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彼女と僕  作者: ぷりてぃ
1章
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清羅、その人

清水清羅。17歳。おうし座で、B型。


俺のクラスのクラス長で、いつも冷静。


男子には事務的な話しかせず、女子の友人も深入りはしていない印象。決して人当たりが良いとは言えない。


しかし、肩甲骨のあたりまで伸びた黒髪が綺麗で、大きくは無いが吸い込まれるような少し茶色がかった瞳に、整った鼻。薄っすらと桜色の小さな唇は、10人に聞けば15~6人は美人と答えるだろう。


そんな彼女が、意を決したのか何なのかは知らないが、あの告白。


しかも、あの直後に走って逃げるという荒業をやってのけられて、俺は困惑した。


今日学校にくれば何か分かるだろうと思うも、清水清羅はいつも通り。


話しかけようとしても、突然他の女子と般若心経の話をしだしたり、トイレから帰ってきた直後なのにトイレに向かったりと、どうにも俺が話すタイミングを与えてくれない。


なので俺は、現代社会の授業よりも、彼女がノートを取る後姿が気になって仕方ないわけだ。


ちなみに、俺の席が教室の左端。つまりは校庭側の窓際の、後ろから二番目。彼女の席は俺の席から桂馬が右斜め前に一回進んだ所。


いつも通り机の横にはピンクのネコのストラップがついた学生カバン。


五分に一回シャープペンの芯を折る以外は、特にいつもと変わった点は見受けられない。


「何であんなボーっとしてたんだよ」


屋上で昼飯のサンドイッチを頬張りながら、ヒロシゲが言う。


ちなみに、ヒロシゲは俺の後ろの席にいる音楽狂いだ。何故金髪で許されているのか謎で仕方が無い。


本名は安藤博。日本の画家、歌川広重からあだ名がヒロシゲになった。


そんなあだ名の癖に、やたらイケメンなのがムカつく。


「お前でも悩みとかあんだな」


答えない俺に、そう言ってヒロシゲは笑う。


しかし「あの清水清羅に告白されました」とも「ナイフを突きつけられて云々」とも言えるはずも無く、曖昧に相槌を打っておいた。


それよりも、気になるのはやはり清水清羅のことだ。


あの告白。


その突然さと、意味深さにやられ、俺は空を見上げた。



「こんにちは。薦田くん」



そこに、渦中の人、清水清羅の顔が割って入ったから、口をあんぐりと開けて、数秒間思考停止することになった。


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