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第十話 次の計画①

昔から読んでくれている方は内容を忘れているかもしれないので『閑話4 創造魔法講座』を先に読み直すことをおすすめします。


 孤児院を造ってから二週間が経ち、スラムの孤児問題が解決した。

 街の道ばたで寝ているような子供は見当たらなくなったから、とりあえず大丈夫だろう。

 ビルたちも、素直に孤児院で生活してくれている。

 今はそれぞれ勉強や剣術、魔法を頑張っているから感心だ。

 まあ、これはアンヌさんやカミラさんたちのおかげだろう。


 それから、憲兵の募集が始まり、警備が強化されたことによって少しずつ街の治安が良くなり始めてきた。

 とういうことで、次の計画に移ろうかな。


「フレアさん、闇市街があった場所って自由に使っていいよね?」


「え? あ、はい。大丈夫ですけど……何をするおつもりですか?」

 うん、やっぱり使っても問題ないよね。


「有効活用しようと思ってね。というわけで、行ってくる」


「っちょ! 詳しくせつめ……」

 フレアさんが何かを言い終わる前に、俺はある場所に転移してしまった。



「よし、着いた。たぶん、今日は休みのはずなんだけどな……」

 そんなことを言いつつ、俺は帝都にある豪邸に来ていた。


「はい。あ、レオンス様。どうされました?」

 呼び鈴を鳴らすと、一人の執事が出てきた。


「エルシーさんに会いに来たんだけど。いる?」


「エルシー会長ですか? 会長なら、今日は休日なので部屋でお休みになっていますよ。知らせてきましょうか?」

 あ、いるんだ。良かった。


「いや、いいよ。わざわざ部屋から出てここまで来て貰うのも悪いし、俺が部屋に行くよ」

 この家は広くて、部屋からここまでの移動も一苦労だから。

 何回か来てるし、エルシーさんの部屋がどこにあるのかは知っているからね。


「わかりました。では、先に行って会長に伝えて参ります」


「あ、よろしく」

 そういえば、先に何も伝えずに来ちゃったからな……。

 まあ、執事さんが先に行って伝えて来てくれるみたいだから大丈夫か。


 それから、ゆっくりエルシーさんの部屋に向かい、ドアをノックした。

 コンコン

「エルシーさん、入っていいですか?」


「ダメです! まだ入らないでください! 準備が出来たら私が開けますので、もう少しだけ待っていてください!」


「う、うん。わかりました」

 ノックをしたら大きな声が飛んできたから、俺は慌てて掴んだドアノブを離した。

 申し訳ないな。やっぱり、先に連絡してから来るべきだったな。


 それからしばらくして。

 ガチャ

「準備が出来ました……。もう、来るなら先に連絡してください!」

 汗をかいているエルシーさんがドアを開けて、不満そうな顔で文句を言ってきた。


「すみません。今度からは気をつけます」


「まあ、いいですけど。それで、久しぶりに会いに来るなんて、どうしたんですか? 急に顔を出さなくなったと思ったら、一年も来ないなんてひどいじゃないですか。私、凄く寂しかったんですよ?」

 あ、そういえば、もうそんなに来てなかったか……たまにでも来れば良かったな。

 俺は、本当に悲しそうな顔をしているエルシーさんに凄い申し訳なく思ってしまった。


「ご、ごめんなさい……。学校が寮生活になってしまって……」

 本当は、ベルやシェリーとリーナを放っておいて、ここに来ることが出来なかったからなんだけどね……。


「ええ、知っていますよ。だから、私も諦めていました。でも、学校が長期休暇に入ったのにいつになってもレオくんが来ないんですもん」


「ご、ごめんなさい……。領地経営で忙しくて……」

 休み当日から領地に行っていたからな……。


「それも、知っています。商人にとっては聖地と言っても過言ではないミュルディーン。そこの街の領主になられたんですよね? 忙しいのもわかります。でも! それなら、余計に私たちに頼ってきてもいいじゃないですか!」


「う、うん……」

 あれ? エルシーさんって、こんな性格だったっけ?

 一年も会ってなかったからうろ覚えなだけかもしれないけど、エルシーさんってもっと大人しくなかった?


「うちの商会なら、街の開発には持って来いですよ? なんなら、レオくんの街を一面魔法具だらけの街にしてしまいましょうか?」


「え? あ、うん……。そのことで、エルシーさんに頼みたいことがあって……」


「本当ですか!? 何をすればいいんですか? 是非、聞かせてください!」

 ちょっと! 俺にも喋らせてくれ!

 これじゃあ、何も説明出来ないじゃないか。


「う、うん……。それじゃあ、師匠にも説明したいし、師匠の店に行きましょう」

 一旦、エルシーさんに説明してから師匠たちにも頼もうと思っていたけど、説明に骨が折れそうだから師匠に助けを求めることにした。


「わかりました!」

 俺が転移をするために手を差し出すと、エルシーさんは嬉しそうに両手で握ってきた。

 本当に、こんな性格だったかな……?



「師匠!」


「ん? その声は!?」

 師匠の店に着き、師匠を呼ぶと驚いた顔をした師匠が出てきた。


「お久しぶりです!」


「お、お前! 顔ぐらい出せよ!」

 俺が挨拶すると、凄い勢いで近づいてきた。

 久しぶりに弟子の顔を見られて、嬉しいのかな?


「すみません。寮生活でして……」

 俺は、エルシーさんと同じ言い訳をした。


「ん? おい。ちょっとこっち来い。エルシー、ちょっと悪い。少しだけ待っててくれ」


「いえ、久しぶりなんですから。師弟二人だけの時間を楽しんできてください」

 師匠はいきなり俺のことを掴むと、エルシーに何やら許可を貰ってから俺を奥の部屋に連れて行った。


「あ、あの……どうしたんですか? それと……エルシーさんって、あんな性格でしたっけ?」

 せっかく二人だけになれたので、気になったことを聞いてみた。


「あれは、お前のせいだ」


「え?」

 俺のせい?


「お前……。どうして一年近く顔を出さなかった?」


「え、えっと……寮生活でして」


「そんなことは無いだろ? お前、休日の度に、獣人の女の子と冒険者の依頼をこなしていたり、帝都で女の子と遊んでいたことはバレているんだよ」


「え……え? どうして……」

 師匠の口から出てきた言葉が衝撃的過ぎて、俺はすぐに言葉が出てこなかった。


「どうして知っているのか? それはな……エルシーが部下に調べさせていたからだよ」


「え? エルシーさんが?」

 エルシーさんが俺のことを調べていた?


「そうだよ。お前、エルシーの家に一時期通っていただろ?」

 俺が通っていた?

 あ、創造魔法を教えていた時のことか……。


「は、はい……。と言っても、創造魔法を教えていただけですよ? そ、それがどうしたんですか?」


「はあ、どうせこれから会話していたらバレることだから言ってしまうが……エルシー、あれで完全に惚れてしまったんだわ。お前に」


「……え!?」

 エルシーさんが俺に惚れている?


「それで、慣れない会長業のストレスをお前といることで発散していたんだが……。お前、急に来なくなっただろ?」


「は、はい……」

 なんか……話が読めてきたぞ……。


「そしたら、エルシーがおかしくなってしまってな。仕事に支障は来していないだが、部下を私用に使うようになってな……。主に、お前が今何をしているのかを調べさせていたんだが……」


「そういうことですか……」

 それで、俺のことを知っていたのか。


「それと、俺にある魔法具を発明して欲しいと頼んできたな」


「ど、どんな魔法具ですか?」

 こ、怖いんだけど!


「見える景色を一枚の紙に写す魔法具だ」


「え? 嘘……カ、カメラだ……」

 俺が頼もうと思っていた魔法具。


「お? もしかして、お前も同じようなことを思いついていたのか? あれ、なかなか作るのを苦労したんだぞ」


「え? 出来ちゃったんですか?」

 嘘でしょ?


「ああ、作るのに半年もかかってしまった。光魔法を使えば出来るってことを発見してからはすぐだったがな」

 や、ヤバい。この人、マジの天才だ。


「本当、師匠は凄いですね。で、その魔法具は?」


「ああ、今はエルシーが持っているぞ。部下にお前の写真を撮らせているそうだ……」


「え? と、盗撮じゃん……」

 まあ、俺も人のことは言えないんだけどね。

 俺の頭に一匹のネズミが思い浮かんだ。


「ん? お前、エルシーの部屋に行ってきたんだろ?」


「はい、そうですけど?」


「それなら、見たんじゃないのか?」


「な、何を?」

 ()()って何!? さっきから怖いんだって。

 いったい、あの部屋には普段何があると言うんだ!?


「たくさん並べられたお前の像と魔法具で描かれたお前の絵をだよ」


「い、いえ……見てません」

 俺の像? あ、創造魔法で造った俺のフィギアか……。

 そういえばエルシーさん、創造魔法を初めて使った時も俺のフィギアを造っていたな……。

 あれがたくさん並べられていたと……。


「そうか。隠したんだな」

 うん、通りでなかなか部屋に入れて貰えない訳だ。


「師匠は見たんですか?」


「いいや。人から聞いた話さ」


「な、なるほど……」

 てことは、見た人がいるってことか……。

 もしかすると、あの執事さんとかは知っていたのかもな。

 だから、俺が行くよりも先にエルシーさんのところに向かったのだろう。


「まあ、師匠としてのアドバイスとしては……」


 アドバイスとしては?

「自業自得だな。手を出しておいてほったらかしにしおいたお前が悪いんだから、自分でどうにかしな」


「そ、それの……どこがアドバイス?」

 ヒドイ! 師匠なんだから、助けてくれてもいいじゃん!


「十分だろ。とにかく、腹を決めろってことだよ。どうせ、何人もの女の子に手を出していることはバレているんだから、浮気とかの理由は通用しないだろ?」


「そ、そうですね……」

 事実なので、何も言い返せない……。


「今回はお前の自由過ぎる行動のツケが回って来たってことだな。まあ、ストレスが解消されれば、エルシーも多少はマシになるんじゃないか? ほら、男を見せろよ」

 師匠はそう言いながら、俺の背中をバシンと思いっきり叩いた。


「は、はい……」

 ストレスか……。

 何か策を練らないと。


三巻発売まであと一ヶ月!

コミカライズ版一巻は、8/1発売です。

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