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ダンジョン穴掘り――ストレス発散のためにスコップを手にダンジョンでひたすら穴を掘ってたら奈落に落ちた――  作者: カンチェラーラ


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走りながらの訓練

 ダンジョンの壁を、ひたすら掘る。

 ダンジョンスコップという神アイテムを手に入れてから、僕は一心不乱に掘り続けていた。

 が、それにも一定の制限がある。

 問題は、掘った土だ。

 土嚢袋に詰めて、ダンジョンの外にあるギルドの建物へ運ばなけらばならない。


 最初はストレス発散のためにダンジョンの壁を殴り、その後に穴掘りを始めた。

 なので、当初の目的だけでいえば掘った土は別にどうでもいいということになる。

 実際、何度も「このまま放置して掘り続けようか」と考えた。

 しかし、そうはできない事情があった。


 理由は単純だ。

 僕の体は、常に空腹と疲労に襲われている。

 自分の肉体だけではなく、ダンジョンスコップまでもを魔力で強化して穴を掘ることで、その二つの状態は、常に僕を苦しめるようになっていた。

 これらを解消するためには、どうしてもダンジョンバーが必要だ。

 お腹を満たし、魔力も取り込める、そんな神みたいな補給食がどうしても必要だった。


 そして、このダンジョンバーは一つで五百円もする。

 貯金箱の中身はもうない。

 一本、五百円。

 ……高い。

 中学生の僕には、普通に痛い出費だ。

 それを、掘り続ける限り払い続けなければならない。

 なので、そのためにギルド建物にダンジョンの土を持っていき、その売却益でダンジョンバーを補充する必要がある。


 また、スコップも強化することで以前までよりもお腹が空くようになっているので、一日の作業終わりに売却と購入を行うというのでは、正直かなり不安だった。

 というわけで、僕はダンジョンで穴を掘り、集めた土を土嚢袋に詰めて手押し車に載せて、それが三つ溜まったらすぐにギルド建物まで持っていくことに決めた。


 採掘力が高まったおかげで、作業効率は上がっており、三袋分の土を集めるのにそれほど時間がかからなくなってきた。

 一輪の手押し車に、土の詰まった重い袋をいくつも載せて、僕は走る。

 ガタガタと揺れる手押し車を押しながら、石に乗り上げるたびに、バランスが崩れる。

 決してきれいに舗装されているわけではない地面の上を不安定な一輪の手押し車で走るので、なかなかにバランス感覚が求められる。


 ――これが、意外と楽しい。

 というのも、この不安定な手押し車を走って押すという行為は魔力操作の練習になりそうだったのだ。

 魔力を使って肉体を強化するだけでも、不安定な手押し車のバランスを保ちやすくなる。

 ただ、普通に歩いて押す場合に比べて走りながら肉体強化フィジカルブーストを使うのは慣れるまでは結構大変だった。


 単純に力を出すのとは違う。

 全身の筋肉を細かく使ってバランスをとる動きは、体内での魔力の扱いも変わってくるのだろう。

 どこの筋肉に力を入れてバランスをとるのかを僕の体は無意識にできているけれど、同じことを魔力でやるにはまだ僕は魔力操作があまりにも下手だということだ。


 微妙な魔力の力加減を、走りながらでも無意識にできるように繰り返す。

 これをやり始めてから、慣れてくると穴掘りにも効果が出てきた気がする。

 空腹や疲労の溜まり方も、前より明らかに楽だ。

 ちゃんと成長している。


 実際にこれが本当に魔力操作の練習になるのかはきちんとわからないけれど、どうせ今の僕にはやらなければならない作業だ。

 なので、何度もダンジョンの中と外を移動しなければならないというこの往復も、無駄じゃない。

 魔力操作の練習になる。

 気づけば、足は止まらなくなっていた。

 ――もっと効率よく掘れる。

 そう思うと、自然と笑っていた。

 僕はダンジョンとギルドの間をひたすら走り続けた。

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― 新着の感想 ―
こんにちは! ここまで読ませていただきました! 一話一話が短くてスルスルと読めてしまいました。 僕もダンジョンの土を掘ったら頭良くなるのかなぁ? もしよろしければ僕の作品も覗いてみてください。
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