彷徨う亡霊-7
その頃、ジョージは榊原家でまったりとした時間を過ごしていた。
悠亜に撫でられ、美佐子の膝の上でうたた寝をして自分の人生を振り返る。
クソ以下の親に育てられたジョージは虐待を受け、児童保護施設に送られた。
そこで自分の生き方を決めた。
「舐められたら終わり」
この言葉を胸に上級生からガキ大将の座を奪い取り、地域では有名な不良へと名を挙げていった。
喧嘩では負けなし、舎弟は星の数ほど存在し、まさに頂点を極めた気になっていた。
そしてヤクザにスカウトされるほどのヤンキーになり、極東一家の中でも常に幹部に座する伊賀組へと誘われた。
その時のジョージは極道のしきたりや弁えを守る気などなく、ただこの世界でのし上がることだけを考え、横柄な振る舞いをしていた。
そんな時、生涯の兄となる氷室龍二と出会う。
その出会いは最悪のものであった。
突然現れた龍二に抵抗することすらできずにボコボコにされ、顔の形が変わるほどの暴行を受けた。
体中にアザや打撲を負いながら、骨折などの重傷とならなかったことは、龍二が明らかに手を抜いていた証拠。
だがそれに抗うことが全くできなかった醜態。
自分よりも強い男と初めて会い、しかしそれは怒りではなく憧れへとなった。
極東一家随一の殺し屋として名を轟かせていた龍二の鉄拳制裁の教育をされたジョージは自分の弱さを初めて知ったのだ。
ジョージは組は違うが龍二に師事を求めた。
最初は拒否していた龍二も自分や組に従順なジョージを次第に可愛がりはじめ、兄弟の盃を交わした。
ジョージは美佐子の暖かな膝の上で、今まで味わったことのない母親の温もりを感じていた。
(ヤクザも悪くない。)
そう思うジョージ。
実の親にはもう20年以上会っていない。
ジョージの家族は親の伊賀才三と、アニキの龍二。
そして今は美佐子と悠亜。
(猫も悪くないな。)
この家族のためなら命を賭けてもいい。
ジョージは小さな体に大きな覚悟を抱き、美佐子に甘えていた。




