きれいな家とお地蔵さん
「おはよう、スーちゃん。よかった。ちゃんと帰ってきてたね」
僕が寝ている間に我が家の掃除をお願いしていたスーちゃん。
皆が寝ている間だけ掃除してもらうように頼んでいたけど、僕は体の回復のためにも、寝ている間は超集中はしておきたかった。
だから、ある程度配管や屋根裏などの掃除が終わったら、僕の部屋に戻ってきてベッドの上で寝ている僕の体から魔力を食べて超集中状態にしておいてほしいとも頼んでいた。
スーちゃんはその願いをきちんと聞き届けてくれていたようで、今朝の寝覚めは非常に良い。
疲れも一切なく、まだ早い時間帯にもかかわらず、目はばっちりと冴えている。
本当は僕一人の力で寝ている間の超集中もできればいいのだけれど、まだそこまでの領域には達していないと思う。
というか、寝ている間も魔力をきちんと制御できる方法ってあるのだろうか。
「うん、やっぱりスーちゃんはいつもどおりきれいでもちもちぷわぷわしている気持ちのいい体だね」
寝起きの体調を確かめたあと、スーちゃんの様子にも目を向ける。
僕が寝ている間、あちこちの汚れがたまった場所を移動していたであろうスーちゃんの体は汚れひとつない。
泥が付いていたり、蜘蛛の巣がついているようなことはなく、超絶きれいに磨き上げた泥団子のように、つやつやで柔らかい体のままだ。
スライムの特性として全身でものを食べられるからこそ、きれいな体を維持できるんだろう。
とりあえず、スーちゃんの体の状態がいいことを確認した後は感謝の気持ちを込めて魔力を込めた手で、たっぷりと撫でてやった。
そんなスーちゃんを連れて部屋を出た僕は洗面所で顔と歯を洗う。
その音を聞いて、僕よりも先に起きていたお母さんが驚いていた。
僕が朝早くから、しかも二日続けて起きてきたことに驚いているようだ。
まあ、そりゃそうか。
今までこんなに早く起きるようなことなんてなかったしね。
ただ、ダンジョン朝活は今後も続けるつもりだ。
せっかく穴を広げられる方法がわかったのだから、可能な限り掘り進めたい。
いつもどおり、朝からお腹いっぱいになるまでご飯を食べ、通学鞄に水筒などを放り込み、家を出る。
まだ周囲は暗いまま、家を飛び出る。
玄関や窓の明かりだけが頼りの薄暗さだ。
それでも、うちの家はきれいになったように見える。
きっとスーちゃんが家の外壁の汚れも食べてくれたからだろう。
きれいになった家を背に、昨日と同じように鞄とスコップを持ち、自分の足で走る。
どうでもいいけど、やっぱりスコップを持ちながら走るのって大変だな。
昨日は学校に行く間はギルド建物のレンタルロッカーに預けていたけど、これからは夜もロッカーに入れっぱなしにしておいてもいいかもしれない。
そんなことを思いながらも、超集中で走りのフォームを確認しながらダンジョンへと向かう。
そして、いつもと同じ道を通るから当たり前なのだけれど、昨日と同じように路上にあるお地蔵さんが目に留まった。
やっぱり、少し汚れているよな。
我が家がきれいになったからこそ、石でできたお地蔵さんの汚れが気になる。
自分の家だけがきれいになっているのが、なんだか落ち着かないように思うのだろうか。
なぜか無性に気になって、僕はお地蔵さんの前で立ち止まり、お地蔵さんに水をかけて鞄に入れていたタオルでキュキュッと磨いたり、軽く周囲の掃除をしてからダンジョンへと行くことにした。
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