エピローグ
怖い怖い、けれどとても悲しい化物の話し。
独りの化物はずっと独りでした。
太陽が嫌いで月が大好きだった化物は、実は星というたくさんのお友達がいる月に嫌っていて……太陽という雲にすれ違っているだけの孤独な存在を自分と同じであることを嫌っていたけど、同時に大好きでした。
けれどそれに気づくことはなかったのでした。
化物にとって誰かと一緒にいるというのはうらやましいことだったから。
それが何年も何年も続いて化物はとうとう一人の男の人に後ろから刺されてしまうのでした。
その時化物はたくさんの事を考えました。
そして嫌いだった自分はようやく終わると、そう呟いて笑い目を閉じました。
それが『孤独な勇者と独りの化物』のお話でした。
「まま、化物さんはどうして最後に笑ったの?」
本を読んでいた娘が私の膝上に座っている。
子供には少し難しい話だったかな。
「ティナ、実はこのお話には続きがあるの。この後勇者様は自分は悪いことをしたって想って、『まだ始まってすらいない』そう言って涙を流しながらキスをするの」
「どうして?」
「ん?それはねどんなお話でもお姫様の呪いを戻すのは王子様のキスだから。さ、今日はもう寝ましょ明日はお父さんが魔王の城に居る魔王様を連れて帰って来る日よ」
今度はどんなお友達を連れてくるのかしら。
ねぇ、わたしの勇者様……