漆黒の暗殺者-10
暗闇に隠れて身を潜める龍二とジョージ。
龍二はふと隣で目を光らせているジョージを見て昔を思い出していた。
出会ったころの矢部譲二は、まだ世間知らずで極道の世界の中にいて不良少年そのままのヤンチャな性格であった。
一家の重鎮である伊賀組の若衆の中でもそれは目立っており、幹部にも立場をわきまえない態度をとっていた。
手を焼いていた組長の伊賀才三から相談された竹内は、
「リュウ、ひとり教育してやってくれ。」
と龍二に命令を下す。
龍二は伊賀組に出向き、ソファーでふんぞり返るジョージにいきなり襲い掛かり、それはまるで殺す勢いの拳と蹴りを2時間も続け、まさに半殺しにした。
龍二による凄惨な教育を見た他の若衆の顔は青くなり恐怖で震えていた。
ジョージは原型すらわからないほど顔は変形し、体中の穴から血をまき散らしてして意識を失っていた。
その間、一言も言葉を発さずひたすらジョージを殴り続けた龍二は、再び無言で伊賀組の出口に向かい、そのまま去った。
その一か月後、竹内組事務所に頭を丸めたジョージが現れた。
まだ顔には痛々しい傷が残っている。
なれないパソコン作業に苦戦していた龍二に、深い詫びを入れ、その日からジョージは極道の世界のルールを理解したかのように立派な極道へと成長していった。
そして、ジョージは龍二をリスペクトし、そんなジョージを龍二は弟分のように可愛がった。
さらに兄弟の盃も交わし、絆を深めた。
【俺たちゃ似たもん同士なのかもしれねぇな…。】
龍二の言葉に、
【アニキ、どうしたんだニャ?】
とジョージは不思議そうに聞き返す。
龍二に笑みがこぼれる。
だが次の瞬間、涙がこみ上げた。
【お前…なんで猫なんだ…。】
ジョージが可愛そうでならない。
【俺が知りたいニャ!!】
怒るジョージ。
(きっとジョージにも意味があって生まれ変わったに違いない。
それもすべて俺が解決してやる。)
龍二はジョージの頭を軽く撫でながら心に誓った。




