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第四話 防犯グッズ創造


「まずは、城の中の監視カメラを造ろうかな」

 あの城は広すぎて、目が行き届かないから絶対に必要だろう。

 何かあった時の証拠にも使えるしね。


「監視カメラ? 何それ?」

 おっと、前世の言葉だった。

 こっちの言葉だとなんて説明すればいいんだろう?


「えっと……。あ、そうだ。これを見て貰えればわかるよ」

 そう言って、俺はこの家の核をリュックから取り出した。

 これを使えば簡単に説明できるはず。


「これは……確か、ドラゴンの魔石でしたよね? この家を改造するのに使った」


「そう、その時に出来た物なんだけど、これには面白い機能があってね」


「面白い機能? それを使って何かできるんですか?」


「説明するより見てもらった方がわかりやすいだろうから、こっちに来て覗いてみて」

 これを口で説明するのは難しいからね。


「わかりました」


「魔力の塊?があるわね……。これを使って何が出来るの?」


「そう、これは魔力の塊だよ。これをこうすると……こんな感じで家中の様子を見ることが出来るんだ」

 二人に説明しながら、魔石の中にある魔力を動かすと……たくさんの映像が浮かび上がってきた。


「何これ? 絵が動いてる……」

 絵か……そういえば、この世界に写真とかないもんな。

 これは商売の匂いが……後で師匠にカメラを作って貰わないとな。


「絵じゃないよ。まあ、それはいいとして。この中から、気になった映像の魔力を動かすと、その映像が拡大されるんだ。例えば……ベルのことを見てみるか」

 そう言って、ベルが映っていた映像を拡大した。

 すると……自分の下着を広げているベルが映し出された。


「おっと……」


「見ちゃダメです!」

 リーナが咄嗟に俺の目を隠した。


「何しているのよ。これ、どうやって動かすの? あ、思ったより簡単ね」

 シェリーが映像を変えたのを確認してから、俺は解放された。


「レオくん……もしかして……いつもこれを使って覗きをしているんですか?」

 俺に冷ややかな目線が突き刺さる。


「断じて、やっておりません」


「へ~。これ、お風呂とかも覗けるのね。絶対、一回は覗いているわ」

 おい、シェリー! 勝手に動かしちゃダメ!


「あら、そうなんですか? で、本当のところはどうなんですか?」


「や、やっておりません」

 だ、断じてやっていないんだぞ!


「目が泳いでますよ?」

 そ、そんなはずは……。


「や、やっておりません」


「そうですか……。それで、これをあっちの城でも造るのですか?」

 ふう、何とか許して貰えた~。

 おっと、俺はやっていないんだから喜んじゃダメだった。


「いや、そのためにはドラゴンをもう一体倒さないといけなく「レオ様、それはダメですよ?」」

 声がする方を見ると、大きなカバンを持ったベルが立っていた。


「あ、ベル。聞いてくださいよ。さっきレオくんが「ごめんなさい。何でもしますので、それを口にするのはお許しください」」

 俺は、リーナの声が聞こえた瞬間に反射で土下座をしていた。


「ふふ……。言質を貰いました」

 こ、怖い……。


「それで……どうしてレオ様がドラゴンの所に行こうとしているのですか?」


「いや、行かないよ。もし、これをあっちでも造るとなるとドラゴンの魔石が必要になるって話」


「あ、そうだったのですか。早とちりしてすみません」


「こちらこそ、すみませんでした」

 覗いちゃって。


「もっと、誠意を込めて謝りなさい」


「は、はい。この度は、申し訳ございませんでした」

 俺は、急いで土下座の状態に戻った。


「や、止めてください。どうしたんですか?」


「いや、無性に謝りたくなっただけだから気にしないでください」

 お願いだから理由は聞かないで。


「え? あ、はい」


「とりあえず話を戻すと、これをあっちでは造ることは不可能だから、違う物を造ろうと思っているんだ」

 魔の森に行くことが禁止されているのもそうだけど、あの城を改造するとなると、もっと大きな魔石が必要な気がするんだよね。


「でも……これと同じような性能を出すには、やっぱりこれくらいの魔石が必要じゃないんですか?」


「そうなんだよね。だから、撮ると映すを分けて造ることにしたんだ」

 そうすれば、必要な魔石の大きさは小さくても大丈夫だと思うんだよね。


「えっと……どういうことですか?」

 やっぱり、三人にはこの説明だけじゃわからないよね。


「そうだな……説明するのが難しいから、造り終わった後に使いながら説明するよ」


「わかりました」


「まずは、撮る方」

 まず、材料の大きなミスリルの塊をドン、ドン、ドンと置く。

 それと、数えきれないくらいの魔石をジャラジャラと床に並べた。


「うわ~。こんな大きなミスリルをたくさん、いくらしたんですか?」


「これは貰いものだよ。イヴァン兄さんがダンジョンからたくさん持って来てくれたんだ」

 買ったとしたら、家が一つは買えてしまうくらいの値段になってしまうかもね……。

 兄さんには感謝だな。


「あ、そういえばレオくんのお兄さん、ダンジョンを一つ潰したんですよね」


「そうなんだよ。特殊部隊が新人に課す試練らしくて、クリアしたのはおじさん以来の快挙らしいよ。で、その時にドロップしたミスリルを全部俺にくれたんだ」

 ちょっと裏話をすれば、兄さんは試練の時にパートナーだった相手と結婚することになったんだ。

 少しだけ会ったことがあるんだけど、凄く美人だったのが印象的だったな。


「それにしても、フォースター家は化け物しかいないわね。ダンジョンをこんな短期間に三度も踏破してしまう家系ってどういうことよ。訳がわからないわ」


「それは……皆、小さい頃にじいちゃんとばあちゃんに鍛えられているからじゃない?」

 兄さんも父さんもおじさんも、あの地獄を乗り越えた同士なのだ。


「勇者様と魔導師様って、そんなに厳しいの?」


「厳しいってもんじゃないから。普通なら死んじまうよ。あの二人は、孫相手でも容赦ないからね」

 平気で、孫に当たったら死ぬような攻撃をしてくるくらいだからね。


「そ、そうだったんですか……」


「おっと、話が脱線したな。とりあえず、創造しちゃうよ」

 そう言って、俺は魔石の山とミスリルの山に創造魔法を使った。


 出来上がった物は……ミスリルで出来たネズミだった。

 それもたくさん。


「「きゃあ~!!」」

 シェリーとリーナは大絶叫。


 ベルは

「わあ、可愛らしいですね」

 と言って、ネズミをナデナデしていた


「二人ともごめん。まさかネズミになるとは思わなかったよ。ハハハ」


「笑いごとじゃないです。早くしまってください」


「そんなに怖い? まあ、わかったよ」

 シェリーとリーナが余りにも嫌がるから、とりあえず全てリュックに入れた。


「はい。これでいい?」


「はい……大丈夫です。それで、あれを使って何をするんですか?」


「その説明は、もう一つの機械を造ってから」

 とりあえず、映す機械を造らないと。


 俺は、ミスリルの余りとさっきの魔石よりもたくさんの魔力が入った魔石を使って魔法アイテムを創造した。


 そして出来た物は……テレビだった。


「これは何ですか?」


「さっきのネズミで撮った映像を移すやつだよ」


「あのネズミで何ができるんですか?」

 それは鑑定しないと詳しいことはわからないんだよな……。


「ちょっと待っててね」

 俺は、ネズミを一匹取り出して鑑定を使った。


<ラットゴーレム>

 盗撮のスペシャリスト

 主が必要であろう情報を絶対に撮り逃さない

 ネズミの天敵であった天井とネズミ返しを克服済み

 戦闘力はほぼ皆無


 体力:1

 魔力:1

 力:1

 速さ:7000


 スキル

 盗撮Lv.MAX


<ネズミモニター>

 ネズミから送られてくる映像を瞬時に保存、編集してから、主に提供する

 ネズミたちに指示も送ることができ、あなたの盗撮を最大限サポートしてくれます

 創造者:レオンス・フォースター


 そんなに盗撮を強調しなくてもいいじゃん。

 べ、別にやましいことに使おうと思ってないんだからね?


「あの……」


「違う、俺は無実だ! あっ……。さて、この機械はどういう物なのかと言いますと」


「ちょっと。誤魔化すにも無理があるでしょ。何が無実なのよ」

 聞かなかったことにしてください。


「いや、ちょっと取り乱しただけなので気にせずに。それより、説明を続けるね」


「無理やりですね……」

 あ~聞こえな~い。


「これは、ネズミが見ている映像を見ることができる機械なんだ」


「そうなんですか。それじゃあ、このネズミを城の中で放し飼いにするってことですか?」

 そう言いながら、リーナは嫌な顔をした。

 どうしてそんなに嫌なんだ?

 シェリーはまだわかるけど、リーナは小さい頃田舎暮らしだっただろ?


「このネズミ、隠れるのは凄く得意みたいだから、普段見かけるようなことは無いと思うよ」

 だって、盗撮のスペシャリストなんだからね。


「それならいいのですが……」


「ありがとう。よし、あとレッドゴーレムを大量に造ったら城に向かうか」

 物理的な防犯も必要だからね。


今回出てきたイヴァン兄さんのダンジョン踏破のくだりは、二巻の番外編にたっぷり(初版限定特典も合わせたらいつもの七話分)載せていますので、気になった方はそちらをお楽しみに!

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