いざダンジョン
「おいおい。もしかしてこのダンジョンに一人で入る気か、坊主?」
自転車に乗ってやってきたダンジョンの入り口に立つ監視員が僕の姿を見て声をかけてくる。
家から自転車で来られるくらいの距離だったから、そのまま勢いで来てしまった。
そして入ろうとしちゃったけど、普通は一人でダンジョンに入るものじゃないのかもしれない。
「うん。ストレス発散にダンジョンの壁を殴ってくる」
「はぁ? ダンジョンの壁を殴るだぁ? 最近の若いのはいったいなに考えてんだかわかんねえな。まあいい、あんまり奥まで入るなよ。モンスターが出るからな。ダンジョン内は何があっても自己責任ってやつだけど、モンスターに見つかって追いかけられたらここまで逃げてこいよ」
「わかった。ありがとう、おじさん」
「ちょ、待てよ。俺はまだおじさんって歳じゃねえよ」
ダンジョン監視員のおじさんにお礼を言って、中へと入る。
ダンジョンの入り口は洞窟の入り口みたいな感じだ。
昔行ったことのある鍾乳洞の入口に近いかもしれない。
あんまり広くない入口とその先の通路。
そこを先に進むとあり得ないくらい広い空間が続いているらしい。
そして、そこには無数の魔物がいる。
人間をみれば襲ってくる凶悪な魔物たちが。
だけど、入り口近くには魔物はいないみたいだし、もし最悪出会ってしまっても入口まで逃げれば監視員のおじさんがなんとかしてくれそうだ。
そう考えて、気楽にダンジョンの中へと入っていく。
洞窟みたいな中の通路を歩いているけど、不思議と暗くない。
明るいわけではないけれど、奥からモンスターがやってきたら十分気が付くくらいの視界はあると思う。
ダンジョンができたのはかなり昔のことらしい。
なぜこんなものができたのか。
なぜ明るさが保たれているのか。
なぜ人間が問題なく呼吸できる空間が広がっているのか。
なぜモンスターが襲ってくるのか。
いろいろな疑問が思い浮かぶけど、ほとんど解明はされていないみたいだ。
ただ、ダンジョンの中には地球にはないモノが手に入り、それを高値で買う人がいる。
一攫千金を狙ってダンジョン内を探索する探索者と呼ばれる職業が生まれて、きっと多くの探索者が、奥で貴重なものを探しているんだろう。
そんなことを考えながら通路を歩いてすぐの場所。
ダンジョン内の土の壁の前で僕は立ち止まった。
どこまで奥に行けばモンスターが出るかわからないけど、なんとなくこのあたりは出なさそうな気がする。
何の確証もない、ただの勘を根拠に足を止め、ここでストレス発散をすることに決めた。
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