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第九話 お宝探し①

「これが転移か……」


「本当に一瞬ね」

 現在、俺たちはシェリーとリーナとベルを迎えに行ってから領地に帰って来たところだ。

 イヴァン兄さんとユニスさんは初めての転移に感動していた。


「ここは……どこですか?」

 転移の存在も知らなかったフレアさんは驚いているというか、混乱しているけど。


「ここはミュルディーン領にある城の中だよ」


「ここがですか?」

 まあ、信じられないよね。


「そうだよ。転移を使うと一瞬で移動出来るんだ」


「本当に一瞬なんですね……」


「初めて転移をした時ってやっぱり驚くわよね」


「はい。本当に一瞬ですもんね」

 驚いているフレアさんを見ながら、シェリーとリーナは懐かしんでいた。


「それじゃあ、エドワンさんを呼んで兄さんたちとフレアさんの部屋を用意して貰わないと」


 それから、エドワンさんを呼び出し、兄さんたちを案内してもらった。

 その間、俺はシェリーたちと部屋でくつろいでいた。


「これで、少しは不安要素が減ったかな」

 更にフィリベール家には恨みを買ってしまったかもしれないけど、金がない状態じゃあ何も出来ないだろうから、心配ないだろ。


「本当に、良かったです。明日からはどうするんですか?」

 リーナは心から嬉しそうにそう言いながら、俺に質問してきた。


 明日からか……。

「とりあえず、ゴッツの家から金になる物を全て取り出して、その金を元手に何かやりたいよね」


「なるほど。どのくらいゴッツが貯金していたかで、今後の動きが変わってくると」

 流石リーナ、わかっていますね。

 本当、ゴッツがどれだけ貯金していたかによってこれからの行動が変わってくる。

 もしかすると、これから二カ月は金を稼ぐことを考えるだけで終わってしまうかもしれない。


「そうだね。とりあえず、明日にでもゴッツの家に行ってみるよ」

 今後のことは、それから考えよう。


「私たちも行っていい?」


「今回は待っていてくれないか? 一応敵の家だし、何か罠が仕掛けられているかもしれないからね」

 それに、まだゴッツの使用人が屋敷には残っているからね。


「わかったわ。おとなしくお留守番しているわ。あ、それじゃあ、モニターだけ置いて行って」


「モニター? ああ、そういうこと。いいよ」

 あの盗撮ネズミを使えば、俺の様子を遠くからでも見ることが出来るからね。

 シェリーは、それを使ってお宝探しの様子を見ていたいんだろう。

「やったー。お宝発見の瞬間を見守っているわ」


「そんなに期待しない方がいいと思うよ。あいつの腹を見たでしょ? 絶対、豪遊しちゃって、ほとんど金が残っていないと思うんだよね」

 どんなに遊んでも、使い切れないくらいの金を持っていたら別だけど。

 まあ、期待しない方が後でガッカリしなくて済むだろう。


「え~~」


「まあ、仕方ないよ」

 と言っても、期待しちゃうんだけどね。


 《次の日》


「それじゃあ、行ってくるよ」

 俺は、城を出る前の挨拶を皆にした。


 皆は、俺の部屋でこれからの様子をモニター見守っていることになった。

 ネズミは、俺の肩に乗っているから、俺目線で宝探しを楽しむことができるだろう。


「いってらっしゃい。楽しみにしてるわよ」


「無理しないでくださいね」


「レオ様、安全第一でお願いします」

 シェリー、リーナ、ベルはそう言って、不安な顔をしていた。


「心配しなくても大丈夫だよ。レッドゴーレムもたくさん連れて行くから」

 この前、城の警備の為に大量に造ったら作り過ぎちゃって、まだたくさんリュックの中で眠っているんだよね。


「そうですか……わかりました」

 俺が持っているゴーレムの数を知っているリーナは、少し不安な顔が和らいだ。


「本当に、レオ様自ら行かれるのですか? 私は、騎士たちに行かせた方がいいと思います」

 何も知らないフレアさんは、まだ不安のようだ。

 まあ、普通の貴族は、わざわざ危ないところに行かないよな。


「そんなことないよ。たぶん、俺が行くのが一番安全だと思うよ。それに、俺は騎士団を持っていないし」

 そうだ、騎士団もどうにかしないとか……。

 流石に、全員ゴーレムはダメだよな。


「そ、それでも……レオ様に何かあったら……」

 うん……どう説得すればいいだろうか?

 フレアさんは、本気で俺のことを心配してくれているだろうから強く言えないし……。


「フレア、心配ないよ。レオはこの中で一番強いからね。たぶん、隊長よりも強いよ」

 俺が悩んでいると、兄さんが助けてくれた。


「そ、そうなんですか?」

 フレアさんは、兄さんの言葉が信じられなくて俺に聞き返してきた。


「ま、まあ……。心配なら、そこにある映像を見ていてくださいよ。何事もなく、終らせてみせますから」

 俺はそう言って、モニターを指さした。


「……わかりました」

 フレアさんは何か言いたそうだったけど、それを飲み込んで承諾してくれた。


「ということで、行ってきます」

 全員の承諾を得ることが出来たので、俺は部屋を出た。


 まず、ゴッツの家付近に転移する。

 それから、アンナの案内を頼りにゴッツの家の前にたどり着いた。

「これがあいつの家? どこの貴族の豪邸だよ……。無駄に金を使いやがって……」

 ゴッツの家は、帝都にある俺の家よりも広かった。

 これだけで、そうとう無駄遣いしているのがわかった。


「それじゃあ、乗り込むか」


 まずは、門番に友好的に話しかけた。

「すみません。ゴッツさんの家で間違いありませんか?」


「ああ、そうだ。何の要件だ?」

 門番の男は、ぶっきらぼうに対応してきた。

 まあ、今の俺の格好は冒険者の格好だから仕方ないんだけど。


「それはですね。こういう要件です」

 仕方ないので、俺が書いた手紙を門番に渡した。


「なになに……この度、ゴッツ氏の横領が見つかった為、ゴッツ氏の財産を差し押さえることになりました。レオンス・ミュルディーン」


「はあ? ゴッツ様が捕まった?」

 片方の門番が手紙を読み上げると、驚いて俺に聞いてきた。


「はい、捕まりました。ということで、そこを退いて貰えませんか?」

 俺は優しくお願いした。


「いや、お前みたいな子供が持って来た物を信用できるか、帰れ」

 門番は、そう言って手紙をビリビリに破いてしまった。


「え~~。ここは大人しく従った方がいいと思いますよ」


「従わなかったらなんだ? お前に何ができる?」

 そんなことを言ってしまっていいのかな?


「こういうことができます」

 俺は、リュックからレッドゴーレムを二体出した。


「な、なんだ……それは……」

 門番は、急に現れたゴーレムを見て腰を抜かしてしまった。


「どうします? 早く決めて貰えないと、無理やり中に入りますよ?」

 今度は、脅しながら頼んでみた。

 レッドゴーレムが門番に近づいて行く。


「わ、わかりました。ど、どうぞ……」

 門番は、腰を抜かしながら、門を開けてくれた。


「うん。正直でよろしい。それじゃあ、他に誰も入らないように見張っていてね」

 そう言って、俺は門番二人と外の監視の為にゴーレム二体をそのまま置いといた。


「それじゃあ、隠されてしまう前に急いで見つけるか」

 そんなことを言いながら、レッドゴーレムを無駄に広い庭に並べていく。

 たぶん、五十体以上はいると思う。


「二体一組で動くこと。抵抗しない限り、ここで働いている人には手を出さないこと。もし、何かしてきたら、縛るなりして殺さずに無力化すること。金目の物は見つけ次第、この庭に持って来ること。あと、何か問題があったらすぐに俺に連絡すること。以上のことを守って、これから行動して下さい。それじゃあ、スタート」

 ゴーレム達は俺の命令を聞き終わると、屋敷に向かって一斉に動きだした。


「俺も向かうか。アンナ、よろしく」

 そう言って、俺はアンナに話しかけた。


(了解しました。金庫までの道案内を開始します)

 アンナがそう言うと、ゴーグルに矢印が現れた。


(おお、流石アンナ。金庫の位置までわかるんだ)

 アンナに感心しつつ、屋敷の中に突入すると、メイドさんたちが驚いた顔をしていた。

 何も知らないだろうから、急にたくさんの人が入って来て怖いだろうな。


「すみません。大人しくしていてください。全てが終わったら説明しますので」

 そんなことを繰り返し言いながら屋敷の中を走っていると、ある事に気がついた。


「この屋敷、メイドしかいない?」

 走りながら隅々まで見ていたが、まだ執事や警備の兵士が見当たらなかった。


「もしかして……屋敷の中を自分以外女にしてハーレムにしようとか考えていたのか?」

 確か、女好きって言われていたよな……。


「ヤバ……そこまでするか」

 そんなことを言いつつ、屋敷一階の一番奥の部屋に辿り着いた。


「ここに金庫があるの? どこにも見当たらないけど?」

 部屋の中心にベッドが置いてあり、あとは壁に女の人が描かれた絵が飾られているだけの至って普通の寝室だった。


(いえ、絵をどかしてみてください)


「絵? わかった」

 俺はアンナに言われた通りに、絵を壁から外してみた。


 すると……そこには、鍵穴があった。

「これが金庫? 壁が金庫になってるの?」

 それにしては、随分と大きいような。


(いえ、違います。とりあえず、鍵を開けてください)


「どうやって? 今から鍵を探さないといけないの?」


(いえ、魔法アイテムを造ってしまってください)


「ああ、それなら問題ないか。ちょうど、リュックも持って来ているし」

 そんなことを言いながら、俺はリュックから魔石とミスリルを取り出した。

 そして、そのまま創造魔法を使った。


 出来た物は……

<万能キー>

 どんな鍵になることもできる

 鍵穴にこれをさせば最適な鍵の形になり、簡単に解錠することが出来る

 創造者:レオンス・ミュルディーン


 また、便利な物が出来てしまったな。

 悪用はしないようにしよう。


「それじゃあ、開けますか」

 俺は、万能キーを挿し込み回した。


 すると、カチャという音がして何かが開いた音がした。

「何も変わらないけど?」

 鍵は開いたのに、壁はうんともすんともしない。


(いえ、変わりましたよ。ベッドの横を見てください)


「ベッドの横? うわ、穴がある」

 振り返ると、何故かベッドの横に大きな穴が開いていた。


(そこから地下に行けます)

 そう言われて穴を覗いてみると……下に続く階段があった。


「なるほど……隠し部屋になっているのか……」


(はい。この下に金庫があります)


「無駄に金をかけ過ぎだろ。防犯意識が高すぎ」

 まあ、良からぬ金をどうにかして隠す為だろうけど。


 暗かったからワナテラスをリュックから取り出して、階段を下りて行くと……扉が二つある部屋に出て来た。


「これ、どっちに金庫があるの?」


(金庫は右側の部屋にあります)

 右か。左には何があるんだろう?

 後で行ってみるか。


「じゃあ、とりあえず右に行ってみるか」

 俺は右側の扉を開けて、奥の部屋に入った。

 すると……部屋の一面に大きな金属製の扉があった。


「うわ~大きな金庫だな。これで、中身がしょぼかったらあいつを殴りに行こうかな」

 そんなことを言いつつ金庫に近づくと、ダイヤルが四つあった。


「これ、暗証番号だよな……。ゴッツから聞き出さないといけないといけないな……」

 また城に戻らないといけないのか?

 面倒だな……。


(大丈夫です。私がわかります。全て7です)

 と、思ったらアンナが簡単に教えてくれた。


「え? そうなの? てか、全部7って……」

 ここに来るまで厳重だったのに、最後で台無しだな。


「7、7、7、7と……。お、開いた。あいつ、馬鹿だな……」

 そんなことを言いながら重い金庫の扉を開いた。


 すると……

「ヤバ。どんだけ貯めこんでいたんだよ……」

 金庫の中は、金貨や見るからに凄く高価なお宝などが敷き詰められていた。


「あいつ、この金を使って何をしようとしていたんだ? まあ、今日から俺の物になるから許してやるけど。とりあえず、このお宝はここに置いておくか。金庫をどうにかすれば、ここに置いておくのが一番安全だし」

 これを全部リュックに入れるわけにもいかないからね。

 俺みたいにアンナがいなかったら、隠し部屋の存在もわからないだろうし。

 後で、ゴッツから隠し部屋の鍵は没収しないと。


(そうですね。金庫は改造してしまいましょう)


「うん。わかった」

 魔石を取り出して、金庫に創造魔法をかけた。


 そして、出来た物は……

<セーフティー金庫>

 何があってもあなたのお宝を守ってみせます

 生体認証を突破しない限り、この金庫を開けることはできません

 創造者:レオンス・ミュルディーン


「おお、これで問題ないな」


(はい、大丈夫です。試しに開けてみてください。金庫に触れば生体認証が始まります)

 おお、なるほど。


「わかった。やってみる」

 アンナに言われた通りに金庫に触ってみた。


 すると『生体認証完了。レオンス・ミュルディーン様で間違いございません』と言って、金庫が開いた。


「なるほどね。これなら、大丈夫そうだ。じゃあ、他の部屋を見ていくか。あ、そういえば、さっきの左側の扉の向こうに行ってみるか」

 俺のお宝探しはまだ続く……


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