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第一話 クラス替え

八章スタートです。

 

 二ヶ月の長期休みも終わり、今日から学校が始まる。

 昨日から寮生活が再開し、久しぶりにベルと二人だけで生活した。

 二ヶ月しか経ってないのに、凄く懐かしく感じたんだよね。

 まあ、凄く濃い二ヶ月だったからな。


「それじゃあ、行ってきます! 帰って来たら、すぐに領地に向かうから、準備しておいて!」


「はい。わかりました。学校頑張ってきてください」


「うん!」


「やあ、おはよう。遂に、クラス替えの発表だぞ」

 ベルに行ってきますを言って部屋から出ると、二ヶ月前までと同じようにフランクが待っていた。


「おはよう。ああ、そういえばそうだったね」

 そういえば、今日クラス替えをやるのか。

 騎士団設立の準備が忙しくて忘れてた。


「相変わらず余裕だな。たぶん、心配で心配で寝られなかった奴だっているだろうに……」


「別に、フランクだって心配はしてないだろ?」

 どうせSクラスじゃなくて、どれだけ上位に入れるかを考えているからな。


「まあな。手応え的に、Sクラスは確実だな。でも、二位を取れるかは心配だぞ」

 ほら、やっぱりこの前リーナに負けたことを意識しちゃってるよ。

 うん……リーナに勝てるか?


「えっと……三位でもいいんじゃないか?」

 三位も悪い順位じゃないと思うな、うん。


「おい、そこはきっと二位になっているさ! くらい言ってくれよ!」


「だって。リーナも優秀なんだもん。勉強だと差はそこまでつかないだろうし、魔法でリーナにはまだ負けているでしょ? もしかすると、どっちも満点という扱いになるかもしれないけど」

 あの、クラス全員を眠らせた魔法は本当に凄かったからな。

 フランクを二位にさせてやろうと思っていたけど、あんな凄い魔法をやられたら無理だな。


「ま、まあ……」

 フランクも理解はしているらしい……。

 顔が暗くなってしまった。


「まあ、もしかすると意外に筆記試験で勝っているかもしれないから希望を持てって」

 なんとか励ましの言葉を考えながら、フランクの肩をポンポンと叩いてやる。


「お前は、励ましたいのか励ましたくないのかハッキリしろよ! もう、いい。ほら、見に行くぞ」


「あ、ちょっと待ってよ」



「それで、順位はどうだったの?」

 ゆっくりと歩いてきた俺は、先に掲示板に到着していたフランクに順位を聞いてみた。


「二位だった」

 二位だと!?

 リーナを抜かせたの?


「おお、やったじゃん! うん? あ、リーナと同率二位か」

 喜びながらリーナの名前を探していると、フランクの名前と同じ二位の欄にリーナも載っていた。


「そうだよ。はあ……」

 二位だったけど、同率だったから喜べないのか、フランクは微妙な顔をしながらため息を吐いた。


「まあ、いいじゃないか。目標だった二位になれたんだから。それより、問題のヘルマンの名前を探すぞ」

 フランクの順位なんて、ヘルマンがSクラスになれたかどうかに比べたら、どうでもいいことなんだよな。

 そんなことを思いながら、Sクラスの下の方の順位でヘルマンの名前を探していく……。


「うん? あれ? いないぞ? もしかして……」

 Sクラスになれなかった?

 嘘だろ? あんなに頑張って教えたんだぞ!

 直前の俺が作った練習問題もほぼ満点だったし、大丈夫だと思っていたのに……。

 もしかして、緊張して頭が回らなかったとかか?

 いや、テストの合間にそんな素振りは見せていなかったぞ……。


「いや、よく見ろよ。六位に名前が載っているだろ?」

 そう言って、フランクが両手で俺の顔を掴んで無理矢理上に向けさせた。


「へ? 六位? ヘルマンが?」

 視線の先には、六位の文字と……その隣には確かにヘルマン・カルーンの文字があった。


「お前、失礼だな。あれだけ頑張っていたんだから、いいんじゃないか? あいつ、剣術は満点だぞ。それに、今回は魔法も高得点だろ?」


「た、確かに……」

 よくよく考えてみたら……魔法の実技が0点になるから、苦手教科以外はほぼ満点を取れるくらいにまで仕上げたんだっけ。

 でも結局、リーズ先生が実技の試験方式を変えたから、ほとんどの教科で高得点を叩き出すことが出来てしまったわけだ……。


「師匠……僕、今年は違うクラスです。来年は、必ず同じクラスになれるように頑張ります」

 俺がヘルマンの高順位に納得していると、後ろから凄く悲しい声が聞こえてきた。


「おい、ちょっと待て。師弟揃ってどうして下しか見ないんだ? お前、六位を見てみろよ」

 そう言ってまた、フランクがヘルマンの顔を掴んで思いっきり持ち上げた。

 すると、ヘルマンの目が思いっきり見開いた。


「え? ……六位!? どうして僕が六位なんですか? 絶対、何かの間違いですよ!」


「いやいや。一年間、あれだけ頑張ったんだから当然だろ?」

 そう言って、驚きを隠せないヘルマンの背中を優しく撫でてやる。


「し、師匠……。いえ、全部師匠のおかげです。師匠がいなかったら、僕は今頃Cクラスでした」


「どの口が言っているんだが……。思いっきり、上位を探そうともしなかったくせに」

 あ~聞こえな~い。


「さ、さあ、教室に向かおうじゃないか」


「はい! それにしても、また主席を取るなんて凄いですね。流石、師匠!」


「まあ、満点は逃したんだけどね」

 たぶん、流石にまた満点は不味いよな……と思ってわざと間違えたところなんだよね……。

 まあ、ここでそんなことは口が裂けても言えないな。


「一問間違えだったな。よく、そんな高得点を取れるよ。普段、勉強しているようには見えないのに……」


「さ、さあ? どうしてだろうね? 隠れて勉強しているのかも」

 本音を言うと、小学生が解くような問題を今更間違えるわけがない。

 まあ、そんなことは口が滑っても言えないんだけどね。


「隠れて勉強している奴は、自分から言わないだろ」

 確かに! 的確なツッコミだ!


「そ、そうかな? それじゃあ……そうだ! 授業中に頑張って全部覚えているんだよ!」


「いや、そんなあからさまに今考えました! みたいにして言われて誰が信じるかよ。というかお前、授業を真面目に受けたことないだろ! まあ、いい……教室に入ろう」

 マシンガンのようなツッコミを終えたフランクは喋り疲れたのか、言うことだけ言って先に歩き出してしまった。


「お、おう。新しいクラスはどんな感じなんだろうな~」

 とりあえず、俺は話に合わせつつヘルマンとフランクの後を追いかけた。



「シェリア! あいつと結婚するなんて、今すぐやめて僕と婚約するんだ!」

 教室に入ると、まるでデジャブのような場面に遭遇した。

 ああ、そういえば、あいつもSクラスなのか……面倒だな。

 おっと、それより早く止めないと。


「うるさい! どっか行って! 次近づいたら、魔法で吹き飛ばすからね! それに、名前で呼ぶ許可なんてした覚えなんかないから! 二度と名前で呼ばないで」

 俺が止めに行こうとするよりも早く、怒ったシェリーが杖を取り出してぽっちゃりに向けた。

 おお、シェリーも成長したな。


「うう……。くそ! いいんだな! こっちはこんなにも親切に言ってやったのに! 絶対に後悔させてやるからな。ぐふふ……シェリアの泣いて許しを請う姿を見るのが楽しみだ」


「キモい」


「グハ!」

 おっといけない。我慢できなくて思わず殴ってしまった。


「な、殴ったな! 俺を殴ってどうなってどうなっても知らないぞ!」

 うわ~。いかにも悪役の下っ端が言いそうなセリフだな。


「うるさい。今の、どう考えても不敬罪だろ。このことがバレたら、裁かれるのは俺よりもお前の方だ。それに、やられて悔しかったらやり返してこいよ! ほら」

 そう言って、俺がファイティングポーズをした。


「ふ、ふん! 俺は暴力で解決しようとは思わないんでね」

 どうやら、俺に挑むほどの勇気は無いみたいだ。


「あっそう。それじゃあ、黙って席に着くんだな」


「うるさい! 俺に命令するな!」


「はあ……。それじゃあ、好きに動いていいよ。ただ、俺の不利益になりそうなことをしようと思っているなら、覚悟しておけよ?」

 もう、めんどくさくなってきたから、それだけ言って本気の殺気をぽっちゃりに向けてやった。

 こいつの家には散々迷惑をかけられているから、これぐらいはやっても大丈夫だろう。


「ヒ、ヒイ! く、くそ!」

 完全に腰が抜けてしまったぽっちゃりは、尻を引きずりながら後ずさってから逃げるように教室から出て行った。

 本当、よく物語に出てくる威勢だけはいい悪役の下っ端みたいな奴だな。


「レオありがとう!」


「どういたしまして。今度から、あいつが近づいてきたらすぐに念話するようにしてね。何をされるかわからないから」

 あいつの家は俺を殺そうとしているわけだし、シェリーにも何かされるかもしれないからね。


「うん。わかった」



「お、帰って来た。かっこよかったぞ。まるで、悪役を撃退した物語の主人公だな」

 自分の席に戻ると、後ろの席のフランクがさっそく茶化してきた。

 今回の席はどうやら成績順らしい。同率の場合、家の階級が上の方が前になるみたいで、俺の後ろにフランク、その後ろにリーナとなったわけだ。


 ちなみに、シェリーは四位だったので、リーナの後ろの席だ。

 シェリーに目を向けてみると、さっきのことなど無かったかのようにリーナと楽しそうに喋っていた。


「おおげさだな~。まあ、シェリーは俺の婚約者なわけだからね。あれくらいしても大丈夫でしょ?」


「そうだな。流石に、あれは酷かったからな」


「そういえば、あいつの後ろにいた奴らが見当たらないな?」

 この前まで、いつも二人くらいいなかった?


「ああ、それならこの前、どっちの家もお取り潰しになったぞ。色々と不正が見つかったみたいだ」


「なるほど……」

 ああ、皇帝が調べさせて見つかった不正をしていた貴族に含まれていたのか。

 大きな貴族から小さな貴族まで、たくさん不正が見つかったからな。

 もしかすると、二ヶ月前までよりも同級生の数が少ないかも?


「は~い! 始めますよ! 皆さん、席に着いて下さい!」

 俺が教室を見渡して、クラスメイトの数を数えていると、リーズ先生が元気な声を出しながら教室に入ってきた。


「あ、リーズ先生だ。Sクラスの担任はリーズ先生になったんだ」


「そうみたいだね。あの先生、優しいから当たりだな」


「生徒思いだしね」

 確かに当たりな先生だな。

 というかリーズ先生、Sクラスの担任になれたから給料アップじゃん。


「ほら、そこ! 今から私が話し始めるから静かにしなさい!」


「「は~い」」

 先生に注意され、俺たちは元気よく返事をして、それからは静かにして先生の話を聞いた。

 それから少しだけ授業があり、午前中で学校が終わった。

 今日は、午後から新入生と五年生と六年生の先輩たちで新入生歓迎パーティーを行う関係で、俺たちは午後から休みらしい。

 ということで、午後から領地に行って仕事をするぞ~!



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