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彷徨う亡霊-15
龍二はビルの二階に降り、風俗が入っていた店舗に入る。
閉店して時間が経って埃とかび臭い中を進み、唯一水道から水が出るプレイ部屋で全裸になる。
冷たい真水で全身を洗い体を清める。
これが今の龍二の風呂だ。
冷えた体を拭き上げて素早く服を着る。
そんな自分に儚さを感じる。
榊原翼の人生を引き継いで、復讐に翻弄される人生。
だがそれが宿命であることも自覚している。
ジレンマの中で龍二はこの戦いに身を置いているのだ。
割れた鏡に映る自分を見ながら、この先の人生を想像する。
この復讐で命を落とすのか?
榊原翼の人生に戻り安穏とした日々を過ごすのか?
なぜあの時死なせてくれなかったのかと神を恨む。
だが竹内の仇を討てるという期待も持てる新たな人生であることも否定できない。
そのために今の潜伏生活をしているのだ。
このまま家に帰って普通の高校生を演じ、ヤクザではないカタギの人生を歩むことも可能である。
でも…おそらく自分は再び任侠の世界に戻るであろう。
それしか生き方を知らないのだ。
龍二は鼻で笑い、選択が一つしかないことを実感する。
そう、この復讐の人生こそ龍二と榊原翼との共通の生き方なのだ。
龍二は大きなため息をついて今一度腹を決める。
(必ず山崎の首を獲る!!)
そう決意してアジトへと戻った。




