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彷徨う亡霊-8
龍二が本部を去ったころ、一水会が動きを見せていた。
竹内の密葬の最中を狙って極東一家の傘下への攻撃を始めた。
この葬儀まで報復を自粛させられていた極東一家のすきを突いた奇襲であった。
一水会がまず攻めたのが竹内組傘下の佐橋組。
事務所を襲い2人を射殺した。
そして山辰組傘下の植田組。
事務所番をしていた若衆を半殺しにして若頭を拉致って拷問にかけた。
すべて加藤が指示してこのタイミングで起こしたものである。
本部で葬儀を仕切る剛と田辺にもその状況は耳に入っていた。
怒りに震える剛を伊賀が諫める。
「オジキ、俺はやるぞ…!!皆殺しじゃ!!
アニキ(四代目)とリュウの仇を何倍にもして山崎に返したるんじゃ!!」
イキる剛。
そこに割って入る女。
「リュウさんは生きているかも…。」
優だ。
「どういうことだ!?」
剛が強い口調で問う。
「わからないけど、リュウさんが竹内の仇を討つために蘇ったような気がする。」
優の言葉に、
「またオカルトの話か?今はそんな悠長なことを言っとる事態じゃないんじゃ!!女はすっこんどれ!!」
剛は恫喝する。
優は口元に少し笑みを見せ天井を仰ぐ。
(あの少年…。間違いなくリュウさんだわ。あの目、あの態度。
困ったときに目をそらす癖はそのまま。きっと神様がリュウさんに使命を与えたのね。)
優の表情は確信のそれになっていた。




