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わたくしは何も存じません  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


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46.誰が敵で誰を信じてもいいか

 グスタフ王から届いた返信に目を通し、ヨーゼフは目を閉じて椅子に(もた)れた。かつてはグスタフ王に仕えた。それが当たり前だと思っていたし、生涯、主君を違える気はなかったのだ。


 彼が自分達を殺したわけではない。だが、王の育てた息子が我々を冤罪で処刑したのは事実だった。我が子のなした罪を「知らぬ」で通せないのは、親として当然だろう。ガブリエルやラファエルより早く首を落とされたが、その後あの子らが殺されたのは間違いない。


 やり直しを命じた女神アルティナ様の言葉に『可愛いガブリエルを殺したのは』とあった。私が殺され……次はミヒャエラ。最後はどちらだったのか。家族が目の前で殺される姿を見て、泣き続けただろう。想像だけで胸が痛んだ。


 発狂したくなるほど悲しく、恐ろしく、心が砕ける出来事だったはず。女神の加護を受けた子を「天使」と称するのは、教会で学んでいた。ガブリエルが天使と呼ばれる存在なら、この世界であの子に課せられた義務があるのだろう。


 必ずや守り抜かなくてはならない。幸いにも、妻ミヒャエラはゼークト王国の王族の血を引いている。公爵家の先代夫人が王姉だった。現王の伯母に当たる。従弟である国王陛下との仲もよく、何度も手紙で交流を続けていた。


 ロイスナー公国を承認したゼークト王国に続き、交易していたカペル共和国が賛同を表明する。残るはウテシュ王国のみ。ここは国境を接しておらず、アードラー帝国との繋がりも薄かった。閉鎖的な国家で、カペル共和国がかろうじて交易で関係する程度だ。


 ウテシュ王国の賛同はないが、アードラー帝国が独立を阻む理由はない。いや、国力を削りたくなくてごねても、我が弟バーレ伯爵アウグストや民が許さない。騎士団も敵に回すことになる。あのグスタフ王がそこまで愚かな振る舞いをするとは思えなかった。


 独立を承認し、詫びを連ねた手紙を置いた。その後ろに書かれていたのは、王太子ニクラウスと聖女となるリリーを地下牢へ入れた処置について。ニクラウスは飢え死寸前まで追い込まれ、騎士団が救った。簡単に殺して許す気はない、アウグストの仕業だろう。


 リリーは気狂いの兆候を見せ、一人でくすくす笑いながら過ごしているらしい。なんとも気楽で羨ましいことだ。幻想に逃げ込む彼女を現実に引き戻すため、教会が管理する修道院へ移動させたと記されていた。


「……この程度で終わるはずがない」


 報告書をくしゃりと握り、深呼吸して机の上に放った。持っていると千切ってしまいそうだ。ヨーゼフは目を閉じて考え込んだ。先日、弟アウグストから届いた手紙には、横領や裏工作があった可能性が並んでいた。あれが事実なら、国内貴族に起こせる騒動だろうか……と懸念を抱く。


 親族であるゼークト王国、交易繋がりのカペル共和国、反応がないウテシュ王国。どこが関与していても、ロイスナー公国に手出しはさせない。目を開けて身を起こしたヨーゼフは、便箋を取り出してペンを取った。手遅れになる前に動く必要がある。『前回』のような失敗を繰り返す気はなかった。

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― 新着の感想 ―
国が弱体化して得をする国の工作は疑うべきだよねえ
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