレーヌ王女、最近妊娠したらしい。だから、安全を取って三国会議には参加しないと思われていた。

 エレーヌ王女がいないと、王国とはまともに話も出来ないだろうから困っていたんだけど……どうやら心配ないみたいだ。


「そうか。王女の安全確保、任せたぞ」


「はい。お任せください」

 皇帝の念押しに、俺は力強く返事した。

 まあ、カイトがいればエレーヌが暗殺される心配なんてないと思うんだけど。


 それから色々と最後の確認を終え、俺は自室に戻った。

「ただいまー」


『レオ、成人おめでとう!』


「うわ! え?」

 部屋に入ると、ドアの前で待ち構えていたシェリーたちが抱きついてきた。

 不意を突かれた俺は、勢いに負けて倒れてしまった。


「ふふ。驚きました?」

 俺の上に乗っているリーナが嬉しそうに聞いてきた。


「うん。凄くビックリした。俺が会議に行っている間、ずっとドアの前で待っていたの?」


「そうですよ。折角の成人なんですから、私たちだけでも祝ってあげないと寂しいじゃないですか?」


「と、言いたいところだけど、待ちくたびれてさっきまで皆椅子に座っていたけどね。ベルが匂いで近づいてくるのを教えてくれなかったら、失敗していたわ」

 ハハ、なるほどね。会議、予定よりも長引いてしまったからな。

 そりゃあ、あの時間ドアに張り付いているなんて無理だ。

 俺はベルの頭を撫でてあげた。


「皆ありがとう」

 起き上がった俺は、改めて五人を纏めて抱きしめた。


「どういたしまして。ということで、はい。私たちからのプレゼント」


「わあ。ありがとう。開けるね」

 シェリーが掌サイズの箱をくれた。

 受け取った俺はすぐに中身を確認した。

 すると……綺麗に輝いている魔石が入っていた。


「もしかして、皆の魔力が詰まった魔石?」

 魔石にシェリー、リーナ、ベル、ルーにエルシー、五人全員の魔力が魔石から感じられる。


「悩みに悩んだ結果、こうなりました」


「これなら、レオくんでも造れませんからね!」


「うん。これはどんなに頑張っても造れない。一生の宝物だよ」

 エルシーの言う通り、無理だな。

 魔石にこめられた魔力の量も凄いし……一年くらいかけて用意してくれたのかな?

 本当、最高のプレゼントだ。


「それで何か魔法アイテムを造っても良いのよ?」


「いや、これはお守りにするよ。どこにいても皆を感じられるからね」

 せっかくのプレゼントを魔法アイテムの素材にするなんて出来ないよ。

 これは魔石として残しておきたい。


「それは嬉しいわね」


「喜んで貰えて良かったー」


「うん。皆、素敵なプレゼントをありがとう」

 魔石をポケットに仕舞い、皆にお礼代わりのキスをしていった。


「えへへへ。レオに初めてキスされた」


「あれ? そういえば、ルーとキスしたことなかったか」

 何気なく流れでルーもキスしたけど、そういえばルーとは初めてのキスだった。

 珍しく顔を赤くしているルーを見ながら、ファーストキスがこれは良くなかったかな? などと思ってしまった。


「ルー、意外と恥ずかしがり屋ですからね」


「恥ずかしくて、言い出せなかったんだよね?」


「うるさい!」

 シェリーとエルシーの言葉に、ルーが更に顔を赤くしながら怒っていた。

 見た目は成長したけど、ルーはまだまだ子供だな。


「ハハ。皆、仲が良くて嬉しいよ」


「そりゃあ、五年近く一緒に生活していればね」


「そうか。ルーと出会ってからもう五年も経つのか……」

 時間が経つのは速いな。


「私たちも、もうすぐ成人するしね」


「そしたら、遂に結婚ですね」


「結婚ですか……。レオ様とこれだけ一緒に生活していると、実感が湧きませんね」

 まあ、ベルは特に俺と一緒にいたからな。

 最近、やっとメイドと主人の関係から恋人として俺を見られるようになってきたくらいだしね。


「まあ、結婚すれば実感が湧くと思いますよ。シェリーさんは特に」


「え? 何で?」


「正妻は一早く、お世継ぎをつくらないといけませんからね」


「そ、そうね……頑張らないと」

 ニヤリと笑ったエルシーの言葉に、シェリーが頬に手を当てながら顔を赤くしていた。


「ま、まあ。そんな気負わなくても良いと思うよ。うん」


「アハハ。レオもシェリーも顔真っ赤~」

 うるさい。お前もさっきはキスされただけで真っ赤だったろ!


「あ、そういえば、明日には教国が到着するみたいだよ」

 気まずくなった俺は、話題を一気に変えた。

 そういう話は、俺がいないところでしてくれ。


「随分と早いですね」


「うん。と言っても、教皇の部下が先に来ているだけなんだけどね」


「ああ、そういうことですから。どこの家が来るのか聞いていますか?」


「えっと……フォンテーヌ家って言っていたかな。ほら、フランクが婚約した」


「なるほど。あそこは、帝国派の貴族ですからね」


「帝国派?」


「はい。教国には帝国と仲良くしたい帝国派と王国と仲良くしたい王国派の貴族がいるんです」

 そういえば、帝国よりの貴族だから、敵意はないだろうって会議でも言われていたっけ。

 それにしても、教国には小さい頃しかいなかったはずなのに、リーナはよく覚えているな。


「そうなんだ。次期教皇帝国派というのはありがたいね」


「そんなことありませんよ。フォンテーヌ家の当主は、自分に都合が悪くなったら、平気で妹を殺す人ですから。あの家を信用するのはよくありません」


「え?」


「私のお母さんは、教皇と兄であるフォンテーヌ家の当主に殺されました」

 ちょっと待って……急に思わぬ事実が飛び込んできて、頭が追いつかないんだけど。

 まず……帝国派のフォンテーヌ家の当主は、何か都合が悪いことがあって自分の妹を殺した。

 そして、その妹がリーナのお母さんであると……。

 だから、フォンテーヌ家を信用してはいけないと。

 うん。理解出来た。


「そうだったんだ……。それなら、教国も信用しない方が良いか」

 教国は王国と違って帝国と仲良くしたい貴族がいるんだ。と思ってさっきまで喜んでいたけど……現実はそんなに甘くないよな。


「はい。あそこは信用するべきではないです」


「忠告ありがとう」

 思い出したくない過去をわざわざ話してくれたんだ。

 しっかりと、この情報を活かさないと。

 リーナをギュッと抱きしめながら、俺はそう心に誓った。


「いえ……」


「ねえ。それじゃあ、リーナはその……フォンテーヌ家に会わない方が良いよね?」

 俺がリーナの頭を撫でていると、シェリーが遠慮がちにそんなことを聴いてきた。

 明日から、シェリーとリーナには貴族たちを出迎える時に一緒にいて貰うことになっていたからね。

 しかも、教国の聖女の接待はシェリーたちに任せる予定だったし。

 うん。シェリーが大変になっちゃうけど、リーナには休んでいて貰おう。


「いえ。心配しなくても大丈夫ですよ。流石に、何かしてくることはないと思います。今は、帝国派として活動しているわけですから」


「そう?」


「大丈夫です。いつまでも怖がっていたら前に進めませんから」


「うん……わかったよ」

 本人が頑張るって言っているんだ。

 邪魔するのは余計だろう。


「大丈夫。何かあったら、私が守ってあげるから!」


「ハハ。ルーが守ってくれるなら安心だ」

 今のルーは、俺でも勝てないからね。

 本当、美しくもなったけど、それ以上に恐ろしさが増したな。


六巻の原稿が書き終わりました。

発売はまだちょっと先ですので、情報が解禁され次第また宣伝させて貰いますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ミュルディーン城の会議場に、皇帝、俺、クリフさん、エリーゼさんとその部下、俺がいる。 って俺が2回書かれてますよ。
[良い点] 更新お疲れ様です ついに三国顔合わせですね リーナとフランクの行く末が気になります [気になる点] ミュルディーン城の会議場に俺=レオンが2人居た気が....... [一言] 次回の更新も…
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