愛憎の守護神-11
龍二は昼休みになり食堂に向かう。
この修学館は豊富なメニューと有名なプロの料理人が監修の味で、都内一のレストランとも揶揄されるほどの豪華な学食となっている。
今までは美佐子の弁当を悠亜と教室で食べていた龍二は、初めて食堂の敷居を跨いだ。
奥の席にまで進むと、松山の姿が見える。
「榊原くん!こっちだよ!」
手を挙げて自分を招く松山に龍二は気持ちを引き締めた。
松山に促されるままテーブルの正面に座る。
「なにを食べる?遠慮せずに。今日は僕のおごりだよ。」
松山の爽やかな笑顔に龍二は警戒を緩めず「カレーライス」と書いて見せた。
松山はそれを見て、明らかに後輩と見える男に千円を渡し買ってくるように指示をした。
「回りくどいのは嫌だから、単刀直入に聞くけどいいかい?」
松山が龍二の目をまっすぐに見て言う。
頷く龍二。
「佐藤さんとは付き合ってるのかな?」
松山の目が少し鋭くなる。
(佐藤…ああ、悠亜のことか。)
龍二は首を軽く振って否定する。
「そうか、でも一緒に暮らしているんだろう?」
松山の追及に「いろいろあってな」と書き見せる。
「うん、その辺の事情は把握してるよ。
きみの家で預かっているってこともね。
榊原くんは佐藤さんのことを好きなのかい?」
龍二は松山の問いに再び軽く首を振る。
恋愛感情はない。
ただ、妹のような感覚。ほっとけない女だというのが龍二の悠亜に対する正直な感情だ。
闇を抱えた悠亜には心の支えが必要だ。
それが自分だったり美佐子が今はうまく機能して、非常に落ち着いた状況である。
「そうか、よかった。
榊原くん。佐藤さんの彼氏に立候補したいんだが、協力してくれないかい?」
松山の提案に、
(おお、引き取ってくれるのか!?これはありがたい!)
と龍二は笑顔を見せた。
「その表情は承諾ととっていいね?ありがとう!」
松山が嬉しそうに言うと、龍二の目の前にカレーライスが届く。
スパイスが効いた匂いに食欲をそそる。
「さあ、食べて。」
松山に促されて龍二はスプーンを持って買えーを掻き込む。
(うまっ!)
カレーのうまさに龍二は必死に胃袋に流し込んだ。
「ただね榊原くん。きみが佐藤さんを手放すという既成事実が欲しいんだ。」
松山が声のトーンを下げて言う。
(既成事実?)
首をかしげる龍二。
「学校中でもきみと佐藤さんの関係は有名だよ。」
松山の言葉に、
(確かに、あれだけ毎日一緒に行動していれば目立つわなぁ。)
と龍二も心当たりに気づく。
「そこで提案なんだが…。」
松山がさらに声を細めた。




