終わりの日
ズシャリ、と重く鈍い音が響いた。
ジンジンと腹部が熱を訴える。
なにが起こったのか解らずわたしはお腹を見た。
今までなにもなかったのに銀色の平べったい角のようなモノが生えている。
「なんだ、赤色だったんだ」
そう冷たく発せられた言葉が人間のモノと理解した時には、わたしの意識は暗がりにあった。
あぁ、わたしは刺されていたのか。
混濁していく意識の中、血液を目にした。
あぁ、こんな終わりなのか。
我慢して来た孤独はこんな終わりでしかないのか。
痛いなぁ、苦しいなぁ。
でも、もう苦しみ続けなくていいんだ、もう独りだって思わなくていいんだ。
解ってるよほんとは、化物と人間は相いれないモノ同士なんだって。
そう考えたら、もう生きていなくてもいいのかもしれない。
生きていたってわたしは誰にも必要とされない。
生きていたって誰にも理解されない。
生きていたって誰にも寄り添ってもらえない。
生きていたって誰もわたしを……。
「化物でも、涙を流すんだな」
同じ人の声のはずなのに今の声には冷たさがなかった。
なんでだろう、そう想うことはなかった。
だってもう終わりなのだから……。