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第十一話 最高難易度のダンジョン


 魔の森から帰ってきてから二日目、今日からまた戦争の準備を進めていきたいと思う。

 今日はとりあえず、ダンジョン造りだな。

 本当なら、学校を先に建ててしまうつもりだったんだけど……ダンジョンを造る方が楽しそうだから仕方ないよね? と自分の中で言い訳をしておいた。


 創造する場所は、騎士団と魔法騎士団の訓練場地下だ。

 とりあえず兵力の強化を優先したいからね。

 ダンジョンを使って遊ぶのは、また余裕が出来てからだ。


 というわけで、ダンジョンを造る前に訓練場を建ててしまおう。

 地上の訓練場でしっかりと基礎訓練が出来るようにして、実践的な訓練やレベル上げは地下のダンジョンを使ってやって貰おうと思っているんだよね。

 ただレベルを上げるだけだと、強くはなれないからな~。


 そんなこんなで、午前中全部と午後の二時間くらいを使ってミュルディーン家の訓練場が完成した。

 いや~造っていたら段々と熱が入ってしまって、あれこれ機能を付け足していたら予想の倍以上の時間がかかってしまった。

 まあ、満足出来るものが造れたから良いとしよう。

 

 それじゃあ、下準備も終わったことだしダンジョンを造り始めるか。

 俺は地下に続く階段を造り、地下に大きな扉を創造した。

 そして、扉の奥に少しだけ空間を広げた。


「この空間を大きくするようにイメージして造ればいいのかな? あと、騎士団を強化するのと、死んだら生き返るイメージも込めておくか」

 そんなことを言いながら、俺は一昨日手に入れたボス魔物の魔石を取り出した。

昨日の夜に魔力はしっかりと注いでおいたから、魔石はすぐに使える状態だ。


「さてさて、どんなダンジョンが出来るかな?」

そう言って、俺は創造魔法を使った。

すると……『ゴゴゴゴ……!!』という地鳴りと共に壁やら地面やら何やら凄い勢いで動き始めた。

いや、何というか、俺がいる部屋ごと地下の奥深くに運ばれている感じ?

たぶん凄い勢いでダンジョンが造られているんだと思う。


横に移動したり、下に行ったり、三半規管が馬鹿になって気持ち悪くて仕方ない。

「うえっぷ。吐きそう……まだ終わらないのかよ……」

 魔力を使いすぎたか?

 くそ……初めてだからって全力でやらなければ良かった。


 それから吐き気に数分間なんとか耐え、ようやく地面の動きが止まった。

「うう……止まったみたいだけど視界がグルグルして気持ちわる……」

 目が回って立ち上がれないんだけど。

 もうちょっと、術者に優しく出来ないかな?

 そんな文句を言いながら、俺は回復を待った。


「よし、治った。全く……こんなことになるとは。はあ、さっそく状況確認をするか」

 車酔いならぬダンジョン生成酔いから、なんとか立ち上がってまっすぐ歩けるまで回復した俺は、先ほどまでは地上に繋がる階段があった扉の向こう側に顔を出した。


「ん? 大きな部屋だな……」

 俺が顔を出した先には、何も無くてただ広いだけの空間が広がっていた。


「もしかして、ボスがいないボス部屋?」


『はい。そうです』

 俺が疑問を呟くと、どこからともなく聞き慣れた声が聞こえてきた。


 この声は……

「アンナか?」

 いつも、俺を助けてくれるナビゲーターの声だった。


『はい。どうやら、ダンジョンの案内役に私のコピーが移植されたみたいです。ゴーグルの方の私とデータは常に共有されていますので、同一だと思って貰って構いません』

 うん……何言っているかよくわからないけど、とりあえずアンナがこのダンジョンについて教えてくれるってことだよね?


「了解。それじゃあ、さっそく質問なんだけど、ここは地下何階なの?」


『ここは、地下二十五階でございます』


「二十五階? 思ったよりも浅いんだね」

 あんなぐわんぐわん振り回されたのに、意外と浅いな。

 浅くても三十階だと思ったんだけど……あんな気持ち悪くなったのに、凄く残念だ。


『いえ、最初にしては十分大きなダンジョンだと思います。普通、初期のダンジョンは一階層から始めるものですから』


「確かに、言われてみればダンジョンって成長しそうだもんね。それじゃあ、階層ってどうやれば増やせるの?」


『ダンジョンコアを使って操作していただければ出来ます。ただ、たくさんの魔力が必要になりますので、今行うのはおすすめしません』

 なるほど、全て魔力で解決できると。


「了解。それじゃあ、ダンジョンコアを……あれ? ダンジョンコアはどこ行った? ああ、目立つ場所にあった」

 ダンジョンを創造する前まで、しっかりと持っていたはずのボスドラゴンの魔石が手元に無くなっていたことに気がついてさっきまでいた部屋に戻ると、しっかりとした台座に大きな魔石が乗せられていた。

 この部屋、いつもダンジョンを攻略した時に来る最後のスキルが貰える部屋に似ているけど、ダンジョンコアがここまで大きいダンジョンは無かったな。

 とすると、このダンジョンはどこまでも大きくなるポテンシャルがあるってことだな。


「それじゃあ、さっそくダンジョンの操作を始めるか。ダンジョンコアの使い方は、帝都の屋敷で既に勉強済みなんだよね~」

 俺はそんなことを言いながら、ダンジョンコアの中にある魔力を動かした。

 すると、大きな魔石の中にダンジョンの立体地図が映し出された。


「お~。本物ダンジョンはこうなるのか。確かに、二十五階だ。それにしても、めっちゃ道が入り組んでいて複雑だな」

 どの階層も道があっちこっちに行っていて、地図を使って解くのも難しい高難易度の迷路になっていた。


『はい。騎士団の訓練用なので、最高難易度のダンジョンに設定されています』


「へ~。自動で難易度に沿ったダンジョンを造って貰えるんだね」

 俺のイメージだと、ダンジョンコアを使って自分で道を造ったり罠を仕込んだりする感じだったんだけどな?


『最初に造られる階層だけですよ。普通なら一階層だけです』


「ああ、そういうことね。最初のお手本ってことか」

 普通なら範囲が狭い一階層だけだからそこまでのお手本にはならないんだろうけど、最高難易度の設定で二十五階も造ったら、とんでもない高性能なダンジョンになってしまったということだな。


『はい。ただし、最高難易度に設定されたダンジョンを維持するには、魔力がたくさん必要になってしまいます。それと、このダンジョンは挑戦者が死んだ場合蘇生をする仕組みになってもおりますので、更に魔力が必要で……今の段階でレオ様の半分くらいの魔力が一日で必要になってきます』

 自動で蘇生される仕組みがちゃんと採用されたみたいで良かったな。まあ、とんでもない魔力がその分必要になってしまったけど……。


「俺の半分か……。それは、随分とコストがかかるな」

 俺が全力で魔力を注いだとしても、二日しか維持できないってことだよね?

 それだと、随分とダンジョンに生活が拘束されてしまうな……。

 流石にこれからどんどん忙しくなっていくだろうし、二日に一回は厳しいな。


『はい。だから、普通のダンジョンは蘇生なんて行いません』


「だろうね。どう考えても無駄だもん。魔力の供給は、俺がコアに直接供給する以外に何か方法はあるの?」


『基本的にダンジョンは侵入者から魔力を少しずつ吸収して活動します。ですから、ダンジョンはなるべく人を集めようと工夫されているのです』

 やっぱりか。予想通りだな。


「それじゃあ、どうして魔物がいるんだ? ああ、殺したらもっと魔力が手に入るのか」


『はい。そうです。あとは、なるべく魔力が多い人を集める為ですね。魔力が多い人の方が吸収の効率がいいですから』

 ああ、魔力が多い人がダンジョンにいると、その分魔力が吸収されるのか。

 それは良い情報だ。


「それと……あとは、このダンジョンに魔物はまだいないことだな。どうしていないんだ?」

 魔物だけは、最初に用意してくれないのか?


『それは魔力が足りていないからですね。コアに魔力を注ぐと自動で魔物と罠が生成されるようになりますよ』

ああ、魔力が不足して完成できなかったのか。

言われてみれば罠も無かったし、ダンジョンと言うよりただの迷路だな。


「了解。それじゃあ、俺の魔力を全部注いでみるよ」

 俺は残りの魔力を全てダンジョンに注いだ。

 さっきダンジョンを創造した時から酔いにうなされていたから時間がそこそこ経っていて、最大の三分の二くらいまで魔力が回復していた。

 これだけあれば、大丈夫だよね?


 そして魔力が注ぎ終わると、ダンジョンコアの立体地図に赤い点々が次々に現れ始めた。

 一階層から順番に赤い点々が波のように増えていっている。

「もしかして、この赤いのが魔物ってこと?」


『はい。試しに、一階層のボスを見てみてはいかかでしょうか?』


「一階からボスがいるのか……」

 そんなダンジョン、今まで見たことがないぞ?

 そりゃあ、魔力がたくさん必要になるわけだ。

 後で、シェリーたちにも挑戦して貰って、ダンジョンの魔力供給を手伝って貰わないといけないな。

 そんなことを考えながら、俺は一階層のボス部屋あたりの魔力を動かした。

 すると、大きなゴブリンとその周りにウジャウジャ普通のゴブリンがいる部屋が映し出された。


「おいおい、一階層からとんでもない難易度だな」

 普通のダンジョンの十階くらいでも、こんな難しくないと思うぞ。

 何がキツいって、ボスを相手しながら雑魚も倒さないといけないってことだ。

 これは……魔法使いとかいないと先には進めないな。


「これが一階ってヤバすぎるだろ……」

 ゴブリンたちで緑に染まった部屋を眺めながら、俺は繰り返し自分が造ったダンジョンの難易度に驚きの言葉を呟いてしまった。


『最高難易度のダンジョンですからね』


「高コストなだけあるよ」

 そうこうしているうちに、二十五階まで赤い点が来てしまった。


「お、魔物の生成が終わったみたいだな」

 そう言って、俺は隣のボス部屋に顔を出してみた。

 すると……そこには大きなドラゴンがいた。

 青いドラゴンだ。

 初めて見るドラゴンだな……鑑定してみるか。


 ブルードラゴン Lv.150

 体力:21000/21000

 魔力:50000/50000

 力:310

 速さ:13000

 属性:風、氷

 スキル

 風魔法Lv.7

 氷魔法Lv.6

 防御無効化



「うん、二十五階でこれは強すぎるって」

 これから階層を増やしていったらどんなダンジョンになってしまうんだよ!


『最高難易度ですから』

 最高難易度って……その言葉、絶対気に入ったでしょ?



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― 新着の感想 ―
[一言] ブルードラゴンは、エターナルフォースブリザードが使えそう感があるな。
[一言] 得てして戦争は準備している時が一番楽しいもの…
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