表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたくしは何も存じません  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

96/96

96.手を出さなければよかった

 カペル共和国の商人セラノは、手にしたリストを持て余していた。商人にとって情報は、とても重要な商材だ。と同時に、生命線でもあった。複数の国をまたいで商売する以上、隣国の裏事情を知らないままでは危険だ。


 貴族同士の騒動に巻き込まれないことも、優秀な商人の条件なのだから。気を付けて綱渡りを続けてきた。そんな中、特殊なルートで流れてきた情報を前に唸る。


 商人としての勘が「危険だ」と告げるが、アードラー王国の王侯貴族の名が並んだだけのリストだ。何が危険なのか、自分でも判断に悩んだ。結果として手放す決断をする。念のために写しを取って、リストの本物をアードラー王国へ売った。


 質のいい便箋には、アードラーの模様が押されている。薄い色でもスタンプがある以上、公式書類と同じ扱いだった。手放して安心したそのリストが、新たな騒動を伴って帰って来るとは知らずに。セラノは数日の不眠を解消するため、早めに就寝した。





 数日後、アードラー王国から問い合わせが入る。リストを売った相手からだった。娼館を営む優秀な情報屋で、何度も取り引きをしている。いわゆる女装する男性だが、彼女と呼称すれば喜んだ。本人の説明では心が女性なのだとか。商人ならば、顧客の喜ぶ呼び方をするくらいお手のものだ。


「……リストの入手先?」


 入手先を知りたいと言われて、眉根を寄せる。今まで、そんな要請はなかった。情報屋であるバルバラなら知っているはずだ。情報源を口にする危険性を……信用にかかわる。断れば済む話、と一蹴しようとして……セラノは気づいた。


「売却先は、どこだ?」


 バルバラがリストを売った先、そこからの問い合わせならば……王城が絡む可能性もある。便箋のスタンプは確認したが本物だった。


「まずい! 逃げる準備だ」


 アードラー王国から公式の問い合わせが入れば、セラノの身が危ない。カペル共和国は商人が集う集合体のような国だ。商会で働く者、商品を納入する者、行商で他国へ向かう者……そういった人々が身を守るために集まっている。危険だと判断されたら、すぐにセラノは引き渡されるだろう。


 大急ぎで荷造りを指示し、セラノは逃亡先に悩んだ。アードラー王国は最初から排除、もしウテシュ王国へ逃げたら購入先がバレる。当然、ウテシュ王国で「消息不明」にされるはず。ゼークト王国? いっそ、ロイスナー公国はどうか。


 新たに出来たばかりの国ならば、商人の受け入れも歓迎されそうだ。アードラー王国内を突っ切るほうが近いが、安全を考えてゼークト王国経由で行こう。商会の従業員を急かし、荷物を先に送り出した。本店移転の手続きをすれば、カペル共和国に勘繰られる。


 屋敷や商会の建物の売買は後でいい。移転手続きも、公国へ着いてから申請すれば安全だ。セラノは大急ぎで商品を追って国を飛び出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
よし、手掛かりが向こうの方から勝手に公国に来るぞ(笑) 情報収集能力が微妙な商人さんですなー なぜ公国が独立したのか、探っていれば公国も選択肢には無いのに(笑)
 щ(^ω^щ)カモーン
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ