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第十七話 危険な違法奴隷④

六章完結です

 ルーを連れて、俺の部屋に転移した。

「ただいまー」


「「「おかえりなさい」」」


「うお!」

 帰って来るなり、三人が飛びついて来た。

 俺は、その勢いで倒れてしまった。


「本当、凄く心配したんだからね?」


「無事で良かったです」


「レオ様……」


 三人は涙目、いや、ベルは泣きながら、俺に抱きついてきた。

「あ、うん。心配させちゃってごめん。無事、解決出来ました」

 それから、三人が落ち着くまで、俺は倒れたまま頭を撫でてあげていた。


 《十分後》

「ねえ、レオ。ご飯まだ? 私、お腹すいた」

 空気を読んで静かにしてくれていたルーが、我慢の限界に達してしまったようだ。


「あ、ごめん。それじゃあ、ご飯にしようか」

 ルーをお腹空かせた状態で置いておくのは凄く危険だから、俺たちは急いで立ち上がった。


「食べさせてもらえるなら別にいいんだけど……それにしても、レオって女好きなの? こんなに可愛い子を周りに置いといて、私も奴隷にしちゃうんだから……」

 ち、違う! と言いたい……。


「否定したいけど……最近、よく言われるんだよね……。てか、奴隷についてはルーが言い出したことだろ」

 俺は、ルーが言ったことに乗っただけだ。


「え? そうだっけ? 勝ったら負けた方を好きにしていいって、レオが言い出したんじゃないの?」

 そ、そんなこと言ってないから!


「おかしいだろ。俺は、負けたら勝った方の言う事を何でも聞くって言ったんだぞ!」


「何でも言うことを聞くって……好きにしていいと変わらなくない?」

 あ、言われてみれば……。


「いっしょね」

「一緒です」

「はい。変わらないかと思います」

 隣にいたシェリーとリーナもルーと同意見のようだ……。

 あれ? 三人は俺の味方じゃないの?


「ふふふ、三人とは仲良く出来そうだわ」

 三人が賛成してくれたことが嬉しかったのか、笑顔になりながら三人を見た。


「え、えっと……」

「よ、よろしく……」

「お、お願いします」

 三人は、その笑顔が怖かったのか、俺の後ろに隠れながら答えていた。


「そ、それじゃあ、ご飯を食べに行きますか」

 ご飯を一緒に食べれば、三人の不安も少しは落ち着くでしょ。


「やったー」



 現在、ルーの前に美味しそうな料理がたくさん並んでいた。

「うわ~。これ全部、私が食べていいの?」

 たくさんの料理に、ルーは凄く上機嫌になっていた。


「うん。遠慮しないで食べて」


「やったー!! レオ大好き!」

 飯を貰っただけで大好きと言われても、そこまで嬉しくないな。


 それから、ルーは凄い勢いでたくさんの料理を平らげていった。

「うん、凄く美味しい! こんな美味しい食べ物、初めて食べたわ。これが毎日食べられるなら、レオの奴隷になってもいいかも」

 ちょろ過ぎるだろ……。

 そんなんだから、奴隷にされてしまうんだよな……。


 まあ、そんなことは本人には言えないけど。

「そう? それは嬉しいな」


 俺がルーの相手をしている間、シェリーとリーナも食事をしながら会話をしていた。

 ちなみにベルは、二人の後ろで立っている。

 流石に、他のメイドがいる前では主人と一緒には食べることは出来ないと言われてしまったので、シェリーとリーナの世話を頼んだ。


「シェリー、今回は嫉妬しないのですか?」


「しないわよ。あの子、食べ物が貰えれば誰でも好きになりそうだもん。それに……あの子に喧嘩を売る気にはならないし……」

 そうだろうな。俺も、もう一度戦えと言われたら全力で拒否するもん。


「そうですね。ベルにはいろいろと思うことがありましたけど、ルーさんがレオくんの奴隷になったとしても何も感じませんね。逆に、怖いので早く奴隷になってほしいです」

 確かに、気まぐれで破壊魔法を使われたらと思うと、早く奴隷契約をして欲しいと思うよな。


「ふふふ、まだレオの奴隷にはならないわよ。これから、私のベッドを用意してもらわないといけないからね」

 二人の会話を聞いていたルーが、笑いながらそう言った。


「わかっているよ。空いている部屋があるから、そのどこかを使えばいいんじゃない?」

 いっぱいあるから、好きな部屋を使っていいよ。


 それからご飯も食べ終わり、ルーが寝る部屋を用意した。

「この部屋でどう?」

 結局、ルーの部屋はシェリーとリーナの隣の部屋になった。


「うん、いいわ。ベッドがあって広いし。それじゃあ約束通り、レオの奴隷になるわ」

 気に入って貰えたようだ。

 他の人からしたら、奴隷にこんないい部屋を与えるのか? と言われてしまいそうだけど。

 まあ、そんなことを気にしていたら、ルーを奴隷にしようなんて思わないよ。

 爆弾を飼うようなものだからね。


「それは良かった。それじゃあ、ルーは領主の権限で犯罪奴隷にする」


「え? 犯罪奴隷?」


「一応、街を壊したという罪があるから犯罪奴隷が妥当だと思うよ。ルーは、俺に借金をしてないから借金奴隷にはなれないしね。かと言って、理由なしで奴隷にしたら違法奴隷になっちゃうし。だから、ルーは犯罪奴隷ね」

 あとで、ちゃんと手続きも済ませておかないと……。

 どうやったらいいのかは、フレアさんに聞くとしよう。


「そうなんだ。ちゃんと食べさせて貰えるなら、何奴隷でもいいわ」

 少しぐらいは気にしようぜ?

 そんなんだから、騙されてしまうんだよ。


「うん、そんな感じがした。それじゃあ、奴隷契約をするか……。気まぐれで街を壊されても困るし」


「気まぐれでそんなことはしないわよ! たぶん……」

 今、たぶんって聞こえたぞ?


「うん、信用できないな。とりあえず、やっちゃうか」


「待ってください」

 俺がルーの手を握ろうとした瞬間にリーナが待ったをかけた。


「ん? どうしたの? リーナ」


「ルーさんは、奴隷契約で出来るはずがないのに、奴隷商を殺すことが出来たんですよね? 普通の奴隷契約で大丈夫なんですか?」

 そういえば……。


「そうだった。ルー、どうやって奴隷商を殺したの?」

 契約で禁止されていたんだよな?


「奴隷商を殺せたのは偶然よ。拘束が解かれた時に嬉しくて、ついつい破壊魔法を使ったら建物が崩れちゃって、その下敷きになって死んじゃっただけだよ」

 嬉しくてつい……。


「やっぱり、気まぐれで街が壊されそうで怖いな」


「だから、気まぐれで街なんて壊せないって! たぶん……」

 そのたぶんが怖いんだよ!


「うん、わかった。ルーと奴隷契約をして、更に首輪を魔法アイテムに改造してしまおう。これなら、なんとかなるだろう」


「魔法アイテム? 何それ?」


「俺が使う創造魔法で造ることが出来る道具だよ。後で見せてあげるから、とりあえず奴隷契約をしてしまおう」

 さっさと、契約して少しは爆弾に安全装置をつけないと。


「うん、わかった」


「それじゃあ、手を出して」


「うん」

 ルーが差し出してきた手を握り、俺は闇魔法を使った。


「これで、契約完了だよ。これから、ルーは俺の言う事は何でも聞くしかなくなったよ」


「言い方がいやらしいわ。私、どんな命令をされてしまうのかしら?」

 な、何を言っているんだ?


「レオ?」

 後ろから、怖い声が聞こえてきた。


「な、何もしません! ルーと奴隷契約を結んだのは、とりあえず街を壊されないようにするためだから」

 俺は、ルーではなく、シェリーの方を向いて弁明した。


「ふふふ、レオって随分と尻に敷かれているわね。あ、そういえば、三人の名前を聞いてなかったわね。教えてもらってもいい?」

 ルーは俺を笑いながら、シェリーたちに名前を聞いた。


「リアーナです。リーナと呼んでください」

「私は、シェリアよ。シェリーと呼んで」

「私はベルです」


「リーナにシェリー、ベルね。私は、ルーよ。ルーって呼んで。これから、仲良くしましょう?」

 ルーは三人の名前を確認してから、ニコッとしながら手を差し出した。


「「「は、はい……」」」

 三人はビクビクしながら、ルーの手を握った。


「それじゃあ、少し仲良くなったことだし、ルーの首輪を改造し終わったら四人で風呂に入って来なよ」

 ルーが風呂の入り方を知っているかどうか微妙だし。


「わ、わかりました……」


「風呂? 風呂ってなに?」

 あ、やっぱり、ルーは風呂を知らないのか。

 記憶喪失がどの程度なのか、今度調べないとな。


「風呂は、体を洗う場所。詳しいことは、入ればわかる」


「わかったわ。それで、私の首輪をどうやって改造するの?」


「その説明は、俺の部屋で材料を見せながらするよ」

 俺はそう言って、ルーたちと部屋に戻った。


「俺の創造魔法は、魔力を使って物が造ることが出来る魔法なんだ」

 そう言って、ルーそっくりの人形を造って渡した。


「へ~名前通りの魔法ね」

 受け取った人形をじっくりと観察しながら、ルーは俺の魔法に感想を述べた。


「そうだね。ただ、この魔法は、素材があるともっと複雑な物が出来るんだ。例えば、ルーと戦う時に使った魔剣みたいに」


「魔剣? あ! あの、遠くから攻撃できるズルい剣ね」

 ズルいって……お前の破壊魔法だけには言われたくないな。


「そう。その剣みたいに、ルーの首輪を改造するってこと」


「え? 私の首輪から斬撃が飛ぶの?」

 あ、説明の仕方が悪かったな。


「飛ばないよ。あの剣みたいに特殊な能力がつくだけ。それじゃあ、改造してしまうか、首を出してくれない?」


「え~。飛ばないの? まあ、いいわ。はい」

 がっかりした顔をしながら、ルーが首を俺に近づけて来た。


「ありがとう」

 俺は、魔石をルーの首輪にくっつけて創造魔法を使った。


 すると……ルーの首輪が光り、魔石が混ざって、光が収まって完成した。

 完成した首輪は、前側に綺麗な魔石が埋め込まれているような形になった。


 問題の能力は……

<隷属の首輪>

 これを着けている奴隷は、何があっても主人が嫌がることは出来ません

 主人を愛していると、魔法の威力が大幅促進

 恋以外の状態異常になりません

 創造者:レオンス・ミュルディーン



 えっと……主人の嫌がることが出来なくなったから、これで安心だな。

 他は愛の首飾りと同じだけど……もし、ルーの魔法の威力が大幅促進された時のことを考えると、恐ろしくて仕方ないな……。


「改造終わった?」


「うん。鏡を見て確認してみな」

 俺は、鏡を創造してルーに渡した。


「あ、宝石だ!」

 ルーは、首輪についた魔石を鏡で確認して、ペタペタと触っていた。


「どう? 綺麗でしょ?」


「うん、ありがとうレオ! 大好き!」

 お前の大好き、軽すぎるだろ。

 そんなんだから、奴隷商に騙されるんだよ。


「こちらこそ、気に入って貰えて嬉しいよ」


「ふふふ、それじゃあ、お風呂に行こう! ほら、シェリー案内して」

 お、お前、シェリーはこの国のお姫様だぞ!?


「わ、わかったわよ……。リーナとベルも行きましょう」

 まだルーのことを怖がっているシェリーは、何も言えず、案内を始めてしまった。


「はい。行きましょうか」


「わかりました。レオ様、お先に入らせていただきます」


「うん、よく温まって来な!」

 俺はそう言って、四人を見送った。



「ふう、これで俺が領地を経営するのに障害だったものはだいたい取り除けたかな?」

 一人部屋に残された俺は、そんなことを呟いた。


 ゴッツの汚職発覚から始まり、最終的には闇市街を破壊していたルーを奴隷にするまで、なかなか濃い数日間だったな……。

 まあ、これからが始まりなんだけどね。


「これから、この街をどう変えていこうかな……」

 資金はたくさんあるから、やりたいと思ったことはなんでもできるな。

 だからこそ、何をするべきか悩んじゃうんだけど……。


 俺は部屋から自分の街を眺めながら、あれもやりたい、これもやりたいなどと妄想していた。


この後、人物紹介と閑話二つを入れて六章は終わりです。

次章は、領地経営編。


今週は二巻の発売日なので、そちらもよろしくお願いいたしますm(__)m

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