猫の恩返し-2
二日間の眠りから目が覚めた龍二は、自分が病院のベッドに寝ていることに気づく。
病院独特の消毒の匂いが、すぐさま認識させた。
痛む体は眼底骨折、胸骨骨折、左足剥離骨折、右足じん帯断裂という重症状態。動かない体に黒川の強さを思い知る。
そしてここまでの経緯をジョージから聞く。
(悠亜が!?)
驚く龍二。加藤組の玄関で意識を失った自分を悠亜が助けたというのだ。
(まずいぞ…。監視カメラにアイツの姿が映っちまってるはずだ…。
でもなんでアイツはあの場にいたんだ!?)
悠亜を問い詰める。
「学校帰りに翼君のトコに寄ったのぉ。
そしたら翼君とジョーくんが勢いよく出て行くのが見えたのぉ。
だからついていったのぉ。
でね、二人があのビルに入っていったあと待ってたのぉ。
しばらくしたらジョーくんがニャーニャー鳴いてる声が聞こえてきたのぉ。
もう急いで近づいて扉を開けたのぉ。
びっくりしたんだよぉ。
翼君が倒れてるんだもん!」
と身振り手振りを交えて説明する。
(だからってヤクザの事務所に飛び込むバカがいるかぁ!!)
怒りを露にする龍二。
悠亜の身バレはこの上なく危険な状況を生んでしまった。
自分がこんな状態だから守れない。
それが龍二の苛立ちを増幅していた。
『でも悠亜ちゃんがいなかったらアニキは加藤に捕まっていたニャ。』
ジョージの言葉にさらにジレンマが湧く。
その通りなのだ。悠亜の行動はファインプレーであり龍二は責める立場にない。
なにが問題なのかわからない不思議顔の悠亜。
『ジョージ、悠亜から離れるな。そして何かあったら俺か優さんの近い方へ走れ。』
龍二の指示にジョージは、
『まかせとけニャ!』
とやる気を見せる。
(とにかく早くこの体を直さなければ…。)
龍二の不安は膨れ上がるばかりであった。




