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16、ミッション開始

「さぁ、ミッションを開始しよう。みんな、配置に着いてくれ!」

 正気を失って目に輝きの無くなったキャプテンのカルバートが、フライトデッキから命令を下した。

「これからが本番ね」とリン女史。

「さぁ、忙しくなるぞ!」とダリウス。

「あたし達も協力を惜しまないわよね、カール?」とカサンドラ。

「当たり前ぇよ、コンチクショー!」と、カールは古代語のEDO-BENで言った。

 グレッグとヨニを除いた五人は、それぞれのフレーズでミッションに対するヤル気や意気込みを見せているが、どこかしら精気が感じられず、更に人間としての正気も感じられなかった。

<グレッグ、聞こえる? やっぱり、みんなの様子の、何処かが、何かがおかしいわ>

<あぁ、聞こえているよ。もうみんなは『憑依』されちまってるんだ>

 グレッグとヨニは自分達の『機体』に備わっている、原始的な"通信装置"で会話を開始した。

<グレッグ、その『憑依』って何なの?>

<この星系で、特にこの惑星シビタスで呪縛しているヤツがいるのさ>

<呪縛しているヤツ?>

<もうすぐそいつの正体が分かるさ、嫌でもね。だから心配しないでいい>

<そんな心配はしていないわよ>

 グレッグとヨニは、TSSのフライトデッキで起ころうとしている事態を静かに見守っていた。

「それでは早速、惑星探査に出掛けよう。着陸船の用意だ」

 キャプテンのカルバートは、もはや狂っているとしか思えなかった。周回軌道上でろくな探査も終えないうちに、と言うよりも惑星の調査もせずにいきなり惑星に着陸しようとしているのだ。

「惑星着陸は楽しそうだなぁ」とカール。

「カールの操縦をあたしは見たいわ」とカサンドラ。

「惑星に足を踏み入れるのは、興味津々ですな」とダリウス。

「えぇ、まったく。その通りですわ」とリン女史。

 その他のクルーたち、カール、カサンドラ、ダリウス、そして、いつの冷静だったリン女史までもが、カルバートの指示に従っているのだった。

<もうダメよ。これ以上は無理。彼らと行動を共にするなんて出来ないわ>

<あぁ、そうだな。だが、どうやって着陸を断るかが問題だ>

 グレッグとヨニは、相変わらず無線通信で意思の疎通をしていた。

「グレッグ、それにヨニ。君達は惑星に行かないのかね? これは船長命令だ。惑星に着陸すべし!」

 どこに焦点を当てているか分からない目をしたカルバートが、グレッグとヨニに厳しい口調で叫んだ。

「俺とヨニは、このTSSに残ることにします。キャプテン、全てのクルーがTSSを離れてはいけない規則を、まさかお忘れではないでしょうね?」

 カルバートは、口ごもった。だが、それは一瞬のことだった。

「そうだったかもしれん。だが、今回は特殊なケースだ。全員が惑星に降りるのだ。いいな?」

 グレッグは、ヨニに目配せをした。

<何を言っても無駄だ。今は従っておいて方策を考えよう>

<分かったわ>

「分かりました、キャプテン。準備する時間が必要と思われますので、一時間後にスペーススーツ着用で格納庫に集合します」

 グレッグの言葉を聞いて、カルバートの表情は和んだ。

「そうだな。確かに準備が必要だな。よろしい。それでは一時間後、格納庫に集合だ!」

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