表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたくしは何も存じません  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

178/179

178.追跡の果て

 走らせた先で、馬の(ひづめ)の跡を見つける。一度降りて、しっかり確認した。馬の蹄を守る蹄鉄(ていてつ)は、個々に特徴がある。手作りで一つずつ、馬の蹄の形に合わせて作られるためだ。その形を数えたアウグストは、四頭と判断した。


「四人以上か」


 蹄の沈み込みから、二頭は二人乗りの可能性があった。片方は連れ去られたガブリエルを乗せた可能性があるとして、もう一頭はなぜ二人乗りなのか。アウグストは考えることを放棄した。もともと、こういった考察は部下のヴィリに丸投げしてきたのだ。今さら得意になるはずもない。


 考えるのは助けてからだ。追ってきた騎士の数は三人だった。ぎりぎりだが、時間がない。あまり遅くなれば、ガブリエルの名誉が傷つく。令嬢である以上、無事でも救出に時間がかかるだけで疑われた。そんな不名誉を、ロイスナー公女に負わせるわけにいかない。アウグストの決断は早かった。


「敵は四頭の馬で逃走。一部、二人乗りの可能性がある」


 馬に飛び乗りながら、騎士達に声をかけた。うち一人が「途中で応援を要請しました」と報告する。すれ違った別の貴族家の騎士に、伝言を頼んだらしい。当てにするのは危険だが「よくやった」と褒めたアウグストは、馬首を森へ向けた。


 人の手が入っていない森は、木々が鬱蒼(うっそう)としている。つまり、木の枝が折れていたり広くなったりしている方角に逃げた、と考えて間違いない。森の中は目撃者が減るが、森の木々自体が行く先を教えてくれた。


 嫌がる馬を進める。走らせれば危険なため、速足(はやあし)程度が限界だった。人が走るよりは速い。不自然に折れた枝を見つけては、そちらへ入っていく。少しすると、馬の嘶きが聞こえた。後ろ手で速度を落とすよう合図を送り、アウグストは馬を下りた。


 明るくなった視界の先、ひらけた場所が現れる。どうやら川が作り出した湖があるようだ。上流から流れ込み、下流へ抜けていた。アウグストのいる位置は、下流側に当たる。湖畔に四頭の馬がいた。乗っている者はいない。


 焦る気持ちを押し込め、アウグストは深呼吸した。大丈夫だ、間に合う。自分に言い聞かせ、上流側へ目を向けた。


「っ!」


 声が出そうになり、強く唇を噛んだアウグストは目を見開いた。湖の中央、一人の少女が浮かんでいる。慌てふためいた様子で、上流側から手を伸ばす数人が見えた。


「あいつらを確保。殺すな」


 頷いた三人の騎士が、森の中を回り込む。邪魔になるため、馬はすべて繋いでいった。徒歩で回り込む様子を目で測る。速度を計算しながら、革鎧を脱いだ。


 おそらく湖の中央に浮いているのは、ガブリエルだ。助けるには泳ぐ必要がある。アウグストは覚悟を決めて飛び出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ガブちゃん!?生きてる!?大丈夫!?小人騎士団も飛び込みます。 ポニーは誘拐犯に突撃しました。
ガブリエルさん!!無事でしょうか!?逃げるために飛び込んだ??不安でドキドキです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ