人と関わらない生活
まだ、タイトルの意味も意味不明ですがこれから田中に隠された秘密がどんどん明らかになってきます。どうぞ飽きずに次ぎも読んでください。
最近よく思うのは、俺もなんだかんだ言ってこの時間を嫌いではないということだ。その根拠はこうしてこの学園生活を続けているからである。好きでもない時間をわざわざ繰り返す人はいないだろう。
この騒がしい雰囲気もいろんな行事も、勿論通常の授業も好きだ。だけど最も好きな所は、この高校生という時期が一番刺激的だからである。だからこそ何回繰り返しても飽きない。そこがいい。
ちなみに、さっきから繰り返す、繰り返すと繰り返し言っているがこれは別にタイムリープとか言う大層なものではない。ましてや高校浪人とかそういうことでもない。ただ単純に繰り返しているだけである。まあ、詳しくは後ほど説明しよう。
入学してから早、一カ月がたった。
クラスでもグループが出来始め、それぞれの性格も見え始める頃である。それまで、クラスの中心的な存在だったやつがあれ?あいつウザくね?みたいになって御愁傷様になったり、あるいはその逆で、今まで影の薄かったやつが実はいい奴じゃね?となって人気者になるパターンもある。
ちなみに俺はそのどちらでもない。
入学してから、他人とはほとんど話していない。別に嫌われてはいない…と思うが、この様な状況になったのはなぜかというと、俺が誰とも話そうとしなかったからである。
これは、俗に言うコミュ障という奴ではない。話せないではなく話さないようにしているだけだ。
つまり、俺はここにいるクラスメイトとは関わるつもりはないのである。
「はい、席つけ。今日は昨日予告したとおりテストやるからな」
と、先生がいやらしい口調で言うと、え〜、とクラスにどよめきが起こる。「やっべ、俺勉強してね〜」
と一人の男子が言う。名前は知らない。
いたいたそういう奴。勉強してねとか言っといて結局いい点取るやつ、大抵そういう奴って嫌われるよな。
ん?ちょっと待てよ。今日テストだったか?
……やっべ勉強してね〜
結局テストは割りといい結果だった。
どうやら、勉強してね〜ほどテストの結果がいいという法則の証明を無意識のうちにしてしまったようだ。
それが、最後の授業だったのでそのまま帰る準備を始める。もちろん、一緒に帰る人などいない。決してぼっちではない。自分から友達を作らないだけだ。
(それをぼっちというのだぞ)
なんだかよく分からん天の声が聞こえたが…ええい、うるさい。とにかく、ぼっちではないのだ。そんな見苦しい言い訳をしながらだらだらと帰路につくのであった。
どうやら俺はなんとも面倒な状況に巻き込まれたらしい。いつもの様に平和に帰りたかっただけなのに。
簡単に説明するといつもの様に家路につき、細い路地に入った所で、名前も知らない女の子がこれまた名前も知らない男達に囲まれているのだ。それを俺は隠れて見ているという状況である。
こんな状態に置かれたのは今まで生きてきた中でもなかなか無い。
今まで生きてきた中で?お前そんなに生きてねえだろだって?
野暮だぜ。男の子に年を聞くのは。
そんなことより今はこの状況をどうするかだ。女の子を囲んでいる男達はどうやらナンパとかそんな呑気な感じではない。
男達の口調が荒い。何方かと言えば恐喝している感じだ。耳をすませてみるとかすかに話し声が聞こえた。
「お前が………だろっ‼︎」
「違いますっ」
どうやら、女の子が何かに勘違いされているらしい。
いや待てよ。本当に女の子が男達に恨まれるような事をしていないとも限らない。まあ、そんなことする様にはみえないけど。
しばらくすると男達が女の子を連れ去ろうとする。あああ、どうしよう。
でも、やっぱり俺には関係ない。そう別に俺が助ける義務はない。俺が本気で助けるのは動物だけだ。
俺の動物愛を舐めるんじゃない。
どれくらいかと言うとだな、徳川綱吉くらいだ。つまり、生類憐みの令を出したいくらいである。加えて言うと、犬好きなところも似ている。
ただし、人間は別だ。というか人間全員好きとかそれもうただの変態じゃねーか。
「やめて下さいっ」
女の子がさけんで抵抗する。
ん?あれ?おかしいな?
ゴシゴシと俺は目をこする。
一瞬、いや今もだ。あの女の子が犬に見える。よくみるとなんとなく犬に似た雰囲気がある。あと、いまの怯えている感じが小動物のようだ。
本当に似ている。それはもう語尾にワンが付くぐらいに。
俺はもう迷わなかった。あんなかわいそうな犬…間違えた女の子を放っておくわけにはいかない。
「ちょっと待てって」
俺はそう口にしていた。
男達は一斉に俺の方を見る。突き刺さるような視線で。
「犯罪だぞ。おまえらがやっていること。」
男達は顔を見合わせて笑い出す。
「分かってやってんだよ。馬鹿かおまえは?」
いや、これでも頭は良い方なんだが…。
「分かってんならやめてくんない?」
「うるせーな。それだけか?なら、黙って見てろ。どうせ何もできやしないんだからよ。」
男達は辞める気は無いらしい。
そしてその言葉には間違いがある。何もできやしない?本当にそうか?
女の子が今にも泣き出しそうな視線をこちらに向けて来る。待ってろ、いま助けるぞポチ(違います)。
そうして、俺は女の子を助ける決意を固めたのだった。
誤字脱字があればご指摘よろしくお願いします