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わたくしは何も存じません  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


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125/134

125.双子と引き換えに得たもの

「ふむ……」


 アードルフ経由で受け取った書類を見つめ、内容を確認していく。最後の一枚まで確認し、ヨーゼフは顔を上げた。


「重要な書類が足りないようだが?」


「……双子を帰していただいた後でお渡しします」


 切り札を手元に残すのは王族らしい振る舞いだ。駆け引きと称するには未熟に思えたが、ヨーゼフは静かに頷いた。


「なるほど」


 外へ出ようと促した。玄関先に用意された馬車の中で、双子が果物を齧っている。髪は乱れてばさばさだが、間違いなく弟達だ。のんきにこちらへ手を振る姿に、腹立たしさが募った。文句を言うのは後だ。


「確認しました。どうぞ」


 胸元から封筒を取り出す。濃紺の封蝋を切って確認したのは、ウテシュ王国がロイスナー公国建国を承認する書類だった。持ってくるだろうと踏んだが、初手で渡された中になかったので内心で舌打ちしたヨーゼフの表情が明るくなる。


「迷惑に関する慰謝料は辞退しよう。これからの付き合いもあるし……こちらからの迷惑料だ」


 意味が分からないが、今後の付き合いの部分を重視したのだろうと頷いた。護衛も荷馬車に乗せられているようで、馬車は返さなくていいと送り出される。叔父のやらかしの後ろめたさもあり、テオパルトは早々に出立した。


 到着して僅か一時間ほど。短い会合は無事に結論を得た。互いに交換し合い、成果を得て別れる。ごくごく自然な政の形だった。


「あまり臭わなかったね」


 馬車が見えなくなると、ラファエルは正直に疑問を口にした。もっと臭いと思ったのに。


「臭すぎて迎えの騎士が悶絶(もんぜつ)したのでな、湯桶はやった。ただ……服はそのままだ」


 服を用意してやる気はないし、使った湯桶や布は臭いので処分するそうだ。ヨーゼフの説明に、ミヒャエラが大きく息を吐き出した。


「お父様達がいてくれたら心強かったでしょうね。カール、ケヴィンもお疲れ様」


 ミヒャエラはラファエルと手を繋ぎ、屋敷に戻る。カールとケヴィンは「バレてたか」と苦笑いして、武器の回収に向かった。先日のラファエルのアイディアを参考に、屋敷の飾り物や扉の陰などに武器を隠したのだ。使わなかった武器を数えながら拾っていく。


「あんなに隠したのか?」


 呆れ顔のヨーゼフに、アードルフが首を横に振った。


「それ以上でございます」


 玄関ではセラノがほっとした顔で、ミヒャエラ達に一礼した。ロイスナー公国につくと決めた以上、役に立つところを見せたい。その一心で必死に顔や地位、名前をひねり出した。現場ではほぼ使われなかったが、あとで来訪者の記録を取るアードルフの役に立つはずだ。


 それぞれに胸を撫でおろし、緊張を解いた。





「くっさ!」


 牧場の一角、やや広い街道沿いの広場で弟達と顔を合わせたテオパルトは、顔を顰めた。距離を置いて逃げようとするが、鼻が麻痺した弟達に追われる。逃げる王太子を助けようと騎士が動き、まるで子供の追いかけっこのようだった。


「迷惑料って、このことか」


 鼻を摘まんだテオパルトは、川を探そうと決めた。ある程度汚れを洗い流さなければ、宿すら断られるぞ。馬車は別だと言い聞かせ、双子を再び押し込んだ。


 やられたと思うが、腹は立たない。逆におかしくなってきて、腹の底から笑った。ロイスナー公国とは長く良好な関係を保ちたいものだ。

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― 新着の感想 ―
前半。地の文がヨーゼフ公王視点とテオパルト王太子視点が入り交じっていませんか? ヨーゼフの内心が語られたり、双子王子を弟達と呼び王弟を叔父と呼んだり。視点が行ったり来たりして混乱します。
保ちたいものだ、じゃねーんですよ。保つ為に手を尽くすのが王族の責任なんですよ。何を他人事のように。その首の上に付いてるのが中身の無い帽子置きじゃないなら為すべき事を為せや。目の前に処すべきバカがおいで…
 手を振って…? ( ´-言-)途中で『不慮の事故』にならないといいな(月夜ばかりと思うなよ)?
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