第164話 赤い月
行先は西北西、だからずっと向かい風。
今はまだ夏の残り香が混じり、強い風ではあるが凍えるほどでもない。これが北風になる頃にソフィニアの冬が来る。
フェンリルの背中にしがみつき、ユーリィはひたすら夜の大地を眺めていた。
波打つ草原、揺れる木々、かまどの煙が上る家、蛇行する川、さざ波の立つ湖。けれど太陽が落ちてずいぶん経ち、後方にある満月の光だけでは、すべてが影だ。だからきっとそんなものがあるのだろうと、想像を加えて景色を見る。そのせいか、まるで非現実な世界にいるような気分になった。
(今日は満月かァ……)
そうと思ってから、ユーリィは首を傾げた。
(親竜が来るのって新月じゃなかったっけ?)
そばにいるはずのリュットを探そうとしたが、風が目に入ってまともに見れない。ずっと下ばかりを覗いていたのもそのせいだった。
(ま、いっか。あとで聞けば)
あそこから抜け出せる理由があれば、なんでも良かった。
自分は皇帝の器じゃない。それ感じてしまうほど毎日息が詰まり、このまま逃げ出してしまえと心で誰かが言っている気がする。
でも、まだ負けは認めたくはなかった。
やがて月光に照らされた海が見えてきた。青黒い水面を、風に煽られた無数の白波が遠くまで広がっている。大陸を渡っていた時とは違う冷たい風に指先がかじかんで、ユーリィは硬い体毛をキツく握りしめた。
――もう少しの辛抱だ。
フェンリルは風がなるべく当たらないように飛んでくれているらしい。背中が強風に煽られないよう、絶えず首を上げてくれている様子がとても愛おしかった。
「ま、まだ全然余裕……だから……」
と答えた声にはあまりに余裕がなく、嘘がバレバレ。
――陸地で一回休むか?
「平気……だってば。日が変わるまで……時間ない」
――絶対に落ちるなよ。
さすがに今は無茶ができないことはユーリィも分かっている。フェンリルの背中へしがみつき、風の音だけを聞いて必死に耐えた。
しばらくすると腐ったような異臭を感じ、顔を上げる。
果たして、闇夜を背景に猛然と煙を吐き出す山が、目の前にそびえていた。
フェンリルが森の中へ降り立ったのは、それからすぐだった。鬱蒼とした木々の奥からはフクロウの鳴き声や、獣の息づかいが微かに聞こえる。月明かりはほとんど届かず、ユーリィは手探りで狼魔の背中から飛び降りた。しかし、ずっと呼吸するのもままならなかったせいか少々目眩がして、着地とともにフェンリルの体に寄りかかってしまった。
――大丈夫か!?
「平気」
その返事はまったく信用されず、青白い光を盛大に放って守護神はフェンリルからヴォルフへと姿を変えた。
支えを失って倒れかけた体を、両腕でしっかり抱きしめられる。瞬く間のその変化に、ユーリィは驚きを隠せなかった。
「凄く簡単に変身できるようになったね……」
「経験というか、慣れというか。右足の次に左足を出して歩くみたいな感じだ」
「そのたとえ、さっぱり分からないから」
「だろうな。それより本当に大丈夫なのか?」
「しがみついてたら呼吸を忘れてた。考えてると食べるの忘れるみたいな?」
「そのたとえも、さっぱり分からん」
「だろうね」
下らない会話がちょっと嬉しくなって、ユーリィはクスッと笑った。
ヴォルフとこんなふうに話すのはいつ以来だろう。最近は色々なことに忙殺されて、会話らしい会話をだれかとしたことがほとんどなかった。
それをどう受け取ったのか分からないが、ヴォルフに頭をポンポンと二度ほど叩かれ、それから腕を引っ張られた。
「大丈夫なら、ちょっと急いでくれると有り難い」
「いいけど。どうして?」
「俺が島に降りたことが、連中にバレてるかもしれないんで、早いとこ移動したい」
「連中って……」
「あとで説明する。それより足元は注意してくれ。魔身になったせいか俺は夜目が利くが、君は見えてないんだろ?」
確かにヴォルフの言うとおり、樹木の外輪だけがぼんやりと見える程度。両足は闇の中を歩いていると言ってもいい。けれど、久しぶりに踏みつける土の感触が心地よくて、そんなことは気にならならなかった。
「あのさ、今日は満月じゃん?」
「満月?」
「うん、ほら」
そう言って、木々の間にある丸い月を見ようと、右手後方を振り返る。
ところが自分の想像とは違うその姿に、ユーリィは驚きの声を上げてしまった。
「あれ!? 赤い!?」
「赤……? 本当だ、今夜はずいぶんと月が赤い」
「そうかぁ。だから満月なのか。でもそれでいいのか?」
『いいんじゃよ!』
「うぁっんんんんんっ!!!」
後半はヴォルフの手に口を押さえられた為、叫び声は喉の奥へと戻ってしまった。
「静かに!」
『相変わらず愉快な反応じゃのぉ、ふぉふぉふぉふぉ』
「んーんーんん――……って、苦しい」
鼻まで一緒に塞いでいた手を強引に引き剥がし、ようやく息ができた。
すぐにヴォルフが手を引っ張るから、否応なく歩き出して、隣にいる老人を睨み付けた。
ボロをまとい、宙を滑るように移動する姿は、地の精霊と知らなければ、魔物かもしくは幽霊と言われるなにかに見える。実際ユーリィも初めてこの森で見た時は幽霊だと思ったものだ。
「リュット、毎回そういう出現するなよ」
『気にするな、ワシの楽しみじゃて』
「なんだよそれ」
精霊のくせに変な趣味を持ちやがって。
ぶつぶつ口の中で文句を言うも、精霊は意に介することなく、
『そんなことよりも、赤い月の件じゃ』
「“いいんじゃよ”ってどういうこと?」
『今日でも半月先でも、結果はあまり変わらぬだろうから、早い方が良いと思ってのぉ。子竜に少々細工をして、親竜を焦らせてみたのじゃ』
「子竜に細工?」
『子竜はとある実を食べると、成長が少々早まる。親竜も子どもを巣から早く放したい時に食べさせるのぉ。大変だったのじゃぞ。大陸の北外れにある山の天辺に生える木に、五百年に一度だけ実るのじゃからな。その甲斐あって、うまい具合に子竜は成長して、ほんの少し飛べるようになったぞ』
「わざわざ採りに行ってくれたのかぁ。ありがとう」
『そなたに礼を言われるのは、気持ち悪いのぉ』
「気持ち悪いってなんだよ。せっかく――?!」
気づけば引っ張られていた手が緩まって、いつの間にか止まっていた。前には神妙な様子で、ヴォルフがこちらを向いて立っている。色違いの瞳が淡い月光を反射して、鋭く光っていた。
「なに?」
「なにを言っているのか分からないから、俺にも説明しろ」
「え? だって今夜は赤い月だって言ったけど? だから……あ……そっか」
言いかけてから思い出した。彼の半身は異界の魔物であり、もう片方はヴォルフだ。
「ヴォルフだもんなぁ……」
「おい、その言い方! もの凄く引っかかるぞ」
「別にヴォルフを悪く言ってるわけじゃないし、だれもが知ってるわけじゃないし、たまたまヴォルフが知らなかっただけかもしれないし……」
「分かった。いいから早く言えって」
「月が赤くなる時って、月蝕が起こるって知らない?」
「月蝕?」
「月が消えちゃうやつ」
「あー……」
分かったんだか分からないんだか分からない中途半端な返事をして、ヴォルフは夜空を見上げる。まだ欠けてない月は先ほどよりも更に赤くなっていた。
「消えるのは日が変わる頃?」
『そのくらいじゃのぉ……』
「ちょっと待て。たとえとかじゃなく、ホントに月がなくなるのかよ!?」
やっぱり知らなかったか。
そんなことだろうと思って、ユーリィは呆けて月を眺め続けるヴォルフを突っついた。
「心配しなくても、本当にはなくならないって。昔の天文学者が言うには、この星の陰に隠れて見えなくなるらしいよ。僕の知ってる限り、前に月蝕があったのはちょうど僕が生まれた年だと思う」
もっともユーリィ自身もはっきり分かっているわけではない。ただ月が赤くなる時に月蝕が起こる。その知識だけを昔読んだ本で知っただけだ。
「で、リュットは新月の代わりに月蝕で、親竜を呼び寄せたって言ってたんだ」
「へぇ……竜って月が嫌いなんだな……」
『月光は竜の力を弱めるのじゃよ』
「あ、なるほど。つまり竜は全力で俺と戦いたいってことか。そいつは嬉しい話だ」
言葉とは裏腹に冷ややかな声でそう言うと、ヴォルフはユーリィの右手を掴んでふたたび歩き出した。
自分の命令によって、ついにヴォルフも怒らせてしまった。
(そうだよなぁ。竜と戦うんだから……)
腹が立つのも当然。本当ならきっぱり断ってもおかしくはない命令なのに、愛情とかいう汚い鎖が彼を縛っている。
そうして彼も傷つき、消えてしまう未来が待っているのかもしれない。
タナトスのように……。
急に足が重くなり、ユーリィはヴォルフの手を振り払い、立ち尽くした。
「ユーリィ?」
「子竜のこと、もう気にしなくていいよ」
「なんで?」
「気まぐれな命令は、気まぐれに中止したって変じゃない。守りたいほどあの竜を可愛がっていたわけじゃないわけだし、竜の掟ならやっぱり……」
「おいおい、勘弁してくれ。竜とやり合うなんて滅多にないことなのに。人間だった時はさすがに無理だが、このフェンリル様には負けはないぞ。それに俺だって少しは脳味噌使って、色々作戦考えてるんだ」
「でも……」
「俺のカッコイイ姿を見せつけて、惚れ直させる計画なんだから、勝手に中止にするな。さあ、行こう。ジュゼたちが待ってる」
きっと気を遣われているんだろうなと思うと、戯けるように言うヴォルフが、どうしようもなく辛い。
だから僕は皇帝の器じゃないんだ。
そんな言葉を噛みしめつつ、引っ張られるがままにユーリィは歩き出した。
どれくらい歩いただろうか。木々の向こうに仄かに光が見えてきて、その光源がなんであるか分かる頃に森が開けた。
小屋というには無理がありすぎるほど小さな建物だ。壁は原木を横にそのまま積み重ねただけで、窓もない。代わりに小さな穴が二つ三つ開いている。屋根は葉の付いた枝が数十本乗っているだけだった。
穴からはロウソクらしき黄色い光が漏れ出ていた。
「まさか、あそこにジュゼたちが……?」
「二日で建てたわりには良くできてるだろ? 俺も手伝ったんだぜ」
「あ、うん」
良くできているけれど、あんな場所にジュゼたちを住まわせている現実に心が痛い。
もっと早く来てあげれば良かったと後悔した。
「まだ起きているみたいだな。行くぞ」
「うん……」
怖々とヴォルフの後に従い、開かれた板きれのような扉を前に下を向く。聞こえてきた声にも体が硬直して、ユーリィは身動きすらできなくなった。
「ユーリィ、君も来ちゃったの?!」
「う、うん……」
「ヴォルフ、まさかこの前に降りたんじゃないだろうね?」
「いや、森の中だ」
「そう。ま、とりあえず入って」
外と同じ土が中まで続いている。さすがに草だけはむしってあるが、中だか外だか分からない内部は、夜風が吹き込んできて室内とは思えない空気が漂っていた。
顔を上げて恐る恐る中を見る。原木を半分に切った幹に、太い枝が三本付いているだけのテーブル、丸太の椅子が三つ。その中の一つにハイヤーが座っていて、なにか言いたそうにこちらを見ている。壁際には毛布にくるまって地面に寝ている老婆がいた。
「あんたが飛んでくるところ、きっと連中に見られたね」
「だろうな」
「お久しぶりッス、ユーリィじゃなくて皇帝陛下」
見慣れないハイヤーの真顔に気圧されて、ユーリィの心はますます萎縮した。
「えっと、ユーリィでいいよ」
「そうッスか? でもなんか無礼で……」
「ハイヤー、あんたは黙ってて」
ジュゼにぴしゃりと言われ、ハゲ頭は首をすくめて口を閉ざした。
「で?」
「今夜月蝕があるらしい。親竜が来る」
「リュット様に聞いたよ、あんたが今日来るだろうって」
「連中に見つかる前に仕留めないとな」
彼らの間で了解している話を聞くのが怖い。
それでもちゃんと聞かなければならないとユーリィはジュゼの顔を真っ直ぐ見つめた。
「なにがどうなったのか、僕にも教えてよ、ジュゼ」
「ヴォルフから聞いてないのかい?」
「聞いてない」
ユーリィが首を横に振ると、ジュゼは手短に事の次第を話してくれた。
フォーエンベルガー城から役人がやってきて、魔物を飼っている島に船の出入りは禁止すると言われたこと、その魔物とはフェンリルと親竜のことで、島人たちにはジュゼの使い魔だと思われていること。そのせいで村を追われ、怒り狂った一部の者からは命まで狙われていることなどだ。
「リカルドの奴……それとも家来の方か。どっちにしても僕がこの島に関わりがあると知って、あの時の報復をしようと思っているのかもしれない、クソ」
「伯爵は、君に従わないのかい?」
「リカルドは微妙だけど、先代の時からいる側近たちは僕を毛嫌いしているよ」
「どうして?」
「僕が卑しいエルフの混血だからさ」
「へえ、そうかい」
その言い方があまりにも辛辣で、ユーリィは絶句してしまった。
ジュゼの顔はいつになく厳しく、そして冷たい。
とうとうジュゼにまで嫌われたのだろうか?
「ごめん、ジュゼ。今すぐリカルドのところに行って、あいつを説得して……」
「そんなことをしたって、連中の怒りが収まるかどうか。それより剣をどうしたんだい? あの小さいのがいる剣。気配がないね」
「あ……えっと……なくして……」
「なんだって!?」
そばにいたヴォルフが素っ頓狂な声を出すものだから、横になっている老婆の顔がこちらを向いて、うつろな表情でなにか言ったが、全く聞き取れなかった。
「この間からなにか隠していると思ったらそれか」
「大丈夫だよ。僕ひとりだって魔法は使えるし」
「剣が……レネがいるといないとでは大違いだろ」
「しょうがないじゃん、レネは戻ってくれないんだから」
「早く言ってくれたら、俺が探しに行けた」
「探したって無駄だよ。だってもう……」
戻ってこない。
タナトスには強気なことを言ったけれど、日が経つにつれてそれが現実味を帯びて、ほとんど諦めていた。
「そんな話はあとでしておくれ。こっちは色々大変なんだから」
「大変って?」
「婆さんが風邪で熱を出してね」
「えっ!?」
それであんなに具合が悪そうなのかとユーリィは納得し、ますます気持ちが萎縮する。もし老婆になにかあったら、ばあちゃん子のハイヤーにまで憎まれるに違いない。
もうこの世界には、自分の居場所がない。
だんだんそんな気がしてきた。
「薬を取りに行きたいんだけど、君たちが来たせいで身動きができなくなった」
「だったら俺が……」
「あんたは竜と戦うんだろ、フェンリル? だから君に行ってもらう、ユーリィ」
「ちょっ!」「おいっ!」
驚いたヴォルフとハイヤーの声が、枝と草が垂れ下がる天井を抜けていった。
「ふざけんな、ジュゼ!」
「ふざけてないさ。なんで反対する?」
「皇帝にそんな危険なことをさせられるわけがないだろ」
「それだけ?」
「それだけって……。それと方向音痴ってこともある」
「僕はそんなに方向音痴じゃないから」
信憑性のない反論をしたが、寝言ぐらいにしか思われなかったようで、ヴォルフには完全に無視された。
「それから、俺が戦う時間がもう間もなくだってこともある」
「レネがいないんじゃ、戦力にもならないね」
「一緒に戦うとは言ってない。カッコイイ俺の勝ち姿を見せつけるという計画が駄目になる」
「え……あれ本気だったの……?」
「当たり前だろ。というわけでその提案は却下だ」
しかしヴォルフの剣幕など物ともせずに、ジュゼは反論を続けた。
「迷惑掛けられたアタシらのこの程度の頼みを聞けないようじゃ、皇帝なんて無理だね」
「なに……?」
「アタシは別に戦えなんて言ってないよ。薬を持ってきてくれって頼んでるだけだ。子どもでもできることができないのに、どうやって国を動かすのさ」
「子どもにできることを、皇帝に頼むのが間違ってるだろ」
「そもそもアタシらの主君はフォーエンベルガー伯爵なんでね」
「だったらその伯爵に……」
「ちょっと待って、ヴォルフ、ジュゼ!」
どうにも耐えられず、ユーリィはとうとう叫んでいた。
「僕、行くよ。それくらいできるし」
ジュゼが酷く怒っている。
だからなにかしなくちゃいけないと、それだけしか考えられなかった。
「ユーリィ、それは――」
「ホントに行ってくれるの?」
「うん」
「だったら取りに行く家を教える。ガンチっていう、アタシらの唯一の味方だよ」
それからジュゼは森の端、村の入口近くにあるその人物の家までの道順を、ユーリィに丁寧に教えてくれた。
ジュゼが“子どもにでもできる”と言ったとおり、遠くもなく、難しい仕事でもない。それなのになぜ彼女は自分にやらせようとしているのか、ユーリィには分からなかった。
でも、もしなにか罠のようなものがあるのなら、ジュゼの意志だと思って諦めよう。
ヴォルフはなんだかんだと文句を言い続ける。けれど、まだ彼に見放されているわけじゃないと知ったから、そんな文句もユーリィには嬉しかった。
「じゃあ、行ってくる」
「あ、ちょっと待って」
剣呑な気配の消えた声でジュゼに呼び止められ、外へ出ようとして振り返る。彼女は壁際に行って、壊れかけた木箱からなにかを出して戻ってきた。
「これ、着ていきなさい」
そう言って羽織らされたのは、濃紺のローブだった。
「アタシのだけど、ピッタリだね。君の背が伸びたのが良かったみたいだ」
「ジュゼ、あの……」
「ちゃんと薬を持って帰ってこられたら、掛けられた迷惑はチャラにしてあげるからね」
「う、うん」
「皇帝ではなくユーリィとして行くんだよ? 分かってるね」
「うん……」
ジュゼがいったいなにを考え、なにを思っているのかユーリィには分からなかったが、どうやらそれほど怒ってないらしいということだけは感じられる。
それとも、これも見放される前兆なのだろうか?
「リュット様。申し訳ないけど、一緒に行っていただけますか?」
すると、それに応えるフクロウの声が、ホーホーと上の方から聞こえてきた。
☆☆☆
ユーリィのイラストを作っていただきましたので貼らせていただきます。詳しくは活動報告にて。