東方同盟軍第1機動野戦軍集団「ヴァースキン」
日本皇国...皇国がもう一つの日本に降り立ってから早数ヶ月、世界のパワーバランスは崩壊しつつあった
大地震による津波によって原子力発電所の稼働が出来なくなった事による足元を見た『特別』価格による販売で儲けていた資源産出国、敗戦国であることを理由に理不尽な要求ばかり繰り返す近隣諸国や大国等の諸々の問題が解決しつつあったのである
資源に関しては海洋国家であるが故の海底資源の開発と採掘に皇国の技術と皇国が国力的に盟主を押し付けられた東方同盟の海洋系種族の労働者達の努力で僅か半月で海底油田の商業化に成功、他の海底鉱山の開発も成功しており最早鉱物や燃料資源に困る事が無くなったのである、また資源が無いとされていた陸上も再探査がなされ北海道の山奥で大規模な鉱物資源の鉱脈も発見された事によりさらに経済が加速されたのである
食料に関しても皇国が原子分解装置の他に宇宙空間での長期航行用に標準装備している食料生産プラントを多数建設することで解決したのである、その際生産者団体から苦情や反対の意見が出たが自給率の足りない分と飼料用のみの生産という条件で日本政府が取り纏め交渉に成功した
また東方同盟構成国から多数の様々な労働者達が入ってきており、身体能力に任せ労働人口の減少著しい第一次産業や医療・介護業界になだれ込んだのである、その際に日本人の仕事を奪わないように失業率が増えれば労働者達は引き上げる事をこれまた日本政府が条件として取り付け解決した
日本政府も先の人質事件の際に最後まで抵抗した事で支持率は80パーセントを突破し上昇中であり、憑き物が落ちて最早何も怖くないとばかりに精力的に動き回り、その動きは東方同盟の指導者達に
『我々は今まで日本皇国に助けてもらってばかりであり、その恩に報いる為取引したつもりだった、しかし自信を持って言える...彼らもまた心に刀と誇りを持つ侍である、対等にして頼りなる同胞である。』
と言わしめるほどの動きと堂々とした姿勢で交渉に臨んだのである、これに東方同盟は全力の取引で答えさらに発展していくのである
この動きに世界はついていけなかった...何処の世に異世界から侵略者がやってきて侵略始めようとしたら、同じく異世界から第3次世界大戦と生存戦争とかいう地獄を生き抜き覚醒進化して星間国家と化した日本皇国がどっからどう見てもファンタジーな異種族の連邦国家引き連れて殴り込んできて侵略者を叩き潰したかと思ったら、この星の日本を保護国化してまるで育成ゲーム化の如く動いているのである、理解しろというのが無理な話だった
それでも理解が進んでくると彼らの反応は分かれた
友好・敵対・静観
この3つである
友好は主に自分達の価値を示し支援を求める考えで、主にフットワークの軽い中小国がこの姿勢だった
敵対は今まで築き上げてきた立ち位置が破壊されるのと理解が及ばない事を恐れ過激な反応を取る姿勢で主に大国に見られた
静観は文字通り様子見で対応を決めかねている国々がとっている姿勢だった
無論彼らは表面上は友好の姿勢を示したが、これらの行為は東方同盟にとっては逆鱗に触れる行いだった
東方同盟は元々自分達の生存を脅かす西方連合に対抗する為組織された連邦であり、日本皇国が加盟してからは宇宙への進出準備の為、ある程度の自治は認めるが強固な拘束力を持つ1つの国となった経緯を持つ連邦国家で事と、同盟全体を通しての精神として『高潔と誉と誇り高く有れ』というものがあり、何度も理由をつけては過剰なまでに助けてくれた日本皇国に対し敵対、別の世界ではあるものの日本に対し敵対した国々には怒りが湧いており
『すまないが日本に喧嘩売った国々とは取引するつもりは無い。』
『恥知らずと会話するつもりは無い。』
『我らが取引する事など無いぞ、帰れ戦争ばかり起こす業突く張りの外道共!』
と東方同盟大使館を訪れたかつて日本に宣戦布告したり調子づいている国の大使や元首達に暴言を浴びせて門前払いだった
追い返された彼らが次に交渉したのは皇国だった、こちらはまだ話を聞くつもりがあったようである程度の交渉は出来たが
『申し訳ないが正直な所貴国等は関係ないのだろうが、日本皇国は恨みしか持っていない、国際連合という組織で防げれなかった国家間の外交戦争から発展した核戦争やそのあとの生存戦争で遺伝子自体に変化が起きているほどでしてね...申し訳ないが我々に貴国等の常識に充てはまらないというのを理解してから来ていただきたい。』
自分達の常識で交渉したら追い返された、ならばと日本政府と交渉したら
『失礼ながら領土問題や貿易問題を解決しない限り取引に応じるつもりは無い。』
と今まででは考えられない程の姿勢で追い返されたのである、しかしその際に道を示した...それは
『え? 日本皇国総大将の小林直哉がほとんどの特許を持っている?』
『ええ、もともと原子分解技術以外の基礎技術は小林直哉が考え出し理論化した物なのです。』
日本政府からもたらされたこの情報に彼らは色めきあった
『『『ってことは小林直哉どんな形でもこちら側に引き込めば!』』』
世界各国は一斉に行動を開始したが早速壁にぶち当たった...引き込める要素が無いのである、女・資産・名誉・地位などどれも直哉は必要としていなかったからである
女は元々一夫多妻制である東方同盟でも自分の意志からかけ離れるほどの規模のハーレムを形成してしまっており、王族・人化したフェニックス・兵魂と呼ばれる一種の神々に等しい付喪神・マジモンの太陽神と驚異的なものでありただ見た目麗しい女を送り込んでも受け入れてもらえなかった
資産に関しても驚異的なまでに保有しており、資金や資源だけではなく自らの命令しか聞かない私設軍を保有しており話にならなかった
名誉も彼自身が皇国軍総大将であると同時に成り上がりの神々の1人である為これ以上の名誉はなかった
地位もかつて世界を救った手柄で神格を獲得し成り上がっている事で、東方同盟内ではどの国に行っても王族階級であり、挙句の果て神々の中でも最強格の太陽神の伴侶である為、国家が授与できる勲章などでは交渉材料にもならなかった
その為交渉を持とうとしたが、所属している皇国軍や参謀総長を務めている東方同盟機構軍の広報や総司令部から却下された
ただそれに諦める筈が無く、非番時に伴侶達に買い物で荷物持ち扱いで連れ出された際に交渉しようとしたが
「君達は国家の代表でありながら些か驕りすぎていないかね? 仮にも皇国軍総大将であり兵士と守護者の神である兵神としての私に直接交渉を持とうとは...それと勘違いがあるようだが私が持っているとされている技術特許は全て私自身の物ではないよ。」
「え? しかし聞いた話では...」
「あくまでも名義だけ私なだけだ、私は部品に兵器や装置の設計製造しかしとらんよ、まあ時々暇つぶしに研究することもあるがね...特許も考案した発明家や技術者達から国家が取り上げないように管理しているだけに過ぎん、わかりやすく言うなら一種の管理者のようなものだよ私は...最も東方同盟の国々は功績をかっさらうような事は例え国が亡ぶぐらいにならないとしないだろうな、神である私に喧嘩売るわけ無いし何より彼らは先祖と子孫の名誉が汚れる事を何より嫌うから。」
「で、ではその技術者達に連絡を...」
「まあ良いだろう、繋げるぞ...すまんな君達、ちょいと面倒事だ。」
私服姿の直哉は珍客によって周りの人々に迷惑が掛からないように入った喫茶店の中で仮想分子モニターを空中投影し技術者達に繋げ状況を説明した、そして技術者達の答えは
『断る、お前達に教えたら大惨事になりそうだからな! 閣下が許可を出すんだったら話は別だが、それでも断る!』
と扱き下ろし通信を叩き切った
「という訳だ、断るようだから私も断る、答えは変わらないだろうからさっさと帰り給え...私の家族達を待たせているからね。」
と去っていった
ただそれでも諦めきれない国々は結果として
「まさか本当に馬鹿げた事をしてくるとは思わんかったなぁ...ミラ適当に報復しといて。」
「わかりました...フェニアさん物理的に国蒸発させようとしないでください、他の皆さんもです、あくまでも社会的に手を下すのです。」
『...はーい。』
「やれやれ...面倒だねぇ。」
特殊部隊や諜報員による脅しで襲撃をかけたり、ネットワークにハッキングして弱みを握ろうとして返り討ちにあい
「大統領! ペンタゴンが完全制圧され軍事機密がネット経由での流出が止まりません! CIAやFBIもです!」
「書類で保管していた国家機密も襲撃を受け損失! 保管庫内の資料等が文字通り全て消え去っています!」
「た、大変です! 流出した資料全てが証拠付きで全土でばらまかれてます! それにより市民達が押し寄せています!」
と愚かにも手を出した国々はハーレムの伴侶達や親子の契りを交わしている兵魂達や私設軍の報復により今まで隠してきたおぞましい程の機密をばらまかれ政治的に混乱状態に突入してしまったのである
そしてその隙に西方連合が動いた
暫くして混乱の収まりつつあった国々に侵攻、侵略を開始したのである
無論彼らも皇国と東方同盟に対抗し軍事拡張を行っており、迎撃を開始した
初めは様々な創作作品にあるような『魔法は科学に適わない!』という考えの元士気は高かった、彼らの中で先の侵略の際に自衛隊が手も足も出なかった事は火力の不足と片付け、戦闘を開始したが
『クソ! 連中とんでもない数だぞ!』
『銃撃が効かない! ミサイルも効かないぞ!』
『シールドの様な物で攻撃が届かない!』
といった状況に陥り、それでも決死の攻撃で物資を消耗させ物資補給の為立ち止まらせ何とか膠着状態を作り出したのである
これに各国の政府は真っ青になった、自分達の攻撃が通じず相手の銃撃や砲撃に魔術・魔法攻撃は通るのだ、現在は燃料気化爆弾やクラスター爆弾で守りの堅い最前線の軍勢ではなく後方の物資を焼き尽くす事で何とか対処したが同じ手が何回も使えると思わなかった
そして取った手が東方同盟や日本皇国への支援要請だった
しかしそれには問題があった、混乱や国家が起こした事案を収める為東方同盟や日本皇国に飽き足らず直哉個人にまで一方的な責任転換を図っていたからである
その為東方同盟や日本皇国国内では支援要請を受けるどころか制裁論や出兵論も出ていたのである
そして最後の最後で各国は、兵器や銃器が魂と実体を持った存在である兵魂達に声をかけたが
「喧嘩売ってるのか? 今の私達は日本皇国の指揮下にあるし私達を怪物だの魔女呼ばわりしたろうが!」
「核兵器という死の兵器を運搬させたり、実験台にしやがったのに。」
「死ね!」
と同じく拒否された
この流れに西方連合は介入が無い事を確信し、侵攻されている国々は絶望し、東方同盟や日本皇国は静観する姿勢をとった
だがしかしその流れを止めたのは
「お前達何くだらない事ほざいてやがる、そこまで嫌なら俺個人でやる。」
誹謗中傷を受けていた直哉自身だった
直哉は自身の私設軍部隊を展開し、物資の補充を済ませ侵攻を開始しつつあった西方連合軍に対し反撃を開始したのである
この動きに対し侵攻されていた国々の政府は厚かましくも私設軍の指揮権を握ろうとしたが
「じゃあ帰るわ、後はお前達だけでやれ。」
とサッサと帰ろうとした為、この動きに呆れ果て青筋を浮かべた各国の軍部が政府に対し『丁寧(物理)』な説得を行い、直哉に対しても各国の軍部が自国の政府に対し睨みを効かせる事を確約し謝罪する事で何とか引き留めたのである
そして同時に各国の軍部が頼りにならない政府に愛想をつかし、東方同盟や日本皇国に加え兵魂達に謝罪を行い、今度は救援要請を出したのである
各国の政府はこの軍部の動きに激怒したが、国民達は足を引っ張りまくる政府よりも祖国防衛の為に泥を被った軍部を支持した為追認する事になったのである
そして謝罪を受けた東方同盟や日本皇国は派遣部隊の指揮権を直哉にしか認めないという事を条件に、部隊を派遣したのである
この派遣部隊は直哉の指揮する部隊として各国の国家元首直属クラスの最精鋭部隊や主力艦隊が集められる事になった
この部隊は、後に東方同盟最精鋭軍集団『東方同盟軍第1機動野戦軍集団「ヴァースキン」』として名を馳せる事になる
東方同盟軍第1機動野戦軍集団「ヴァースキン」
東方同盟軍最精鋭軍集団として構成国の国家元首直属の親衛部隊を中心に集められ編成された最精鋭部隊
総指揮官は日本皇国総大将小林直哉が指名されており、直哉自身極端なまでに兵員の消耗を嫌う司令官である為各国は競うように自国の精鋭部隊を配属させたという逸話がある
東方同盟軍総戦力9000万から選抜された兵員が配属されており
歩兵350万・車輌22万7000両・航空機及び航空騎1万の陸上部隊及び支援部隊
飛行戦艦30隻・飛行航空母艦40隻・飛行巡航艦300隻・飛行駆逐艦1200隻・艦載機1万3000機の3個主力空中艦隊が配備されている
「ヴァースキン」とは古代言語で「神の槍」という意味