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絶望の放浪者-1
龍二は夢を見ていた。
渡世の親である竹内久正と一緒に戦った日々を。
死線をともに潜り抜け、組織のために命を賭けてきた。
竹内のような世襲ではない極道は、自分の力でのし上がらなくてはならない。
そのために多くの犠牲を払ってきた。
その駒になる決意で龍二は竹内に仕えてきた。
竹内組が極東一家の中でも飛び抜けたイケイケ集団である理由はそこにある。
だが龍二が思い出す竹内の姿は強面の顔を笑顔で和み、穏やかで優しい男である。
九州を牛耳る久宝会との抗争のあと、傷だらけの竹内が龍二の頭をまるで子供のようにぐしゃぐしゃ撫でて労ってくれた。
その姿に、龍二はこの男になら命を捧げてもいいと思わずにはいられない。
竹内の背中を追い、そして追いつくのに必死だった日々。
そんな龍二が目を覚ますと、大きな胸騒ぎに襲われる。
この跡目抗争の中、竹内の傍で戦いたかった。守りたい。
こんな運命になってしまったのは、自分が罠にはまり殺されたことが一番の原因だ。
そんな自分に嫌悪感が走る。
ベッドの隅でジョージが丸くなって寝ている。
その背中を優しく撫でて龍二はゆっくり上る朝日を見ていた。




