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【20万PV達成❤️】ドラゴンウイング  作者: 泉水遊馬
絶望の放浪者
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絶望の放浪者-4

玄関を出て通りをしばらく歩く。

「やあ、氷室さん。」

謎の男が待っている。

【ツラ貸せや】

と用意していたメモを見せ裏道に入り、廃墟となった豪邸に侵入する。

「なんだい、ここは?きみの隠れ家かい?」

男のニヤけた顔が龍二の怒りに火をつける。

(お前と決着をつけるために探しておいたんだよ!!)

龍二の心の叫びを察してか、男の顔がマジになる。

【お前は、この結末を知っていたんだな?】

厳しい顔で龍二がメモを突きつける。

「ああ。だから言っただろう、時代が動くって。」

屈託なく言う男に龍二は、

【なぜ教えなかった?】

と怒りの表情で再び突きつける。

「氷室さん。わたしは時代を動かす立場にはない。

だが時代を読むことができる。その辺の事情を理解してもらえないかな?」

男の言葉に龍二は、

【お前は神か?それとも死神か?】

と問い詰める。

「どちらかというと後者だね。榊原翼の思念が生み出した人ならぬ存在。

氷室さんと一緒だよ。」

男は目線をそらさず龍二に言い放つ。

(俺と一緒だと!?)

龍二の戸惑いの混じった表情を見た男は、

「あんたも榊原翼に召喚された存在なんだよ。」

と付け加える。

(どういうことだ!?)

困惑の龍二に、

「さあ、氷室さん。拳で語り合おうじゃないか。」

と一歩踏み込んできた。

(それしかないんだな…!!)

龍二はファイティングポーズをとった。


まず龍二が牽制の左のミドルキックを見せる。

もちろん男は一歩引いて交わす。

そのタイミングで右のローキックを狙う。

男は引かずにそれを受け、カウンターで右フックを龍二に当てる。

即座に身を引いてかすらせる龍二。

「へぇ。そのひ弱な体でそんこともできるようになったんだ。」

男が感心する。

フックを頬でギリギリのダメージで受け、少しの痺れを感じながら龍二はすぐに次の攻撃に入る。

距離が近くなる、この瞬間を誘った龍二は男のみぞおちへと渾身のストレートを打ち込む。

九の字になる男のリバーポイントに間髪入れずにブローを叩きこんだ。

一歩後退する男の姿に、今度は防御の態勢をとる。

ここまでは今までの戦いで経験している。

この後の男の反撃に全力で防御をしなくてはならない。

なぜならいつもこの反撃がとどめの攻撃にされているからだ。

「さすが、日本で最大勢力を誇る極東一家で随一の殺し屋だね。

そのモヤシのような体を鍛え上げ、前世の記憶を呼び起こして戦いの感覚を呼び覚ましている。

素晴らしい!!

氷室さん。あなたなら榊原翼の残留思念ざんりゅうしねんを解放できるのかもしれないね。」

男は脇腹を抑えながら満悦に満ちた表情で言う。

(ざんりゅうしねん?)

龍二は聞いたこともない言葉に戸惑う。

男は身をかがめ一気に間合いを詰めて龍二の足を取りに来る。

サブミッション《関節技》の警戒に集中していた龍二の顔面に強烈な衝撃が走る。

男は低い姿勢から、龍二の下半身への警戒を誘い、一気に体を起こして強烈な右ハイキックをヒットさせた。

吹き飛ばされる龍二だが必死にこらえてその右足を捕まえた。

そのまま体をひねってサブミッションに行きたいが、男が片足でとるバランスの凄さに態勢を変えられずにいる。

この状況のまま龍二は、

(そういえば、あんたの名前を聞いていなかったな?)

と口元をニヤリとさせて問う。きっとこの男も言葉など必要とせず脳でのコンタクトが可能であると確信していた。

龍二は戦いの中で榊原翼の非力さをプラスに変えた意識の変化に本来のヒットマンである姿を取り戻そうとしていたのだ。

「私の名前か…。そうだな…、DG…そうDGと呼んでくれ。」

DGは捕らわれた右足を無理やり引っこ抜き間合いを取った。

(DG?ドラゴン気取りかバカ野郎!

龍はもうここにいるんだよ!!

てめえが本気ならとっくに俺は伸びちまっただろう…。

舐めやがって…!!本気で来いやこの野郎!!)

龍二は一気に間合いを詰めボディーにリバーを打ち込む。

それを簡単に払い、DGは近距離まで迫った龍二の顔面に強烈なストレートを打つ。

しかし龍二はそれを誘ったかのように、その腕を掴み体重をかけて引き倒す。

脇固め。

うつ伏せの相手の片腕を脇に抱え、もう片方の腕でロックしながら相手の背中に体重をかける事で腕を捻り上げる関節技。

がっちり決まったサブミッションに龍二は渾身の絞めを強めた。


がっちりと腕を固めた龍二だが、DGは体を前転させてスッと腕を抜く。

(くそ!!パワーが足らないのか!?)

龍二は自分の非力さに悪態をつきながらすぐさま立ち上がりファイティングポーズをとった。

しかし対峙したDGはすでに戦闘態勢を解いている。

「氷室さん。よくもそこまで体を仕上げたね。

恐れ入ったよ。戦える男になったね。

そろそろ本当の使命を実行してもらうか。

わたしとこうやって戦うことがあなたが榊原翼に生まれ変わった理由ではない。

榊原翼と氷室さん…あなたの復讐のために今の状況にあることを理解してください。

ここまで言えばわかりますよね?」

DGが満面の笑顔で問いかける。

(ああ、わかるよ。俺と榊原翼を殺した奴が同じだということなんだな?)

龍二は心で返答をする。

「その通りだよ、氷室さん。

榊原翼はヤクザのなにかの取引現場を偶然にも目撃してしまった。

そして河川敷でリンチされ瀕死の重傷を負った。

その結果、死の間際に自分の復讐を担ってくれる魂を召喚した。

それが氷室さん、あなただ。

もちろん【仲介】したのは榊原翼の残留思念により作られたのわたしなのだがね。

榊原翼…翼は大きな夢を持っていた。

それが叶わないと悟ったときに、その思念が具現化してわたしという存在を作ったのだ。

翼と同じ思念を持ち、そしてそれを実行に移せる男。

氷室さん、あなたしかいなかった。

あなたには申し訳ないが、大きな憎悪の中で死んでいった魂の最高のマッチングができた。

榊原翼と氷室龍二。

まさに龍の翼。

あなたの戦いはまだ終わってはいない。」

DGの言葉を聞いて、龍二はこの体に転生して初めて救われた気持ちになった。

(山崎に復讐できるんだな?)

龍二は最後に念を押す。

「その通りだよ。」

DGの迷いない返答に、

(これはまさに…願ってたことだ。ありがてぇ。)

と一気に腹が決まった。


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