漆黒の暗殺者-1
龍二とジョージは街灯が灯る夜の道を2時間歩き、繁華街の裏通りにある古い雑居ビルにたどり着いた。
【アニキ…、ここって…。】
ジョージが驚いたように言う。
龍二はそれには答えず、閉鎖された入り口を壊さないように注意して中に入り、階段を上って最上階の5階にたどり着いた。
すでに壊れている扉を強引に開け、以前の居住者が残していったソファーにドカッと座った。
【今日からここが俺のねぐらだ。】
龍二の言葉に、
【ここはアニキが潰した近藤組だったビルじゃニャいか!?】
とジョージが戸惑いながら龍二に言った。
【ああ、親父を裏切って住田連合に寝返った近藤を俺が殺した場所だ。】
とそっけなく答える。
【ニャるほど…。たしかにここだったら一水会の連中から身を隠せるニャ。】
納得したように答えるジョージに、
【一水会だけじゃなく、極東一家にもバレちゃならん。
幸いここの近辺は都市開発で空きビルが多い。
この辺りを歩いている連中はホームレスぐらいだ。】
と龍二はカバンから荷物を出しながら言う。
そしてカバンの一番下から最後に出したロングパーカーを羽織り、フードを被る。
【どうだ、ジョージ?これで顔は隠せるだろう?】
と少し声のトーンが上がってジョージに聞く。
【確かに顔は隠れているけどニャ…背中のそのロゴは…。】
ジョージは龍二の背後に回り呆れた声で言った。
そこにはピンクの筆記体で
『DOSUKOIGIRL』
と派手にプリントされていた。
【しかたないだろう。これしか使えそうなもんがなかったんだから。】
と語尾を強めて言う。
【その格好で仕事するのかニャ?】
ちょっと怪訝な雰囲気を出すジョージ。
なんとなく恥ずかしくなった龍二は、
【お前はとりあえず武器になりそうなナイフとかパクッてこい!】
と怒鳴りつける。
【わかったニャ。もう、すぐ怒るんだから…。】
とブツブツ文句を言いながら部屋を出て行った。




