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黄金の天子 ~我が皇帝に捧ぐ七つの残光~  作者: イブスキー
第四章 蜃気楼
108/208

第108話 その名を呼べば――

 目が覚めてここがどこだか分からないということを、過去に何度か経験したことがある。流れる雲を見て、ユーリィは今回もそれだと思っていた。

 なぜだか分からないが、草の上で眠っていた。なにかとんでもないことをしでかして、こんなところに寝ていたのだろうか。どこも痛くないので怪我はしてないようだ。


 半身起こして、もう一度辺りを見渡す。

 ぼんやりと晴れた空と、雑草の生い茂る大地ばかりで、山も川も道もない。それなのになんだか見覚えがある。

 ここはどこだろうと思い、なんの手がかりもない景色に早々に考えることを諦めた。

 とにかく早くソフィニアに帰らないと。

 ふと膝の上でなにかがうごめき、ギョッとなった。緑色をして、六本の足が長い虫。俗に言うバッタという生き物だ。


「ウァッ!」


 咄嗟に振り払おうとすると、驚くことにそのバッタが喋り始めた。


『こんなところで寝ている場合ではないぞ』

「もしかして、お前はリュット!?」

『ワシに名前などない』

「ってことは、やっぱり虫か」


 この世界で一番嫌いな生物なら追い払うのみ!

 そう思ってふたたび手を上げると、『待て待て待て待て!!!』と叫びだした。


『そなたはなかなか面白い子どもだから、一緒について行くとしよう』

「虫と一緒とか無理! って、その声は絶対リュットだろ? フクロウはどうした?」

『そなたこそ、なにを申しておる? ワシは生まれてからずっとバッタじゃ』

「あっ、また僕をからかってるんだろ?」

『子どもバッタのくせに生意気じゃのぉ』

「ちょっ!? 僕が子どもバッタ!?」


 その時、バッタがぴょんと跳ね、膝から肩へと飛び移った。

 虫が近づいてくるおぞましさに、慌てて手を上げた途端、自分の着ている服の袖が目に留まった。


「あれ? この服って……」


 それはキャラバンにいた頃に、ジュゼからもらった黄緑色の安っぽいシャツだった。

 着の身着のままで城を飛び出し、着替えなど一切持っていなかった。それを知った彼女が、玉乗りの小男から古着の衣装を譲ってもらった。

 しかしこのシャツは、去年には小さくなり着れなくなっていた。


「これ、捨てたと思ったけどなぁ」

『ほれほれ、ボケッとしてないで出発じゃ』

「出発ってどこに? 僕はソフィニアに帰るんだ」

『そんな場所はこの世界にはないぞ。あるのは草原と森だけじゃ』

「なに言ってるんだ?」


 急いで立ち上がり、今度は本当にバッタを払った。

 絶対にからかわれている。

 だけど足元にある草の上に落ちたバッタは、反動を利用して肩へとまた戻ってきてしまった。

 なにかが変だ。

 いったいなにが起こっているのだろうか?


「リュット、わけの分からないこと言ってないで、ちゃんと説明しろよ。そういえばあいつはどうした?」

『はてさて、あいつとはだれのことか』

「あいつだよ。ええと……あれ……?」


 本当に変だ。

 顔も声も覚えているのに、その名前が思い出せない。


「え……なんで……」


 のど元まで出ているのに。

 毎日毎日、心の中でその名前を呼んでいるというのに。

 どうして思い出せないのだろう。


『もしかして、“あいつ”とはあの男のことかのぉ?』


 そう言われて顔を上げると、草原だった風景が森の中へと一変していた。しかも空は真っ黒である。

 間違いなく以前見たことがある光景だった。


「ここの森、まさか」

『ほれ、来たぞ』


 霧のような細い雨の中、細い獣道をブルーグレーの髪をした男がこちらに向かって歩いてくる。

 まるであの時のように……。

 あまりの驚きに、ユーリィは声も出せずに、彼が近づいてくるのを見つめ続けた。

 やがてすぐそばまで来た男は____


「魔物だよ、君」


 視線をつかって背後を示し、彼は言った。

 その両目はどちらも栗色をしている。

 あの時とまったく同じだった。


「あ……えっと……」

「引き返しなさい、危ないから。いいね」


 それだけ言うと、彼は足早に横を通り過ぎていく。

 あの時と同じはずなのに、あの時とはまるで違う態度に、ユーリィはどうしていいか分からず、黒革の上着の袖を思わず引っ張ってしまった。

 驚くこともなく彼は振り向く。ただし迷惑がっていることは確かだった。


「ちょ、ちょっと待って」

「悪いが、俺は一緒に行けない」

「なに言ってるんだよ!?」

「それなら俺の名前を言ってみなさい」

「それは……」


 どうして思い出せないのだろう。

 朝も昼も、そして肌を重ねたあの夜も、何度も何度も呼んだというのに。


「君と出会ったことは間違いだから、すべてをやり直そうと過去に戻ってきたんだ。これからはお互いに知らない者同士として生きていこう」

『どうやら世界は壊れずに済むようじゃのぉ。ホーホーホーホー』


 フクロウのように鳴くバッタに腹が立つ。

 それが真実だと感じるから余計にそう感じた。


「やり直すなら、違う道だってあるよ」

『ならば名前を。もし忘れたのなら、君も後悔している証拠だ』

「違う!」

「では早く名前を」


 まるで頭の中に霞がかかっているように、いくら考えても一文字すら出てこない。

 どうしていいか分からず、ユーリィは本当に泣きたくなった。


「ちゃんと思い出すから、絶対に思い出すから」

「さあ、名前を!」

『ほれ、名前じゃ!』


 二つの声が頭の中でこだまする。

 自然と涙が溢れてきて、それとともにある名前が頭に浮かんだ。

 それが間違っているかどうかなんて判断できない。

 とにかく言わなければ彼が行ってしまうのだから。


「名前は……ええと……フェンリル」


 その瞬間、男は哀しげな表情を浮かべた。


「やはり別れるべきだな」

『そうじゃ、そうじゃ、別れるべきじゃ』


 背を向ける男を、ユーリィは必死に呼び止める。

 待って待って待って待って待って__


「待って!!」




 ビクッと体が跳ね上がった。

 世界が消え去り、そして世界が現れる。

 薄暗かった森から、光ある世界へと。

 なにが起こったか分からないというのに、頬を伝う涙だけが鮮明に感じ取れた。

 やがて波打つ心臓の音と、強ばった全身の不快感も襲ってきて、ようやくすべてを理解した。

 見えるのは雲ではなく、ベッドの天蓋から垂れ下がる白く薄い布。嫌いなはずの景色が、今は安堵をもたらしている。

 夢だった。

 だからちゃんと名前も言える。


「ヴォルフ」


 なのになぜ、夢の中では思い出せなかったのか。

 やっと出てきた名前が魔物のものだったのか。


“それは君が望んでいるからだよ”


 幻の声が聞こえてきて、ユーリィは「違う!」と声に出して否定した。

 本当に嫌な夢だった。

 今まで悪夢は何十回も見たことはあるが、その中で最悪なものだろう。

 心臓はなかなか落ち着いてはくれない。

 強ばった手足をなんとか動かし、体を起こす。流れ出た涙は乾き始めていた。


 扉が一つ叩かれた。


「どうかなさいましたか?」


 世話係のコレットの声だ。

 目覚めた時の叫び声のことを言っているのだろう。中に入ってこないのは、ラウロの一件以降、従者には寝室に入ることを禁止したためだった。


「大丈夫、なんでもない」

「そうですか。ではご朝食をお持ちして宜しいでしょうか?」

「あ、うん、そうして」


 本当は食べたくないけれど、いちいち詮索されるのも嫌だったのでそう答えた。


 最悪なことに朝食のメニューは、ヤギミルクで煮込んだ麦のリゾットである。この世の中で一番嫌いな食べ物だ。特にダメなのが匂いである。

 しかも頭まで痛かった。どうやら悪夢のせいで汗を掻き、風邪を引きかけているのかもしれない。嫌なことは重なるものだ。

 今日一日無事に過ごせればいいなと、ユーリィは息を止めるようにして麦の粒を飲み下した。




 朝食後は執務室での会議が待っていた。議題は、本日ファセド港に到着するセシャールの使者の出迎えの件についてのすり合わせだ。

 昨夜ブルーがいないことにジョルバンニが文句を言っていたが、本人の口から夜中に戻ってきた旨と、謝罪の言葉が告げられた。

 昨日の朝には戻ると言っていたはずなのに、なにかあったのだろうか。

 夢のこともあり、酷く気になったユーリィではあるが、ジョルバンニやアーリングがいる手前、聞くに聞けなかった。

 打ち合わせ自体は滞りなく進行した。予定通りにファセド港にはブルー率いる護衛軍が出迎え、フェイクの為の捕虜移送はアーリングの甥モデストが担当する。


「捕虜は絶対に傷つけさせるなよ。二度目は言い訳がないからな」

「甥も心得ているのでご安心下さい。前回は不運が重なっただけですよ、大侯爵」


 よほど自信があるらしく、アーリングは口から唾を飛ばすような勢いで弁明した。あとで聞いた話によれば、子どもがいないアーリング士爵は、姉の子どもである彼を息子同然に可愛がっているらしい。けれどジョルバンニはその甥をあまり評価はしてない。彼の言葉を借りれば“素晴らしい親族がいることが、彼にとって唯一の武器”だそうだ。午後に会う予定があるので、ユーリィはその辺りを直接確かめたいと思っていた。

 そしてだいたいの話し合いが終わる頃、ジョルバンニが皆にある提案をした。


「セシャールからの親書によれば、グラハンス子爵はしばらくソフィニアに留まる予定でしたな、大侯爵」

「らしいね。ソフィニアの状況を調べて報告させようとでも思ってるんだろう」

「でしたら、子爵が滞在中に一度、晩餐会か舞踏会を開くのはいかがでしょう?」


 まさかジョルバンニの口から、そういう提案があるとは思わず、ユーリィは心底驚いた。彼の雰囲気からすれば、華やかな場は嫌いだと考えていたからだ。


「でもソフィニアには現在、男ばかりだからどうなんだろう?」


 ほとんどの貴族は妻子を領地に置いてきたままだ。ユーリィの記憶の中にあるそういった催しには、かならず煌びやかに着飾る女性たちがいた。それに男ばかりの晩餐会は味気ないし、舞踏会に至っては虚しいだけだ。エルナ独りにその役を務めさせるのは、さすがに酷すぎた。


「もちろん、妻子を呼び寄せてもらうのですよ」

「だけど、ククリの件があるからのこのことは来ないさ」

「ソフィニア近郊に領地がある者たちだけでも。もちろん護衛もこちらが出すことにしましょう」


 するとアーリングが、珍しくジョルバンニに同意した。赤い(あご)髭を指先で撫でつつ、いかにも重鎮といった風情で意見をする。さきほど唾を吐き飛ばしたことなど、忘れているようだ。


「それは良い考えですな、ジョルバンニ議長。こちらにはまだ余裕があるのだと見せつければ、あちらも簡単には手を出しては来ますまい。様々な問題を抱えている以上、足元をすくわれるようなことは避けるべきでしょうからな」


 気が進まないものの、彼らの意見には一理ある。だから自分も提案すべきだとユーリィは考えた。それはここ最近ずっと練っていて、あとは命令を下すタイミングを測っていた作戦だ。

 頭の中で少し言葉を選び、慎重に口を開く。


「二人の考えは分かった。だったら僕からも提案がある」

「提案?」


 皆を代表するようにアーリングが返事をする。ブルーとシュランプ老人は黙ったまま顔だけを傾けた。


「一時的でいいから、ククリと平和協定を結びたい」

「ほぉ。それはどのようにして?」


 馬鹿にしようとしているわけではないだろうが、アーリングのその言い方になんだか腹が立った。

 そんな感情を押し殺し、先を続ける。頭痛を理由に冷静さに欠くような真似はもう止めるべきだ。

 出会ったことが間違いだなんて、もう言わせないために。


「停戦に合意するなら、捕虜の幾人かを解放すると彼らに伝える。この街にククリのネズミがいるかもしれないと言ったよな、ジョルバンニ?」

「ええ」

「だからそれを利用しよう。伝言オーブに僕からのメッセージを入れて、町にばらまけ。僕からの施しだとすればいい。五十もあれば足りるだろう。ネズミならなにがなんでも手に入れるはずだ。伝言の意味が分からなくても、水晶には価値があるから関係ない者も悪い話じゃない。ついでに水晶売買をする場所も増やす。ネズミの手に早く渡るようにね」

「なるほど、それは素晴らしいお考えですが、そのメッセージとは?」

「伝言はこんな感じだ。“虫嫌いの息子から、赤目の父へ。しばらく争いはしたくない。母も自由になりたがっている。落ち着いて話せるのなら、彼女はどこにでも行けるようになる” そうだ、捕虜の子どもに言ってもらうとしよう」


 伝言オーブは伝言者の姿そのものを映すことができる。

 もし映し出された幻影がククリの子どもならば、相手により伝わるだろう。


「シュランプ、オーブを作れる者は幾人かいるんだろう?」

「もちろんです。ですが今おっしゃった言葉を覚えておりませんで……。もう一度お願いいたします」

「爺さん、俺が覚えたから大丈夫だ」

「言い回し以外は変えるなよ」


 ジョルバンニもアーリングも反対論は唱えなかったので、ユーリィの作戦は実行されることとなった。晩餐会などを開くかどうかは、その作戦が上手く行くかどうかでもう一度考えようと言うことで、話し合いは終了した。


 その後、ジョルバンニらが早々に執務室から退室して、最後に残ったブルーからヴォルフたちの様子が語られた。

 どうやら今朝、親竜と戦ったらしいと知り、ユーリィは悪夢のことを思い出して胸騒ぎを覚えた。

 なにかあったらリュットが飛んでくるはずだと思いつつも、もしかしたら自分は永遠にヴォルフを失ったのではないかとそんな想像をして、胸が苦しくなった。


「きっと大丈夫ですよ、大侯爵。フェンリルは強いですからね。それに姉貴もリュット様もいます」

「だといいけど……」


 考えまいとすると、余計に胸が苦しくなる。頭痛はますます酷くなった。

 精神的負担が大きすぎて、心も体も悲鳴を上げ始めている。このままでは本当に倒れそうだ。風も太陽も感じられない場所にいるのは、子どもの頃を思い出しそうで辛かった。


 ブルーが出ていくとすぐ、ユーリィは休憩を理由に自室に一度戻ることにした。相変わらずコレットらがマントだの水だのと言ってきて嫌になる。さらにそこにハーンも加わって、気分は悪化の一途を辿っていく。

 気分転換にエルナに会いに行こうかと考えていると、部屋の前でハーンが思いもよらないことをユーリィに言った。


「もしかしてご気分が悪いんじゃないですか?」


 視線を逸らせ気味に前に立つ男を眺め、ユーリィは首を傾げた。態度に出していたつもりはないのになぜ分かったのだろうか。気遣いや優しさとは無縁そうな男なのにと、不思議に思った。


「朝からずっと頭が痛いだけだ」

「まあ、それは大変。私がお薬を……」

「お前はダメだよ、コレット。シュウェルトを呼んできて」


 また変な薬を飲まさたら、堪ったもんじゃない。

 そんな気持ちを察してか、彼女は“はい”と答えて、素直に立ち去っていった。その後ろ姿を見送ったのち、自室に戻ろうと足を踏み出す。待機をするハーンはもちろん一緒には来ない。だが、男の横を通り過ぎようとした時、ふと感じた匂いに気まぐれが生じてしまった。


「ハーン、話をしたいから中に入れ」


 明らかに乗り気ではないという面持ちで、ハーンは素直に後からついて来た。


(エルナじゃなくても、ちょっとの間ならこの男でもいいよね?)


 だれにしたというわけでもない言い訳を心で呟き、ユーリィはリビングの中央にあるソファに腰を下ろすと、扉の前で立ち止まっている男を見た。


「僕の体調が悪いって、よく分かったな、ハーン」

「顔色が優れませんでしたからね」

「もともと顔色はあんまり良くないのに」

「目もいつもより虚ろでしたよ」

「ちょっと嫌な夢を見ちゃって、そのせいかもしれない」

「はあ、そうですか」


 興味がないという態度がわざとらしく感じられ、ユーリィはついうっかりクスッと笑ってしまった。それが気に入らなかったようで、「話ってなんでしょうか?」とハーンは少し強ばった声で催促をした。


「別にこれと言ってないんだけどね」

「は?」

「あ、いや、ないってこともないんだけど、ええと、お前はソフィニアにいるってことを家族に知らせたのか?」


 もちろん、たった今思いついた質問だった。


「してませんよ。十五の時に家を出てから、実家に戻ったのは二回きりです」

「なんで?」

「別にこれと言って理由はありませんね。強いて言うなら、理由がなかったからです」

「仲が悪かったの?」

「別にそんなことはないと思います。もっとも他の家がどんな感じなのか俺には分かりませんので、なんとも言えませんが」

「僕も昔は普通の家ってどんなのか知らなかったけどさ、でも一度だけ行ったことがあって、信じられないくらいうるさくて、色んな匂いがしてたんだよね。でも、別に嫌じゃなかったけど。お前も弟がいるんだろ? 一緒に遊ばなかったの?」

「遊べるほど年が近くないんですよ。十五ほど離れていますので」

「へぇ。ってことは、家を出た時に弟が生まれたのか。それじゃ遊べなかったかもね。あ、でも僕も家を出た時フィリップは小さかったけど、今は隠れん坊できるようになったし、今戻れば違うんじゃないか?」

「さあ、どうでしょうか」


 本当に嫌そうな顔をして、ハーンは横を向いた。

 どうやら雑談すらしたくないらしい。あの暗闇の中では普通に話せた気がしたのに、どうやら思い違いだったらしいと、ユーリィはなぜかガッカリした。


「お前、そんなに僕のことが嫌い? あの件は一応謝ったし、最初の頃みたいに喧嘩を吹っかけたりもしてないと思うけど」

「言いませんでしたか、エルフが嫌いだって?」

「あ、そうか。それじゃ仕方ないか。僕も虫が生理的にどうしても受け付けられないし。それと一緒か」

「そうですね」


 これ以上話しても無駄だと思った時、都合よくシュウェルトが煎じ薬を持ってきた。

 なぜ早く言わないのだとやいのやいのとチョビ髭が文句を言う。それを聞き流しながら、横目でハーンの様子を窺った。

 エルフが嫌いだと言われたら、もうどうにもできない。むしろその嫌いなエルフを警護しなければならない男に、同情の念を禁じ得なかった。


(だからと言って、ジョルバンニに近付きすぎても良いことはないよなぁ。家族のためにも早く帰した方がいいのかもしれない)


 なにか方法があるかと考えたユーリィだったが、もちろんなにも思いつかなかった。


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