第69話 自叙伝『さして面白くもない人生』第三章 その5
――アシュト・エジルバーク自叙伝『さして面白くもない人生』第三章より抜粋
『私は逃げなかったのではない、逃げられなかったのだ。
魔物が飛び込んできた窓は、ちょうど私の目の前にあたる。バルコニーにその影が見えたと思った瞬間、凄まじい破壊音が室内に轟き渡った。
人々の阿鼻叫喚の様はまさに地獄絵と言っていいだろう。つい先ほどまでは料理に舌鼓を打ち、酒を堪能し、幸せなひとときを過ごしていた彼らは、恐怖に青ざめて、這うようにして逃げ惑う。その様子を私はただ呆然と眺めていた。
むろん私自身が恐ろしくなかったわけではない。それどころか牙をむき出しにし、色違いの瞳を鋭く光らせ、自分の方へと向かってくる魔物を見て、一瞬だが死を覚悟したほどだ。その反面、あれは侯爵の使い魔なのだという、妙に冷静な気持ちもどこかに残っていた。
魔物は立ち尽くしていたそんな私の上を飛び越えて、シャンデリアの一つを破壊し、テーブルをなぎ倒して、侯爵のそばへと行った。
こうして書くとずいぶん長い時間のように感じられるが、実際には一瞬のことだ。だから人々の多くが、すでに扉の前まで到達していたのには驚きを隠せなかった。生存本能というものだろう。その本能をさらに刺激したのは、侯爵の怒鳴り声だった。
「ここから出た者は、真っ先にこの魔物に食い殺させるぞ!!」
その言葉に人々の動きは完全に止まってしまった。扉に手を伸ばしていた者はその状態で、隣の者を押し退けていた者も相手の肩に手を置いたまま、まさに彫刻にでもなってしまったかのようだった。
そんな中、私がずっと気になっていたのは侯爵の容体だ。彼がグラスを倒しつつ、ふらふらと立ち上がり、毒殺という言葉を口にした時からずっと、本当に心配でならなかった。もしも魔物が入ってこなかったなら、彼の元へ駆け寄っていたことだろう。
今でこそ分かるが、たった数日の間に、私は侯爵に恋心に似た感情を抱いていたのだと思う。むろん侯爵は男子で、私も同性を好むという嗜好は持ち合わせていなかったために自覚は全くなかった。もしも自覚していたらどんなことになっていたのか? まあ、想像しないでおこう。
侯爵はフォーエンベルガー伯爵と、ひと言ふた言なにか会話を交わすと、そのままズルズルと魔物の足元へと崩れ落ちてしまった。
私の心臓は跳ね上がった。もしや、本当にお亡くなりになってしまったのか。そんなはずはないと震える足を必死に抑えていると、伯爵家の近衛兵たちが食堂へと流れ込んできた。その隙を突いて、固まっていた人々の多くが廊下へと逃げていく。まだ扉まで到達してしなかった者たちもまた、少しでも兵士らのそばに行こうとコソコソと動き始めた。
入ってきた近衛兵らは、食堂の中央付近まで移動し、一斉に弓を構える。もちろん矢尻の狙いはすべて魔物であった。
だが彼らが矢を放てなかったのは、魔物を挟んだ反対側に当主フォーエンベルガー伯爵がいたからであろう。銀に光る兜の中の目はすべて、どうしていいか分からないというように泳いでいた。
そんな中、ただひとり気炎を吐いている者がいた。今朝方、我々の前で自己紹介をしたタナトス・ハーンという司令官だ。彼は弓が無理だと早々に諦めて、剣を片手にじりじりと魔物へと近づいている。
「止めろ、ハーン!」
フォーエンベルガー伯爵が制止の声を上げた。
「いいえ、やらせていただきます。この世から一匹残らず、異形の悪魔を消し去らなければなりませんゆえ」
上段の構えで剣を立てたハーンは、今にも魔物へと突っ込んでいきそうな気配がある。しかし私には分かっていた。生身の人間があの魔物には絶対に勝てないということを。
「おやめなさい!!」
咄嗟に叫んだ私の声にハーンは驚いたようだ。動きを止めて、テーブル前にまだ残っていた私の方へと、兜の正面をわずかに動かした。
「その魔物をひとりで倒すのは無理です」
「無理かどうか、やってみなければ分かりますまい」
「我がメチャレフ軍数十人と魔物五体で襲いかかっても、刃が立たなかった相手ですぞ」
「しかし!」
「その魔物は猛火を吐く。下手をすればこの城すべてが焼け落ちるでしょう。それでも良いのですか?」
ハーンは背後にいる部下たちを眺め、それからまた魔物に目を転じ、どうすべきか迷っているようだった。
その隙に私は直接、侯爵の使い魔に訴えかけることにした。
魔物がすべて悪ではないと、その時にはもう私には分かっていた。主人を助けるために、命を捨てたあの巨大ムカデの姿が胸にあったためであろう。だからこそ、ひたむきに主人に仕えている狼魔も必ず分かってくれる。私はそう信じていた。
「えっと、フェンリルさん」
確か侯爵がそう呼んでいたことを思い出し、私は魔物に呼びかけた。これも今でこその話だが、魔物に敬称を付けたのは可笑しなことだ。けれど、私がそれほど切羽詰まっていたのだと、どうか感じ取って欲しい。
「侯爵は私が必ずお守りしますから、どうぞここは一度引いていただきたい」
色違いの双眸にギロリと睨まれた時、私は本当に生きた心地がしなかった。
魔物はそのまま一昼夜と思えるほどの時間、私を睨み続けた。むろん実際には数分もなかっただろう。
鋭い視線がふっと私から離れる。狼魔は足元に倒れる侯爵を覗き込み、その鼻先で侯爵の美しい顔を優しく撫でた。それはそれは愛おしげに……。
狼魔が侯爵をどれほど大切に思っているのか、見ているだけでも伝わってくる。そして、もしも自分になにかあればフォーエンベルガー家は終わりだという侯爵の言葉が、真実味を帯びた。
さらに数分、狼魔は侯爵を見つめ続ける。迷っているのだろう。私はそう感じていた。
やがて、藍鼠色の体毛に包まれた狼魔の顔がゆっくりと上がる。その両目は私を捉え、さらに未だ剣を構えているハーンへと移っていった。
もう見守るしかない。私は何度も唾を飲み込んで、どうかなにも起こりませんようにと祈るばかりであった。
そんな私の願いが通じたのか、狼魔はもう一度侯爵の顔を撫で、それから現れた時と同じように疾風のごとく城外へと出て行った。がしかし、完全に離れたわけではない。バルコニーの手すりに四本の足を乗せて器用に立ち、こちらを睨んでいる。もし侯爵になにかするなら、すぐにでも攻撃をするという体勢だろう。それでも、室内の緊張は若干和らいだようだった。
「ユーリィ!」
最初に侯爵の元へと駆け寄ったのはフォーエンベルガー伯爵であった。指先で細く白い首を触り、生死を確かめている。生きていることが分かったのか、伯爵は安堵の息を吐き出した。
そのまま彼は、侯爵の額へと指を伸ばす。触れるか触れないかというその寸前、背後にいる家臣のだれかが伯爵へと声をかけた。
「生きておいでですか?」
「ああ、生きている」
伯爵は手を止めたまま、返事をする。少々声が強ばっている感じがした。
「どうなされるおつもりですか?」
「ひとまずベッドへ運ぼう、本人の希望だから」
「このまま……」
別の家臣がためらいがちに口を開く。
「このまま?」
「このまま亡き者にしてもよろしいのではないでしょうか?」
「殺せと?」
「ええ……」
伯爵は首を伸ばし、テーブル越しに窓へと顔を向け、闇にまみれた狼魔の姿を確認した。
「あそこで魔物が睨んでいる」
「この場でなくても、別の場所で」
「主人の命が消えれば、使い魔にも必ず伝わる。そうなったら、フォーエンベルガーの地はすべて焼き払われるだろうさ」
「そうですが……」
「今は侯爵の命令に従うしかない。フリューゲ夫人、頼みます」
離れた場所から、「嫌でございます!」という悲鳴に近い声が聞こえてくる。赤いドレスの女性はすでに近衛兵の後ろまで逃げていた。彼女にしてみれば難を逃れて一安心といった状態での指名だったのだろう。
「気持ちは分かるが、今はフォーエンベルガー最大の危機なんだよ、フリューゲ夫人。貴女はこの地を守りたくはないのか?」
当主にそんなことを言われては、拒絶できるはずはない。夫人は半べその表情で、弓を下ろした兵士たちの間から怖ず怖ずと前に進み出てきた。
「侯爵をお運びするだけでいいのですか……?」
「ああ、そうだ。二つ隣の部屋まで頼む」
「わ、分かりました」
ためらいがちな返事をして、あきらめ顔で夫人は侯爵のところまでやってきた。
「私に運べるかしら……?」
本人は心配そうであったが、彼女は女性としてはたくましい体格をしている。加えて侯爵はかなり華奢である。だからできないことはないだろうと私は思っていた。
しゃがみ込んだ夫人は、侯爵の首の後ろと両膝の下に片手ずつ差し込んで、ゆっくりと腰を上げる。案の定、彼女はわりとあっさり、その使命を果たしてしまったようだ。結い上げられた茶色の髪から落ちそうになっている綺麗な髪飾りですら、どこか勇ましく感じられた。
「では……」
「ちょっと待て」
歩き始めた夫人を伯爵が止めた。一度は引っ込めた指で、侯爵の顔にかかっていた金色の髪を払う。
指先はそのままそっと頬をなぞった。
もしかしたらフォーエンベルガー伯爵は、ライネスク侯爵に友情以上の気持ちを抱いていたのではないだろうか。これも今考えればの話ではある。そう考えてしまったのは、こうして改めて思い出すと、侯爵を見下ろした瞳の表情が、狼魔とそっくりだったからである。
しかしそれも一瞬のことだった。
その後は、伯爵、側近二名、侯爵を抱えたフリューゲ夫人、兵士三名、そして私で食堂の二つ隣の部屋へと移動した。
そこは小さな客室だった。白に統一された調度品は名家フォーエンベルガーを感じさせたが、貴婦人をお招きするには狭すぎた。きっと予備的部屋なのだろう。
天蓋付きの白いベッドに横たえられた侯爵は、全く目を覚ます様子もなく穏やかな顔をしている。とても毒が盛られた者には見えなかった。
しばらくして医者がやってきた。年老いた彼は曲がった背中をさらに曲げ、侯爵の脈を取り、目の中を覗き込み、口の中を調べ、心臓に耳を当て、その具合を確かめていた。
「どうなんだ?」
その様子を見ていた伯爵が、焦れたような声で医者へと声をかけた。
「お食事の最中は、どのようなご様子でしたか?」
「そんなに食べていなかったな。本人は食が細いと言っていたが」
「酒はお飲みになってましたか?」
「少しは飲んでたんじゃないかな。ほとんど減ってはいなかったけど、二口三口は飲んだと思う」
「そうでございますか……」
医者はもう一度、侯爵の顔を見下ろす。透き通るほど白い肌は、ほんのりと赤く染まっていた。
「毒にあたっているというご様子はありませんな……」
「つまり?」
「酩酊されているご様子です、としか私には申し上げられませぬ」
「酩酊? つまり酔っ払っているってことか?」
「酒にお弱いのでしょう。見たところ、侯爵はたいへん幼く感じられます。エルフの血が入っているせいですな。人間で言えば、十二、三歳ほどのご成長ではないかと」
「いくらなんでもそこまで子どもっぽくはないだろう。背だってそれなりにあるし、声変わりもしているようだ」
「ええ、そうでしょうそうでしょう。しかしながら、侯爵が体質的に未熟であることは確かです。どの部分に人間の血が出て、どの部分にエルフの血が出るのかは一概には言えませんので」
医者の言葉を聞いて、憤りの声を発したのは背後に控えていた側近の片方だ。
「馬鹿馬鹿しい!」
声と同じく怒りの表情を浮かべた白髪の男は、当主である伯爵に食ってかかった。
「気が狂っているとしか思えませんな! このような者に関わったら、それこそフォーエンベルガーはおしまいですよ、伯爵。今すぐにでもソフィニアとは縁を切り、セシャールに庇護を求めるべきではないでしょうか?」
「けれど、侯爵を煽ったのはお前だろう、スタキース」
「煽った覚えなどありませんな」
「少なくても、軽蔑するような態度だった。侯爵が言ったとおり、お前は心の中で彼を蔑んでいたのではないのか?」
「私がどう思っていたとしても、あのような惨劇を起こす必要はありましたか? それにフォーエンベルガー家はずっとイワノフ家と一線を引いて参りました。今さらそれを変えるなど……」
「ライネスク侯爵は、イワノフ家の者ではないと思いますよ」
男の言葉を聞いていた私は、ついうっかり口を挟んでしまっていた。
長らく政治的なことから離れようとしていた身である。父が死んだこの時でさえ、伯爵家を継ごうなどと思ってはいなかった。私はそういうことが苦手であり、巻き込まれたくもなかった。
私の存在を忘れていたらしい男は、動揺した表情で振り返った。
「どういう意味ですかな?」
「もちろん侯爵にはイワノフ家の血は入っています。ですが……」
口を出しておきながら、私はなんと言っていいか迷ってしまっていた。頭に浮かんでいたのは、狼魔やフクロウや火竜の姿だ。彼らは純真に侯爵に従っている。それは侯爵には、人間やエルフを越えたなにかがあるせいだという気がしてならなかった。
「……異界の申し子とでも申しましょうか」
「異界の申し子?」
「もしくは神の。どちらにせよ、“金の天子”という呼び名に相応しい方ではないかと。我々には計り知れないお力があるような、そんな気がします」
「馬鹿馬鹿しい!!」
もう一度その言葉を吐き捨てて、側近たちは出ていった。
音を立てて閉じられた扉を、私も伯爵もしばらく見つめていた。私からはもうなにも言うことがなかった。メチャレフ家の者がなにを言ったところで、馬鹿馬鹿しいと言われるのが関の山だ。
すると伯爵は、近くにあった白い椅子を引き寄せて、崩れるように腰を下ろした。膝の上で両手を組み合わせ、顔を伏せる。肩もわずかに震えている。
そんな様子に、よほどお疲れになったのだろうと私は同情を禁じ得なかった。
しかし、次に起こった伯爵の態度は、思いがけないものであった。
うつむいた彼は、なぜかクスクスと笑い始めたのだ。初めは小さく、やがて堪えられないと言うほどに大笑いとなっていく。
しばらくそうして笑ったのち、伯爵は人差し指で笑いの涙を拭き取った。
「本当に、君という子は……」
薄いランプの光では、伯爵の横顔になにが浮かんでいたのか私には見えなかった。けれどその声には少なくても怒りは含まれていなかった。
「一度死んだくらいでは、ちっとも変わらないんだな」
「死んだ!?」
驚いて叫んでしまった声に反応し、伯爵は静かに眠っている侯爵から私へと目を転じた。
「言葉のあやですよ」
「そうですか……」
「彼とは過去に色々とありましてね。この見た目に欺されてはいけないという教訓は得ていたはずなのに、すっかり忘れていました。彼の本当の姿は、大人しい子猫なんかではなく、人をも喰らう獅子なんですよ」
「なるほど、そうかもしれませんね」
「もっとも、凶暴な獅子を手なずけたいという願望がないわけではありませんが」
「手なずける!?」
「むろん、言葉のあやです」
おもむろに立ち上がった伯爵は、今一度侯爵へと視線を落とした。あれほど酷い目に合わされたというのに、その瞳はやはり微笑んでいた。
「さて、自分は後始末をしてきます。貴方はここで侯爵の様子を見ていてもらえますか?」
「分かりました」
「外に兵士を待機させておきますので、お目覚めになったらお知らせください」
そう言い残し、若きフォーエンベルガー伯爵は静かに立ち去っていった。
次の朝、侯爵が目覚めたのは太陽が地平線から完全に出てしまった頃だった。言われたとおり、私は兵士にそのことを知らせに走った。
すぐに伯爵がやってきて、二人だけの会談が行われた。残念ながら私は参加させてもらえなかったので、なにを話していたのか分からない。分かったことと言えば、その後に会った侯爵の雰囲気がどこか違っていたことぐらいだろうか。
昼近くになり、侯爵の二日酔いも治まったというで、出立することにした。城の前で見送りに集まっていたのは、昨日の惨事に立ち会ってしまった側近や兵士たちだ。そのせいで、侯爵が玄関から姿を出ると一様に表情が硬くなった。
狭いエントランスの階段をまず侯爵が下りる。その後ろに伯爵、そして私と続いた。だから侯爵がどのような表情をしていたのかは分からない。たぶん居並ぶ者たちを睥睨していたのではないだろうか。俯いていく者たちの様子で、なんとなくそんな想像をした。例の緋色のマントを羽織っているのは、案外気に入っていたのかもしれない。金の髪が陽光に輝いていた。
広い庭先には馬車が一台用意されていた。貸してくれるらしい。あの狼魔に乗ることが唯一の心配事だった私にとっては、本当にありがたかった。
馬車は二頭の馬が繋がれていて、御者台の横にはしなびた老御者が待機していた。引き馬の前にも一頭馬がいて、その横にはあのタイトス・ハーンが立っていた。甲冑は着けていない。きっと途中まで護衛するだけなのだと、私は思っていたのだが……。
「数日分の食料は中に入れておいたよ」
扉が開かれた馬車の前で、フォーエンベルガー伯が侯爵へと声をかけた。
「あ、うん、ありがとう」
「むろん毒は入れてない」
「そんなこと、疑ってはいない」
「酒も入れなかった」
「おい!」
伯爵を睨みつけた侯爵の顔は、ほんの少し上気している。どうやら酩酊したことへの恥ずかしさはあるらしかった。
「結婚式にはぜひ出席して欲しい」
「可能だったらそうする」
「ありがとう」
「でもその前に、例の条件があるぜ?」
「ああ、分かってる」
ふたりの間に流れた気配はなんとも言えないものだった。
侯爵が口にした“例の条件”については、何人かの歴史学者が考察をしている。だから私はあえてここでは言わないでおこう。
それに、この章の終わりには必ず書かなければならないことなのだから。
「城を出たら真っ直ぐ、港に行くように御者に伝えてくれないか? 同行者と待ち合わせをしているんだ」
「了解」
伯爵の返事にうなずいて、侯爵は馬車に顔を向け、片足を車内に入れた。
しかし、やにわに振り返ると、
「リカルド、僕は……」
その時、侯爵がなにを言いたかったのか、永遠にだれも分からないだろう。なぜなら、彼はそれ以上続けることなく、車内に入っていてしまったのだから。
扉が閉められると同時に、幾人かの悲鳴が聞こえてきた。
後部の窓から覗き見ると、どこからか降りてきた狼魔が、馬車の後ろに立っていた』




