彷徨う亡霊-9
夕日に照らされながら龍二はアジトへとテクテク歩いていた。
ふと足を止めると、何かに導かれるかのように河川敷へと向かっていた。
河原で足を止め、動悸が激しくなる。
(榊原翼…ここなのか?)
記憶の奥底に眠る榊原翼に語り掛ける。
オタクショップのモモコで、薬の取引を目撃した翼は強制的に拉致られ、車の中で散々暴行にあい、深夜にこの場所で数人の男に凄まじいリンチにあった。
殺される恐怖の中、翼は最後の力を振り絞り川に飛び込んだ。
速い流れに身を任せながら意識は混濁していく。
そして奇跡的に発見された翼は保護され、植物状態で死へと向かっていた。
そんな翼の中で、自分が抱く夢や希望が潰えてしまう怒りと悲しみが残留思念となり、それを具現化させた存在であるDGを生んだ。
復讐というただそれだけのために生まれたDG。
普段の彼は龍二の近くで眠っている。
そして龍二が翼の復讐を遂行するために動く。
まさに翼の意思が龍二とDGをこの世界で生かしているのである。
(なんか気分悪いぜ。)
そんな翼の思惑に従うしかない運命に龍二は悪態をつく。
しかし龍二も自分の復讐を成せる唯一の手段が、この榊原翼の人生を受け継ぐしかないとも理解している。
龍二はなぜだかその場所を離れることができずにしばらく佇んでいた。
すると4人の男が近づいてくる。
「あんちゃん、やっと見つけたぜ。やっぱり生きてたんだな。」
一人の男が龍二に話しかける。
(こいつら…山崎のとこの若衆じゃねぇか?)
龍二は見たことのある顔に状況を即座に理解した。
(お前らが榊原翼を殺したんだな…!!)
鋭い睨みをぶつける龍二。
「一番張り切ってぶん殴ってた木下のアニキの顔も見られてるから、今度こそは死んでもらわねぇと、俺たちが痛い目にあっちまう。悪いが今日こそ死んでもらうぜ、あんちゃん。」
その言葉に、
(木下もこの場にいたのか!?)
と龍二は驚きながら大きな疑問が解けた。
榊原翼が本当に復讐したい相手が、山崎組の若頭である木下であるということである。
だが龍二は木下に会ったことがない。
お互い存在は意識しながら組の事情で面識がないまま龍二は死んだ。
(まさかこんな状況で木下と繋がっちまうとは。因果なもんだ。
だが、山崎の首を取るには避けられない戦いだってことか。)
龍二は4人のヤクザの前に威風堂々と仁王立ちして臨戦態勢をとった。




