言い聞かせ
「これならダンジョン産の鉄を使ったマイスコップの元手も割と短期間で回収できるかもね」
今日の午後は超集中のおかげで穴掘りした結果、僕の中でのダンジョンの土の販売最高額を得ることになった。
一度に載せられる限界まで土嚢袋を積み上げて、それを何度も走りながら運び込んだおかげで懐はかなり温まった。
ありがたいが、その半分ほどは購買でのダンジョンバーの購入によって即座に消費されてもいる。
今日穴掘りをしていて思ったが、ダンジョンバーはたくさんあればあるだけいい。
今までは一つ五百円もするので一袋開けて食べるときでも何度かに分けて、少しずつ齧っていた。
だけど、お金が稼げるのであればもっとたくさん食べるべきだ。
僕の体が、そう訴えている。
ダンジョンバーは栄養素も豊富なうえにカロリーもあり、探索時の補給食として非常に優れた食品だ。
だが、それ以上に僕の体がダンジョンバーを求めているのは、魔力を補給するためだ。
きっとダンジョンバーはダンジョンで採れる薬草とかを使っている。
そのため、わずかではあるけれどダンジョンバーを食べることで体内に魔力を取り込むことができ、そのポカポカとあたたかい魔力のおかげで僕は肉体強化ができている。
その魔力が根本的に足りていない。
僕の体は超集中ができるようになってからずっとそれを訴えかけていた。
魔力がもっとあれば、さらに効果的に体を使えるのにと、言葉にならない訴えを続けている。
そんな魔力を補うためには経口摂取できるダンジョンバーしか今のところ僕には手段がない。
おそらく、それはスライムのスーちゃんも一緒なのだろう。
だからこそ、スーちゃんもダンジョンバーを食べたがったのだろうし、僕の体から漏れ出る魔力まで食べている。
きっと、生まれたばかりのスーちゃんも僕の体と同じように魔力を求めているんだろう。
お金が稼げるのであれば、多めにダンジョンバーを買い、スーちゃんに一本か二本あげてもいい。
もっとも、稼ぎが良かったのは日曜日だったので学校が休みで時間がたくさんあったからだけど。
というわけで、ダンジョンバーをたくさん買い込み、その後は帰り道にあるお弁当屋さんで大盛弁当も買った。
鶏のから揚げ弁当と南蛮弁当の二つを買い、公園のベンチに座って食べる。
膝の上でお弁当の蓋を開け、蓋の上にご飯や唐揚げ、キャベツを取り分けてスーちゃんにも食べさせてみた。
魔力を求める体のスーちゃんだけど、こういう人間が食べる食品も同じように喜んで食べている。
が、同じくらいの勢いで、お弁当の蓋も食べてしまった。
スーちゃんにとってみればご飯もおかずも容器も違いはないのかもしれない。
魔力があるものか、魔力がないものかの違いしかなく、どちらであってもおいしく食べてしまうみたいだ。
ただ……このままだと、本当に何でも食べてしまうかもしれない。
「えっとね、スーちゃん。これとこれは食べてもオッケーだけど、これは僕が着ている服だから食べないでね。あと、なにか食べるときは僕に確認してほしいな。僕が食べてもいいよって言ったものだけを食べるようにしてくれないと残念だけど家には連れていけないからさ」
僕の膝の上でご飯とから揚げと弁当の蓋を食べても、まだまだ食欲がありそうなスーちゃん。
そんなスーちゃんに僕がそう言うと、スーちゃんはプルプルと震えることで返事をしてくれた。
――—分かった、という合図みたいだった。
よかった。
ちゃんと聞いてくれなければ、下手すると僕の家すら食べてしまうかもしれなかったしね。
しっかりとスーちゃんに言い聞かせた僕は、二つのお弁当を食べたにもかかわらずまだ腹八分にもなっていなかったので、家に帰りお母さんが作ってくれた晩御飯もモリモリ食べることになった。
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