表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたくしは何も存じません  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/96

59.この首を差し出す覚悟を

 王族籍をはく奪したこと、断種したことは大々的に発表された。万が一にも「王子の血を引く子」を宿したと言い出す愚行を許さぬためだ。グスタフ王が「息子の種は絶った」と断言することで、身勝手な主張はすべて握りつぶせる。


 もしかしたら、処置する前にすでにばら撒いた可能性も考慮された。グスタフ王の血は、当代で絶える。ゆえに養子が検討された。急がねば、跡取りのない王座は他国から狙われやすい。同時にグスタフ王から末端の民までの、情報伝達の手段が見直された。


 国力が落ちた今、過去のように他国と渡り合うことは難しい。宰相ヤンを始めとした大臣の進言により、中間の役職をごっそりと省いた。逃げたが女神に戻されなかった貴族も多数いる。線引きは不明だが、貴族は半数まで減っていた。


 減った貴族の分だけ、役職を減らしても問題ない。さらに中間のややこしい手続きを減らすことで、決定事項が間違いなく早く伝わった。


 税の中抜きをしたと思われるクンケル伯爵家の息子達は、父親に助けを求めた。だが、すぐに父親である伯爵自身も拘束される。女に金を使った次男、金や宝石につぎ込んだ長男、父親は己の生活を豪華に飾った。知らなかったは通らないのだ。


 証言者は貴族から商人、王都の民に至るまで。様々な方面から集まった。本人達の自供がなくても処罰可能な状況だが、金の半分ほどの行方が追えない。金が流れた先を白状させるため、尋問が行われた。地下牢での度重なる尋問に音を上げたのは、意外にも伯爵本人だった。


「息子が話を持ってきた。俺は持ってきた金を使っただけだ」


 この言葉が示す「息子」は意外にも長男だった。そのため厳しい尋問は、徐々に拷問の色を帯びていく。民の血税を湯水のごとく贅沢に費やした愚か者、その認識から誰も拷問を止めなかった。結局、長男は何も語ることなく息絶える。


 兄の無残な最期に、次男が口を割った。


「っ、……ウテシュの……」


 怯えながら彼が語った内容は、衝撃的だった。ウテシュ王国の王族か公爵家が絡んでいる。そう伝えられ、外交大臣が目を見開いた。ウテシュは血統主義の軍事国家だ。王を始めとする高位貴族の考えは、欲しければ奪う方向に傾いていた。


 実際、何度か戦ったこともある。ウテシュ王国が関わっているなら、今のアードラー王国は対抗できないだろう。攻め込まれたら、国ごと呑み込まれる。緊張が走った上層部は対策を練り始めた。


 他国に応援要請するとしても、カペル共和国は動かない。ゼークト王国は、親族の嫁いだロイスナー公国の味方をする。絶体絶命の状況だった。それを招いたのは息子ニクラウスだ。グスタフ王は何度も地図の上で指と視線を動かし、最後にロイスナー公爵領と記された場所で止まった。


「……恥を忍んで、助けを……この首を差し出すと伝えてくれ」


 元凶のニクラウス自身より、価値のある王の首を差し出す。覚悟を決め絞り出した策に、何か言いかけた宰相は結局口を噤んだ。それ以上の提案は思い浮かばなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
首はいらないから属国になるとかにするといいかもなあ普通に有能な人達いるから滅んだ場合ウテシュとも隣接するから余計にめんどうなことになる
真の黒幕が判明…。この国滅ぶかな?別に良いけど。 面倒な事になりそうですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ