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わたくしは何も存じません  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく


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111/138

111.王家の血に流れる黒い呪い

 ウテシュ国王は、悩ましい問題に頭を抱えていた。伯父がろくでもない人物だったことは、記憶に新しい。気に入らないからと貴族家を潰そうとしたり、誰かの人生を弄んだり。公爵家を興すことも許されず、王家で飼い殺しにされた。


 頭は回る人だったらしい。気難しい弟とよく一緒にいるところを見かけた。机上の盤で遊んでいる姿は、まるで親子のようだった。年齢差も、親族で顔が似ていることも……今考えれば、内面もよく似ていたのだろう。


 滅びたコンツ王国に、弟ローマンが絡んでいたことを知らなかった。言い訳ではなく事実であっても、この言葉を国王が口にしてはならない。国王マルクスは自覚していた。


 ウテシュ王国は、すべての世代に問題児が生まれる。まるで何かの呪いのようだ。マルクス王の先代は王兄である伯父、当代は王弟ローマン、次世代は双子の王子ネロとミロ。


 数代前の世代は、王子が一人ならと考える。ところが王太子である一人きりの王子が狂い、側妃に王子を生ませる騒動に発展した。その後は複数の王子をもうけることで、国と王家を保っている。


「他国を滅ぼすくらいなら、我が国を壊せばいいのだ」


 ローマン捕獲の一報を受けて、思わず呟いた。『前回』の噂は、ウテシュ王家にも届いている。アードラー王国に起きた奇跡と称する者がいた。同時に、あれは女神様の罰だと項垂れる者もいる。どちらも正しく、どちらも間違っているのだろう。


 弟を幽閉する案を出したマルクス王に対し、王太子テオパルトは首を横に振った。


「呪いは断ち切るべきです。コンツ王国を弄び滅ぼしたのが叔父上なら、責任を取るべきでしょう」


 コンツ王国を脅し、嗾けた。その結果、アードラー王国の国境を守る伯爵家が、領民ごと滅亡している。あの後、血に染まった土地は呪われていると広まり、誰も手を付けずに空白地帯となっていた。実際、踏み込んだ者が錯乱した事例もあると聞く。


 女神の慈悲で浄化されるまで、誰も近づけないだろう。そんな悲劇を作り出した人物が、己の親族だなどと。テオパルトはそう嘆いた。王太子の言い分もわかる、マルクス王はローマンの処刑を決断した。





 ほぼ同時期、老シーゲル伯ヴェルナーが動く。シュテファンという協力者を得て、ローマンへの復讐の糸を手繰り始めた。絡まった糸の先、ウテシュ王国は過去の清算を求められるだろう。


「王弟が捕縛された?」


 罪人として連れていかれた。ヴェルナーはベニートと顔を見合わせて、にやりと笑う。ウテシュ王国を揺るがす騒動は、静かに動き出していた。

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― 新着の感想 ―
 判断が遅いッ!(by 某天狗仮面)  ある程度、見極めたら搭とかに幽閉すればいいものを…。
シーゲル翁、ウテシュ割っちゃうー? 問題児が生まれるってわかってるのに身内だからって見張りもつけずに放置するような王家、管理能力無いんじゃないですかー?(煽り 「ボンクラ」と「能力だけは有能だけど紙…
問題児を放置していた罪は重いです。どれだけ血が流れたことやら。よくまぁ女神さんもこの一族が存続することを許容してきましたね。
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