猫の恩返し-1
血まみれと化した加藤組の応接室で組長の加藤茂雄は監視カメラのモニターを睨んでいた。
「こいつはまた派手にやってくれたな。
まさか黒川まで殺されるとは…。」
黒川と黒いパーカーの男との戦いを見ながら、怒りの中に落胆を見せる加藤。
「おい、もう一度さっきの映像を出せ。」
加藤の要求にモニターを操作する構成員が玄関付近の映像に切り替える。
黒いパーカーの男は階段から転げ落ちて、力尽きるように玄関扉の前で倒れ込む。
その周りをウロチョロする猫。
すると扉が開いて女が入ってくる。
学生服を着た若い女。
そしてパーカーの男の体を支えながら出て行った。
さらにすぐ裏の通りのコインパーキングの監視カメラに切り替わる。
狭い通りを女は男を引きずるように歩いている。
しかし力尽きたかのようにその場にへたり込み、何やら電話をかけ始めた。
しばらくすると救急車が到着。
そこで二人の姿は消えた。
「この救急車の行き先を洗え。
そこにコイツがいるはずだ。」
加藤が指示を飛ばす。
「あの…親分。」
組員のひとりが恐る恐る声を挙げる。
「なんだ?」
加藤は振り返りもせず返事をする。
「俺、その映っている女、知ってます。」
男の言葉に、
「なぁにぃ?」
と加藤が振り返る。
そこには足にギブスをした末端の組員が立っていた。
「ちょっと前に、その女の男に足を折られまして…。
その男がまた強くて、舎弟二人もやられちまいました。
恐らくこのパーカーの男は、ソイツだと思います。」
ペラペラ喋るその男は龍二が悠亜を助けた時にバールで足を折ってやったチンピラであった。
「よし、足がついてきたな。総動員でこいつらを探せ。
コイツの関係者全員血祭りにあげたれ!! 」
加藤の号令で組員が一斉に動き出した。




