彷徨う亡霊-4
『アニキ、今日は…。』
悠亜を抱きしめる龍二にジョージが問いかける。
『わかってる。オヤジの葬式だったよな。
ジョージが探ってくれてたから今日だとわかったんだ。
ありがとう。』
龍二の素直な言葉に、
『ありがとうって…アニキ…。なんか別人になったみたいだニャ。』
と戸惑いを見せた。
ジョージの言葉に龍二も自分の気持ちの変化に不思議な気持ちになった。
これは氷室龍二としての人生を榊原翼の人生になってしまった自分自身の覚悟があった。
DGとの戦いに負け続け、守らなくてはいけない義理や家族の狭間で藻掻いているなかで生まれた新たな決意でもあった。
抗っても変えられない人生が龍二の運命をさらに混沌の渦へと誘っていく。
だがそれを受け入れなければ前には進めない。
榊原美佐子、悠亜、そしてジョージ。
氷室龍二の頃には知りえなかった家族という存在。
竹内正久、剛といった盃で結ばれた絶対的な絆。
両方の固い約束で今の榊原翼という名の氷室龍二が生きているという現実なのだ。
『ジョージ、今日は悠亜と一緒に家に帰れ。ばあさんの傍にいてやってくれ。』
龍二の言葉に、
『俺も四代目の葬式にいきたいニャ!』
と反論する。
『バカ、お前を連れて電車にのれないだろ。
悠亜の自転車のカゴにのって帰れ。お前の気持ちも一緒に連れていくから安心しろ。』
優しく諭す龍二に、
『わかったニャ。お母さんと悠亜ちゃんは俺が守るニャ!』
ジョージの言葉に、
『ああ。頼んだぞ。伊賀組の特攻隊長。』
と、ジョージを持ち上げて、悠亜を離して背中を押す。
「翼くん…。」
不安そうな悠亜の頭を優しく撫でて、帰宅を促した。




