絶望の放浪者-5
龍二はDGに、
(チャカ(拳銃)は用意できるか?)
と問う。
「まあ、焦らないで。」
とDGは龍二を諫める。
(チャカがなければこの体では復讐できんぞ!!)
興奮する龍二にDGが近づき、
「左手をまっすぐ伸ばしてごらん。」
と言い龍二の左手の拳にそっと触れる。
「私の力を念に込めて、あなたの左腕に武器を授けた。
拳を握り、心で【ハント】と唱えてごらん。」
DGの言う通り、
(ハント…。)
と頭の中で言ってみる。
すると垂直に伸ばされた龍二の左手に弓が現れ、腰には矢が装着された。
(どうなっているんだ!?)
困惑する龍二。
だが次の瞬間、手から弓が消えた。
「ははは。弓に集中しないと、その能力は持続できないよ。」
DGが笑顔で注意する。
(これが俺の武器ってことか?)
龍二の問いに、
「そう。氷室さんが使える飛び道具はその弓矢。
まあ、あとは体術とか刃物でカバーしてよ。」
DGが腕組みをしながら答える。
「あと、その武器はあなたの生命力で発動するんだ。
いわば氷室さんの復讐心が具現化されて現れると考えてほしい。
だから放った矢もちゃんとした攻撃力を発揮するが、そのあとは跡形もなく消える。
証拠も残らないってこと。
この意味わかるよね?
あなたは一発一発に命を賭けて放たなければならない。
もちろんどれだけ打ってどれだけ生命力が失われるかは、その時の氷室さんの怒りの具合に左右される。そしてそれは武器の威力にも比例する。
さあ、私ができることはここまでだ。
あなたのために用意した相棒の猫と一緒に、榊原翼の魂を浄化してくれ。
それは氷室さん、あなたの復讐達成でのみ成せることなんだ。」
DGはそう言うと軽く笑みを浮かべて黒い霧に包まれながら姿を消した。
(榊原翼…。お前の残した恨みとはそんなにも深いものなんだな。
俺と一緒だ。お前の憎悪と共に、俺がすべてを終わらせてやる。
ただ…ジョージには申し訳ない気もちになるなぁ。巻き込んじまった。)
龍二はもう一度左手を伸ばし、(ハント)と唱えて弓を出し、これが現実であることを確認した。




