78.相次いで到着する招かれざる客
あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします!!_( _*´ ꒳ `*)_
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騎士は突破されたのか、開いたままのガラス扉から王女が出てくる。そちらに集中するガブリエルとラファエルは、周囲への警戒が薄れていた。ぽんと肩を叩かれ、ガブリエルが悲鳴を上げる。が、直前で手に口を覆われた。
「おっと、叫んだら居場所がバレるぞ」
笑う声はカールだ。姉を守ろうと飛び掛かったラファエルも、ケヴィンに捕獲されていた。相手が従兄達と判明し、ほっと力を抜く二人にカールが姿勢を低くするよう伝える。
「……っ、あっぶね」
カールが呟き、ケヴィンも伏せた。後ろの牛は……仕方ないだろう。放っておいたら、林から芝生のほうへ歩いていく。お陰で林に逃げ込んだと思われなかったのか……王女はきょろきょろしながら、屋敷へ戻っていった。
「すごい行動力だな」
ケヴィンがやれやれとぼやく。大まかな事情は聞いているため、いざとなれば自分達が囮になろうと考えた。幸い、牛のお陰でバレずに済んだ。まだ立ち上がらないほうがよさそうだと、四人は茂みの陰に座る。
「リル、スカートが汚れるぞ。ほら」
ここに座れと膝を叩くカールに、ガブリエルが素直に従う。ラファエルがもの言いたげにケヴィンを振り返った。くくっと喉を鳴らして笑い声を抑えたケヴィンが、ラファエルを膝に乗せる。
「ラエルは汚れてもいいんじゃないか?」
「ダメです。庭にいたのがバレます」
適当な理由を付けて楽な姿勢を取った弟に、姉は肩を震わせて笑った。隠れているから、笑い声は我慢しなくてはならない。それがまた面白さに拍車をかける。大声で笑えていたら、今頃は落ち着いただろう。そんな四人の耳に、馬の蹄の音が届いた。
「誰か、お客様なの?」
ガブリエルの声に、ケヴィンが頷いた。すでに先触れの騎士が到着して、カタリーナ王女回収の一団の予定を知らせている。その話をしている間に、玄関先へ騎士団が並んだ。家令アードルフが出て対応し、一礼する騎士が書簡を手渡す。
ヨーゼフはまだ顔を見せず、代わりにエッカルトが現れた。腰の痛みもやや軽くなり、動き始めたばかりだ。当人はしゃんと立っているつもりだが、腰が曲がっている。
「おじい様、痛そうね」
「うん。隣で支えてあげたいけど、僕の身長が足りなくて」
姉弟の微笑ましい会話に、カール達の顔がほころぶ。騎士の一部が裏の厩へ走り、馬車の確保に向かった。すぐに連れて帰るつもりだろう。
がさっと後ろで音がしても、三度目なので緊張感は薄い。ゆっくり振り返ったケヴィンが「誰だ」と鋭い声を発した。隠すように抱えられたガブリエルは、隙間からそっと覗く。顔がそっくりの男の子が二人いた。
「この屋敷の人か?」
「ここで、何してんの?」
疑問をぶつけてくる二人に悪意を感じない。ぽんぽんとカールの手を叩いて「大丈夫だと思うの」と伝えた。それでも警戒を解かない従兄二人に、ガブリエルとラファエルは抱き上げられた。いざとなったら走って逃げよう。そんなカール達の目配せは、囲むような数人の騎士の気配で一変する。
ゆっくりと動く手が、背中に隠し持つ短剣に向かった。




