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第七話 計画遂行


 現在、俺たちは全員風呂に入り、喋りながら夕飯を食べている。

 もちろん、誰も料理は出来ないから、俺のバッグに入っている保存食を食べている。

 まあ、保存食と言っても普通のパスタなんだけど。

「それにしても、まさか本当にほんの数時間で十階まで来てしまうなんてな」

 学校では行儀良く食べているフランクが、今日は俺たち三人しかいないからかパスタを頬張りながら話し始めた。


「出て来る魔物が思っていた以上に弱かったですしね」

 ヘルマンはいつも通り、男らしくバクバクと食べながらフランクと会話を始めた。


「そうだな。ダンジョンって、もっと恐ろしいイメージがあったんだけどな」

 学校では、ダンジョンは災害の元として教わるからね。


「まあ、このダンジョンはラスボス以外雑魚だから」


「そうなのか? 逆に、ラスボスはそこまで強いのか?」


「よく考えてみなよ。こんな魔物が弱くて罠も無い簡単なダンジョン、とっくに制覇されていてもおかしくないでしょ?」

 そこそこ強い冒険者がとっくの昔に踏破できているはずでしょ?


「確かに、そうだな……」


「このダンジョン、ラスボスだけ異常に強いんだよ。それまで、どうぞ踏破して下さいと言わんばかりの難易度だったのが、急にSクラスのパーティーでも何も出来ずに全滅するくらいにまで難しくなる」

 実際、これまでラスボスに挑戦した人たちはことごとく失敗に終わっている。


「それは、随分とバランスの悪いダンジョンだな」

 そうなんだよね……。


「なんか、ダンジョンに意図があるのかな?」

 ラスボスに倒されても殺されることは無いみたいだし、何かありそうなんだよな……。

 冒険者を鍛えたい、とか?

 いや、それだと少しずつ難易度を上げていった方が冒険者は強くなるよな?

 うん……わからん。


「ダンジョンに意図? ダンジョンって、意思があるのか?」


「いや、造った人の意図と言うか……」


「え? ダンジョンって、人が造ったものなんですか?」


「どうなんだろう? でも、造れるみたいだぞ」


「どうやって?」


「創造魔法だよ。もしかすると、高レベルの創造魔法ならダンジョンを造ることが出来るかもしれないんだ」

 俺の家を改造した時に、ダンジョンにするにはレベルが足りませんって出てきたからね。

 もしかすると、ダンジョンに出来るのかも。


「それじゃあ、いつかはレオも創造魔法でダンジョンを造ることが出来るってことなのか?」


「たぶんね」


「造るのはいいが、間違っても災害になるとかはやめてくれよ?」

 災害か……。創造に失敗とかしたらあり得るのかな?

 とすると、もしかたら帝都の屋敷から魔物が大量発生していたのかもしれないのか……。


「も、もちろんわかってるよ。ま、まさかそんな馬鹿なことをするわけないじゃないか。それに、まだ造れると決まったわけじゃないし!」


「まさか、もう既に造ろうとしていたな?」

 ギクリ!


「師匠が造ったダンジョン、楽しそうですね。もし造った時は、僕を呼んで下さい!」


「造ることが出来たらね。よし、それじゃあそろそろ行くか」

 食べ終わった俺は、手を合わせてから立ち上がってバッグを持ち、アンナを装着した。


「ん? どこに行くんだ? まさか、今からまた攻略を始めるのか?」


「ちょっとね。二人は寝てていいよ」

 ここからは、極秘なんでね。

 俺だけで行ってくるよ。


「おい、今度は何をしでかす気だ?」

 しでかすって、何か悪いことをするみたいじゃないか。

 まあ、ある意味悪いことになるのかな?


「そんな大したことじゃないよ。ちょっとダンジョンを踏破してくるだけさ」


「はあ? って、おい!」

 俺はフランクの文句を聞く前に転移した。

 だって、長くなりそうだったんだもん!



「よしよし、予定通りだな」

 転移して来た俺は、ボス部屋の前でウンウンと頷く。

 ボス部屋と言っても、ここはとあるダンジョンのラスボスだったりするのだが……。


「それにしても、こっちのダンジョンはあっちに比べて本当にキツかったな。霧が濃くて道に迷うし、罠が多くて思うように進めないし。おかげで、この一週間フルで寝られなかったからな……」

 ここは、霧のダンジョン。

 その名の通り、ダンジョンの中がずっと霧で覆われている。

 俺は、アンナのおかげで少しはマシになっているが、それでも方向感覚が狂って同じ道を何度も行ったり来たりしてしまった。

 本当、大変だったな。


「でも、こうして計画を成功させられると思うと寝不足なんて屁でもないな。さて、どんなボスが登場するかな……」

 俺は達成感に浸りつつ、扉を開けた。


「うお! 霧で何も見えない! しかもなんかこの霧、色が毒々しいんだけど!」

 開けた瞬間、いかにも毒とわかる紫色のガスが飛び出してきた。


「アンナ、これ毒だよね?」


(はい、猛毒です。状態異常無効の装備が無かったとしたら即死レベルです)


「マジか。霧で何も見えないから、どんな魔物かもわからないしな……」

 ボスを見つけないことには始まらないから、とりあえずボス部屋の中を歩き回ってみることにした。

 それにしても、何も音が聞こえないな……。

 普通、ボスって大きいから動けば音が響くんだけどな……。

 と思いつつ歩いていると、意外とすぐにボスが現れた。


『シャア~~!!』


「うお! でっかい蛇だ」

 出てきたのは、頭が複数ある大きな蛇だった。

 どうやら、毒ガスはこいつが出しているみたいだ。

 複数ある頭のうちいくつかが、口から紫色のガスを吹き出していた。

 さて、鑑定してみるか。

 俺は、蛇とちょうどいい距離を保ちつつ鑑定を行った。


<ヒュドラLv.70>

 体力:8000

 魔力:13000

 力:8000

 速さ:7000

 属性:毒

 スキル

 毒魔法Lv.6

 再生


「あっちを三人で攻略することにしておいて良かったな」

 まあ、ここに来るまでが大変だから元々そのつもりは無かったけど、もし三人で戦ったら剣の攻撃が効かなくてヘルマンが何も出来なかっただろうからね。

 きっと、拗ねちゃっていただろうな……。


「さて、どうやって倒すのが正解かな? たぶん、斬っても……」


「こうなるよな」

 試しに斬撃を飛ばして全ての首を斬ってみたのだが、すぐに再生して頭が生えてきてしまった。

 うん、ヘルマンを連れて来なくて良かった。


「それじゃあ眠いし、死ぬまで斬っている元気も無いから一番手っ取り早い方法にするか」


「それじゃあ、さようなら」

 俺は、一番簡単な方法……魔法で燃やすを選択した。

 再生が追いつかなくなるまで、魔法で燃やし続けるという作戦だ。

 どうやら効果があるのか、ヒュドラは断末魔をあげながら俺に突進してきた。


「よっと。あと少しかな?」

 俺は、ヒュドラの決死の攻撃を避けつつ、更に火力を強めていく。

 そんなことを五分くらい続けていると、ヒュドラの動きは鈍くなり、最後は全く動かなくなった。


「ふう、上手くいって良かったな。あ、ドロップした」

 思ったよりも簡単に終わったことに喜びつつ、俺はヒュドラが消えた後に残った牙を持ち上げて、鑑定を使った。


<ヒュドラの牙>

 猛毒につき取り扱いに注意


「怖いな。でも、使えそうな素材だからありがたく貰っておこう」

 俺は良さげな素材に喜びつつ、毒が怖かったからすぐにしまった。


「さて、後は奥の部屋に行ってダンジョンの魔石に触って終了だな。さてさて、奥に続く扉はどこかな~」

 霧のせいで扉がどこにあるのかわからないから、とりあえず壁づたいで歩いて探すことにした。


「あ、やっぱりあった。さて、どんなスキルを貰えるかな~」

 扉を発見した俺は、そう言いながら扉を開けた。

 部屋の中は霧が晴れていて、中を簡単に確認することが出来た。

 部屋の中は、初級ダンジョンの時と変わらずに部屋の中心に魔石が一つ置いてあるだけだった。


『警告! このダンジョンはクリアされました! これより、ダンジョンは崩壊しますので、直ちに脱出してください』

 俺が部屋に入ると、ダンジョンの中でアナウンスが響き渡った。


「よしよし、この魔石を触って終わりだな」

 そう言いつつ部屋の中心に進み、魔石に手を置いた。


 すると、またアナウンスが響き渡った。

『おめでとうございます! あなたは霧のダンジョン初の踏破者です。あなたに、スキル再生を授けます』


「おお、再生か。これは神スキルだ。おっと、転移が始まる前に転移をしないと」

 目立ってしまっては計画が失敗してしまうからね。

 人が集まっている所に転移される前に、ヘルマンたちのところに転移した。


「ただいまー」


「おかえり。何をして来たんだ? この短時間で」

 まさか、この短期間でダンジョンを一つ潰したとは思わないよね。


「ちょっとした運動だよ。ふああ~眠い。それじゃあ、おやすみ二人とも」


「ちょっとした運動って何だよ! ……まあ、いいや。おやすみ」

 フランクは俺が何をして来たのか聞きだそうとしたが、俺が本気で眠そうなのを見て諦めてくれた。

 ごめんよ。でも、明後日くらいにはわかるから。

 心の中で謝りつつ、俺はベッドに横になって目を閉じた。


継続は魔力なりの漫画が発売されましたので、よろしくお願いいたしますm(_ _)m

活動報告でも紹介しましたが、一章の「シェリーに会いに連れてかれる」を漫画版の世界観でおまけ小説を書いてみました。

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