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猫の恩返し-4
そのころ、修学館高校の周囲をパトロールするジョージの姿があった。
悠亜の警護として怪しい人間がいないかチェックして歩いている。
学校が見える近くのマンションの屋上に上がり、遠くを眺める。
ジョージはこうして景色を眺めるのが大好きだ。
悠亜は学校で授業中だから、しばらく町を眺めることとする。
最近ジョージはある悩みを抱えていた。
(俺はいつまで生きられるんだニャ?)
猫の寿命は短い。家ネコで15才まで生きれば長生きだ。
しかしジョージが転生したこの体は野良猫の成猫である。
龍二同様に前の持ち主の記憶がない。
榊原家の一員になったばっかりの時、美佐子に連れられて動物病院に健康診断へと行った。
その時に推定6歳だと獣医に言われた。
人間時代には何十年とあった寿命が、今はあと数年にまで短縮してしまった。
ジョージの目線に遊ぶ子供たちが映る。
(一度死んだ身だもんニャ。でも長生きしたいニャ…。)
ジョージは猫になってしまったが、この安穏とした生活を気に入っていた。
今まで味わえなかった家族を知ってしまったのだ。
学校から終業のチャイムが鳴る。
ジョージは悠亜を迎えに学校に戻る。
その目はヤクザのそれではなく穏やかで優しい瞳であった。




