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黄金の天子 ~我が皇帝に捧ぐ七つの残光~  作者: イブスキー
第五章 黒南風(くろはえ)
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第128話 麗姿、嫌いし

 明けきらぬ朝の日差しに起こされて、ユーリィは目を覚ました。

 ベッドの上にある天蓋から垂れる白いレースは、いつだって嫌な気分にさせられる。こんなもの、早く取り払ってくれとシュウェルトに何度も訴えているが、いっこうに聞き入れてくれる様子はない。似合うから良いではないかというのが、あの男の主張である。


(似合う……か)


 この見た目の呪いはいつまでも付きまとう。醜いよりは良いだろうと何度自分に言い聞かせても、納得がいかない。抱かれる様々な思いは、想像の遙か上を行っていた。


(ラウロにしても、ハーンにしても、なんで……)


 世の中には女性が沢山いるというのに。


(目が覚めたら、超カッコイイ感じになってないかなぁ)


 今まで幾度となく抱いた妄想である。しかし見下ろす腕も胴体も貧相この上なくて、ため息しか出てこなかった。


(だけど、十七歳になったわけだし、もうちょっと男らしくなっているかも?)


 素足でベッドから降り立つと、壁にある鏡へと歩いていく。覗き込んでみると、薄明かりに見える自分の顔は、手足以上にガッカリとするものだった。


(うわ、白っ!)


 そういえば最近、太陽の下にいない。そのせいもあって、色白な肌はますます白くなっていて、そろそろ透き通るのでないかと思うほどだ。


(昔はもうちょっと目つきが悪かったのに)


 髭もまだ生えてくる気配がない。

 なんだか嫌な方に変化をしている気がした。


(別に女にモテようなんて思わないけど、ヴォルフがいるから。でも女みたいに思われるのは……。それに皇帝としての威厳とか、そういうのも必要だよなぁ)


 それがどういうものかは分からなかったが、男がほれぼれとするような見た目に違いない。たとえば昔読んだ本に出てくる英雄のような……。

 そう考えると、自分の姿があまりにもかけはなれていて気落ちした。


(今日は……やだな……)




 半時後、謁見室には十数人の男たちが集まっていた。

 室内の過度な装飾に比べて、みなの表情は一様に暗い。それもそのはずで、アーリングの反乱以来、ここ数日切迫した気配が宮殿と街を支配していた。

 だれもが不安を覚えるのは当然だろう。英雄と謳われた男の反逆行為である。新国家設立に向けて、暗雲が立ち込めたのだ。

 ユーリィはそんな者たちと対峙して彼らの顔を黙って睥睨していた。朝一で呼び寄せたものの、まだその目的についてはほとんどの者が分かっていない。そのせいもあって、戸惑ったような視線で互いを探っている。だれが最初にこの沈黙を破るのか牽制しているようでもあった。

 黄色い朝日が大きな窓を通って、室内に斜めに差し込んでいる。場に相応しくない明るさだなどと、太陽が気を使うはずもなく。ならば自分も子どもらしく、この剣呑な雰囲気に相応しくないほど明るく振る舞ってみようかと一瞬思ったユーリィであったが、さすがにそれは踏みとどまった。


 自分より半分以下の子どもに対して、彼らはいったい期待しているのだろう。


(ホントは期待なんてしてないのかもしれない)


 それならそれで別にいい。

 期待などに応えるつもりは毛頭ないのだから。


 居並ぶ顔ぶれはそれぞれの組織の代表と言える人物達である。

 陸軍からはディンケル、イワノフ城にいたベイロン、司令職に引き上げたバルガンの三人。魔軍からはブルー将軍、ミランという補佐官、その他二人。ギルドからはジョルバンニ議長、その従兄弟であるニコ・バレク、その他二人。貴族院からはミューンビラー侯爵、アルベルト・オーライン伯爵、小男のセーガル子爵、その他二人。整列しろとも言っていなかったが、それぞれがなんとなく一塊になって立っていた。

 この中でだれを信用し、だれを疑うべきなのか。

 しかし信じるということが、未だ分からない。ヴォルフにすら裏切られたことがあるのだ。他人を信じる根拠なんてこの世にあるとは思えなかった。

 今回ばかりはさすがにリマンスキー令嬢を呼んでいない。確かに彼女は聡明だけれど、この場にいるには相応しくないとユーリィは考えた。

 そうしてしばらく沈黙が続き、やがて耐えきれなくなったミューンビラー侯爵が口を開いた。


「大侯爵、アーリング将軍にはいつ謝られるのでしょうか。もちろん、そうなされるおつもりなのでしょう?」


 その口調はかなりキツい。油で固めた黒髭の毛先が以前のように上を向き、まるで威嚇しているようでもあった。以前のような愛想笑いも消え、ユーリィを忌避する目つきはあからさまだ。


「もちろんってなに?」


 剣呑な雰囲気に飲まれないように、ユーリィは感情を込めずに尋ね返した。


「同じく甥を失った将軍の痛みは、私には分かります。しかし建国のことを考えれば、出来るだけ早くアーリング将軍の気持ちを静め、ソフィニアへ帰還していただかなければならない。その為にはぜひとも、真摯な態度で謝罪を続けるべきかと」

「僕が? まさか」


 意外だという表情で言ったのち、相手の反応を待たずにユーリィは背を向けた。

 振り向いた先には、黄金の光彩を放つ玉座がある。一度は大広間に移したものの、今朝わざわざここに運び入れさせていた。

 あの椅子は、ふた月前ジョルバンニの手によって晒された時から、嫌悪感を抱き続けてた代物だ。金と権力に塗れたそんなものに、自分が腰を下ろすなどあり得ないとそう思った。

 けれど___

 椅子の前まで来ると、あえて大きな音を立てて薄紫のマントを翻し、向き直る。バサッと音が室内に広がると、一同が無意識に背筋を伸ばした。

 そんな様子が心地良いと感じてしまう。

 権力という媚薬が、僕を(おか)そうとしている___。


「謝るのならアーリングの方だ。だけど五千という兵士を、私怨のために連れていった罪は軽くはないよ。公私を分けられない者に用はない。僕に従えないというのなら、それまでだ。僕が動き出すまでに投降するなら考えても良いけど、ま、でもそんなに長い時間は待てないね、お互いに。イワノフ公爵地の作物その他の私財に、あいつが手を付け始めるのは目に見えているし、僕が黙ってそれを許すなんて思われるのは心外だ」

「で、ですから、そうなる前に大侯爵には……」

「皇帝となる僕が謝罪しろと?」


 そう言ってミューンビラーを睨みつけると、相手は怯んだように口を閉ざした。


「セシャールの使者がいる今、それがどういう受け取られるか、お前だって分かるはずだ、ミューンビラー侯爵。皇帝になると決めた以上、僕は妥協をするつもりはないし、僕のやり方で事を進めるから。それに、今日呼んだのはアーリングの件じゃないよ」


 二の句が継げなくなった相手を見据えたまま、ユーリィは玉座へと腰を下ろした。


「ジョルバンニ」


 名前を呼ばれた宰相は、整列する男たちの間を抜けて、ユーリィの横までやって来ると、同じように一同へと向き直った。


「本日は、陸軍の再編、ソフィニアの警備、滞在中の貴族の処遇、ならびに戴冠式の日程についての決定事項を告げ知らせるため、みなには集まっていただいた。なお各方面へは明日流布する予定である」

「決定事項!? しかし貴族院もギルド議会も開かれぬまま……」

「現在戒厳令が敷かれている最中であります故、省かせていただいた。さらにこの決定は皇帝陛下のご意志によるものなので、なによりも優先される。今回ばかりではなくこの先も、その優先順位は覆らないことを、留意していただきましょう、ミューンビラー侯爵」


 その後ジョルバンニの口から、事務的に決定事項が読み上げられた。昨日彼が草案を作り、ユーリィが詳細を練った指針および政策である。

 以下がその文章だ。

1.現在司令官職にあるファルド・ディンケルを将軍代理とする。

2.半減した陸軍兵士の代行として、ソフィニア警備をラシアールが分担する。

3.現在ソフィニアにいる貴族は順を追って領地帰郷への許可を出す。

  ただしククリ襲撃に対する責務を、帝国は一切負うことはない。

4.セシャールにおける即位ならび戴冠式は、来月中旬を目処とする。

  ただしソフィニアの現状が改善されない場合、再来月へ延期する。


 その他、細かい点を付け加え、ジョルバンニは一度言葉を切った。


「最後に、この場にいらっしゃる方々には、ライネスク大侯爵への忠誠を誓い、血判書に署名をしていただく」

「血判書? しかしそれは先月……」

「前回は、処罰についての取り決めは記載していなかった。なので今回は、領地ならびに財産没収ならびに死罪という一文を入れ、セシャール国内にあるマヌハンヌス教皇領からお越しの司祭様立ち会いのもと、血判を押していただこう」

「死罪ですと!?」


 オーライン伯爵以外の貴族たちがいきり立つ。しかしそれも想定内だったので、ユーリィは驚きもしなかった。


「嫌なら別にいい。けれど、血判を押せないというのなら、次にこの謁見室に入る時は、大勢の中の末尾に並んでもらうから。当然僕も二度と声をかけることはない」

「それはつまり……」

「失脚って意味だよ。一応僕も色々妥協して、数いる貴族よりも特別に取り立てていると思っているんだけど。侯爵の推薦したセーガル子爵……だっけ? それとそこの二人も」


 ユーリィの言葉に、名前すらうろ覚えの二人が困惑するような素振りを見せた。二人とも四十を越えない年齢で、どちらかが子爵でどちらかが男爵である。


「それが気に入らないというのなら、僕の許可など気にせず領地へ戻れ。戻ってすぐにやることは、兵士集めだということは忘れるなよ。ブルー将軍、四人の領地の場所は?」

「ええ、分かっています。使い魔六体もあれば、一晩で片付くでしょう」


 うぐぐっと言うように喉の鳴らしたミューンビラーであったが、一瞬でその鉾を収めたらしい。以前のあの嫌らしい笑みを浮かべると、


「もちろんもちろん、逆らうつもりなどありませんよ、大侯爵。新たな血判書について、みなに説明する責務を思ったこその質問です。失礼いたしました」

「分かってくれたのならそれでいい。緊急事態の今、みなの結束を固めたいんだ」

「そうでしょうとも……」


 曖昧に言葉を切った男の瞳に、なにか異様な色が浮かんでいた。

 なにかある。

 そう直感して、ユーリィは気づかれないように警戒をした。


「ところで、大侯爵は男女問わず愛を受け入れると噂があることをご存じでしょうか?」

「なんだそれ」


 やはり来たか。

 警戒していたおかげで表情は崩さなかったものの、鼓動は跳ねるように早くなった。


「ああ、もちろんお美しきご容姿ですので、そのような忌まわしい噂がでてしまうのは仕方ないのでしょう。しかしながら、同性や種族を越えた関係を禁忌としているマヌハンヌスの司祭が、万が一そのような噂を耳なされたら?」

「噂は噂だ。根拠があるわけじゃない」

「そういえば、グラハンス子爵のご子息はどうなされた? これもまた噂ですが、彼は魔物の化身だとか。あの葬儀の直後に司祭たちや兵士たちが見たと、まことしやかに語られているのはご存じでしょうか?」

「彼は僕の側近だということ以外、なにも語ることはない」


 ヴォルフを守るんだという意識だけが働いて、せっかくの警戒が崩れてしまったかもしれない。声が上擦らなかっただろうか、視線が揺れなかっただろうかと、そんなことまで気になった。


「否定なされないということは、つまり噂が正しいと考えてよろしいのでしょうか? ああ、そういえば彼はすこぶる見栄えが良い男でしたな。まさか皇帝陛下になろうという方が、同性のしかも魔身などに懸想を……」


 すると、玉座の隣に座っていたジョルバンニが咳払いを一つ。


(それ、完全にわざとらしくて、ますますヤバいんだけど……)


 横目で睨んだユーリィを無視し、眼鏡男は辛辣な口調でミューンビラーを威嚇した。


「それ以上おっしゃられると、侮辱罪として逮捕させていただくことになりますが、よろしいでしょうか?」

「侯爵である私をか!?」

「帝国においては、どのような爵位であろうとも皇帝陛下の前では平民と等しくなることをお忘れなく」


 そのまま二人はしばらく睨み合っていた。

 しかし微動だにしないジョルバンニに根負けし、侯爵は渋々といった様子で胸に手を当て、慇懃にユーリィへ挨拶をする。しかし礼儀をもって行われたかどうかは、眉間にある皺が端的に物語っていた。


「他になにもなければ、これにて失礼してよろしいでしょうか、皇帝陛下」

「ああ、いいよ」


 オーライン伯爵を除く三人を引き連れて、ミューンビラーは足早に出ていった。

 アーリング将軍に続き、次は貴族どもかと思うと、なんだか気が滅入る。そんなユーリィの気持ちを察したかのように、近づいてきたディンケルは普段よりますます大声で話しかけてきた。


「血判が必要とあらば今すぐにでも押しますので、ご安心を、皇帝陛下!!」


 らしいといえばらしいその様子になんだか可笑しくなって、ユーリィはフッと破顔した。


「それはあとでいい、ディンケル。それより軍の方の再編を急いで欲しい。いずれアーリングと対決することもあるかもしれないから」

「はっ!」


 軍人らしく頭を垂れディンケルだったが、間髪入れずにさらに続ける。


「ですが、大侯爵。貴方をお守りする役目は、魔物でもなくエルフでもなく、我ら軍人であることをどうぞお忘れなく」


 そうして陸軍の三人も出ていった。

 残るはブルーらラシアールと、ギルドの連中と、オーライン伯爵。

 互いに互いの様子を横目で眺め、どうしようかと考えあぐねる時間がしばしあり、やがてラシアールたちが動き出した。

 向かってきたのは、やはりユーリィの方である。彼らもまたなにか一言言わなければ気が済まないのだろうかと訝しげに眺めていると、先頭に立ったブルーがその答えを教えてくれた。


「ええと、大侯爵」

「なに?」


 今までの会話で埋もれた棘が、まだ声に残っていたようだ。困ったという表情で、ブルーが首をすくめるような素振りした。


「あっ、ごめん」

「いえ、お気遣いなく。ただですね、俺たちも血判書っていうのを書かないとダメでしょうか? つまりラシアールはマヌハンヌス教徒ではありませんから」

「そうだった、忘れてた。だったら……」

「確か使い魔を操るのに、“束縛の名”というのを密かに付けると聞いたことがある。それを書いてもらおう」

「なっ!! ちょっ!」


 ユーリィの言葉を遮ったのはジョルバンニで、それにいち早く反応したのはブルーの後ろに立っていたミランという補佐官だった。背はブルーの肩ほど、ユーリィとさほど変わりがない。黒髪に枯葉色の瞳をして、エルフにしてはやや浅黒かった。歳はブルーと同じぐらいだろうか。気の荒そうな性格の持ち主らしい。声のトーンから、ユーリィはなんとなくそんな感じがした。


「そんなのは無理です! “束縛の名”は絶対に他人に明かせない秘密なんですから!」

「おい、ミラン!」


 自分を押し退けるように前に出てきた補佐官を、ブルーが慌てて制止した。しかし補佐官の気持ちは、そんなことでは静まらないようだ。


「こうして人間に協力しているのが、一番の忠誠じゃないですか? だってオレらには人間を守る義……んぅう!!?」


 言い切れなかったのは、背後からブルーがミランの口を手で塞いだせいだ。


「すみません、こいつ、昨日の酒がまだ抜けてないんですよ。あとでよーく叱っておきます。“束縛の名”についてはシュランプ長老とも話し合いたいので、後日また」


 補佐官を引っ張ってラシアールたちは部屋から出て行った。

 ブルーたちラシアールのああした態度も、過去にある人間との確執を考えれば仕方がないことだ。それでも彼らは一緒に戦ってくる。その昔、身内にさえ化け物として扱われてきたユーリィにとって、それだけで十分だと思った。

 しかしジョルバンニはどう思っただろう?

 横に立つ男を見上げてみたが、その唇は固く結ばれ、なにを考えているのかやはり分からなかった。


 残るはバレク以下ギルド幹部と、オーライン伯爵のみ。彼らもまたなにか言ってくるのだろうか。なにか一言文句を言って出ていくのが慣習になったら嫌だなと思いつつ身構えていたが、さすがにジョルバンニの前で言うこともなかったようで、ギルドの連中はそそくさと出ていった。

 アルベルト・オーラインはなにか言いたげだった。知己の仲だから、その空色の瞳を見るだけで、なんとなく感じ取れる。

 しかしこの場で言うほどには勇み足をする男でもないので、彼もまた黙って立ち去っていった。

 残るはジョルバンニのみ。ここ最近は嫌味を含んだような言動もなく、事務的な会話しかしていないので、今回もそうだと良いなと期待した。

 すると、ふいにジョルバンニがユーリィを見た。その眼鏡は、その期待には答えられないとでも言うように、鋭く光っている。


「――なんだよ?」

「皇帝然となられたなと感心していたところです」

「なに、それ、嫌味?」

「いいえ、そんなつもりはまったくありませんよ」


 何から何まで虫の好かない男だ。

 これ以上嫌ったらしいことを言われては敵わないと腰を浮かせかけたところで、ヒョイとジョルバンニの顔が近づいてきた。

 目前に来た眼鏡に動転し、身を硬くして玉座の背に体を押しつける。

 まさかこの男まで……?


「は、離れろ!」

「ああ、失礼。お顔を良く見たいと思ったものですから」

「はぁ?」


 ようやく離れた顔に肩の力が抜けたものの、まだ油断はできない。短剣は持っているだろうかと、左腕でこっそり肩の辺りを探ってみた。


「実を申せば、貴方のお顔をはっきりと見たことがありませんでしたのでね」

「だからなんだよ!?」

「みながお美しいと言うものですから、実際のところどの程度なのかと。なるほど、確かにお美しい」

「お前が言うと嫌味にしか聞こえない」

「いえ、正直な感想ですよ。それに麗人であることは悪いことではありませんし」

「悪いことしか起こってない気がしなくもない……」


 経験からそう言わざるを得なかった。


「その眉目を武器に使うことはお止めしませんよ。しかし我々は敬虔なるマヌハンヌス信者でなければならないということをお忘れなく。では後ほどまた」


 結局は嫌味を残し、ジョルバンニは立ち去っていった。


(なんだよ、武器って……)


 そうでありたいと一度たりとも望んだことはなかったのに。

 今日も嫌な一日で終わりそうだと、座り心地の悪い玉座に腰を下ろしたまま、ユーリィは窓に見える太陽を見やったのだった。



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