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ダンジョン穴掘り――ストレス発散のためにスコップを手にダンジョンでひたすら穴を掘ってたら奈落に落ちた――  作者: カンチェラーラ


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貯金箱

 お昼ご飯を食べるために、いったん家に帰る。

 用意されていたチャーハンとサラダを前にする。

 でも、それだけじゃ足りない。

 僕は鍋に水を入れて、火にかけた。

 沸騰したお湯に袋ラーメンの麺を放り込んで三分ほど煮る。

 そうして出来上がった素ラーメンとチャーハン、サラダを一気に食べた。


 足りない。

 朝からずっとダンジョンで穴掘り作業をしていたからか、これだけ食べても全然足りない。

 何かないかと冷蔵庫をあさり、チーズやソーセージ、から揚げを見つけて口に放り込んでいく。

 体を使うとこんなにお腹が減るのかと、自分でも驚くほど食べた。


 食事を終え、すぐにダンジョンへ戻ろうとする。

 だが、さすがにお腹が膨れすぎていた。

 なので、少しだけ休むことにする。

 自室に戻って勉強机の前に座り、教科書とノート、筆記用具を取り出した。

 昨日のうちに宿題と予習は終わっている。

 だから、これまで習った範囲をパラパラと見返した。

 ここ数日、予習や復習をしているおかげか、少しだけ勉強がおもしろくなってきた。

 その反面、これまでやってこなかったツケで、それまでの授業内容はあまり覚えていない。

 なので、それを少しはカバーできるかと思って板書を書き写したノートを中心に軽く見返していった。


 パラパラ見返して、なんとなく気になる単語はノートの端の余白に書きなぐり記憶の片隅に残す。

 そんなことをしていると眠気がやってきたので、ベッドの上にダイブする。

 すると疲れていたのか、すぐに眠りに落ちて、起きたのはその一時間後だった。

 すっきりと疲れが取れて目が覚める。

 よし。

 疲れもとれたし、お腹も落ち着いた。

 もう一度ダンジョンに行こう。


 早速部屋を飛び出そう、としたときだった。

 僕の視線は、机の端に置かれたものに止まった。

 ――貯金箱だ。


 両親やおじいちゃん、おばあちゃんがくれたお年玉。

 この貯金箱にはそんなお金が入っている。

 硬貨だけではなく、お札も入るタイプの貯金箱だ。

 お母さんの方針で、お年玉は好きに使ってもいいけれど、それが毎月のお小遣いのかわりで全部使いきったらそれでおしまいよ、となっている。

 つまり一年分の僕の全財産がそこにある。


 貯金箱の蓋を開けて中を確認する。

 中にあるお金は五万円と少し。

 一年分の、僕の全部だ。

 これを使えば――もう、何も買えない。

 それでも。

 ……欲しい。

 ……買うか?

 ダンジョン用のスコップは高い。

 でも、この金額なら手は届く。

 が、それでも買ってしまうとほとんど残らない。

 つまり、僕のお小遣いはスコップ代で全部使い切ってしまって、残りの期間は無一文生活になるということだ。


「いいや。買っちゃおう」


 だが、それでも欲しい。

 僕はダンジョン用のスコップを手にしたときからあれが欲しいと思ってしまった。

 だったら、買うしかないじゃないか。

 そう決めた僕は、貯金箱の中身をすべて財布に入れる。

 落とさないようにしっかりと握りしめて、そのまま家を飛び出した。

 目指すはギルド。

 全力で自転車を漕いでギルドに向かって走っていった。

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