愛憎の守護神-13
そして放課後。サッカー部専用の練習フィールド。
かなりの数のサッカー部員と、興味本位で集まった人間でフィールドを賑わせている。
「つーばーさーくーん!がんばってーーーー!!」
悠亜の無邪気な応援に、全身をサポーターにまみれた龍二がそれを一瞥する。
この対決がどういう意味なのかも知らずに応援する悠亜。
(学校で一番のイケメンだ。俺と一緒にいるよりマシだろう。)
龍二は悠亜に心で語りかける。
分厚いキーパーグローブを眺めながら、日本でもトップクラスのシュートを受けると思うと若干の戦慄が走る。
いや、一瞬もボールに触ることなどできないだろう。
これだけの完全防備でいながら自分は立っているだけでいい。
龍二はとっとと終わらせてしまおうと思っていた。
「じゃあ、まず一本目いこうか。」
松山が少しの助走で左コーナーに鋭いシュートを決める。
(さすがだ、球が見えねぇ…。)
龍二が感心していると、
(おーい、キャプテン。弱いもん苛めがすぎんじゃねぇか?)
とヤジが飛ぶ。
(弱いもん苛めだと…!?)
龍二はこの言葉に反応した。
「さ、二本目いこうか。」
余裕の表情で松山が、今度は右コーナーに鋭く曲がるシュートでサイドネットのを揺らした。
(おい…。俺はいじめられてんのか、コラァ!!)
松山のシュートに一歩も動けなかった龍二だが、完全に闘志に火がついてしまった。
松山を睨みつける龍二。
「榊原くん、そんな怖い顔してどうしたんだい?
きみと佐藤さんじゃあつり合いが取れない。そうは思わないかい?
今までコソコソとモグラのように潜ってた男が生意気に女作ってドヤッてんじゃねぇよ!」
松山の顔が一気に悪意のそれに変わる。そして、
「佐藤さん!この勝負はきみを賭けたものだ!
この榊原って男はきみを裏切ったんだよ!
こんな男よりもこの松山光太郎こそがふさわしい!
そうは思わないかい?」
悠亜に向かって叫ぶ。
フィールドを囲む観衆の視線が悠亜に集まる。
「いやーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
悠亜が叫ぶ。
「翼くん!がんばって!」
多くの女生徒の冷たい視線などお構いなく悠亜の声援が龍二の耳に響く。
(もうそんなことどうでもいいんだよ!!こいつだけは絶対に許さん…!!)
龍二は初めて両腕を前方に構え、ディフェンスの態勢をとった。
「ほう、きみのような人間でも意地はあるんだな。
いいだろう。その心を粉々に折ってやる!!」
松山はそういうと三本目のシュートを放った。
右に鋭く曲がるシュートを目で追う龍二。
ボールはネットを揺らすが、その軌道を龍二は捉えていた。
(速い!?だがやってやれないことはないぞこの野郎…!!)
龍二の鋭い眼光はセットされた四発目のボールに集中していた。




